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子どものメンタルヘルスとは?近年における深刻な状況を解説
Wednesday, 11 June 2025

しかし、こうした成長過程での一時的な心の不調ではなく、近年では、社会環境や生活環境の急激な変化によって、子どもたちのメンタルヘルスに大きな影響が生じているといいます。
そこで今回は、子どものメンタルヘルスについて近年における深刻な状況や、子どものメンタルヘルス不調のサインを解説します。
子どものメンタルヘルスとは?
子どものメンタルヘルスとは、子どもの心の健康状態を意味します。メンタルヘルスが良い状態とは、心が軽く穏やかな気持ちや、やる気に満ちあふれているような心の状態を指します。
しかし、日常の中で気分が沈むような出来事があったり、緊張状態が続いたりすると心に大きなストレスがかかります。ストレスを感じるのはごく自然なことですが、長い期間ストレス状態にさらされると、心の調子を崩してしまう可能性があるのです。
メンタルヘルスの不調は周囲から気づかれにくく、自分でも伝えづらいため、放置してしまうケースも少なくありません。メンタル不調を放置してしまうと、精神疾患など心の病気になるリスクが高くなるといわれています。
生涯の中で5人に1人は心の病気にかかるとされており、近年は心の病気にかかる人が増加傾向にあります。
子どもの心の病気は主に以下のようなものがあります。
・うつ病
・摂食障害
・反抗挑戦性障害
・不安障害
・分離不安
・パニック障害
・統合失調症
・薬物乱用
上記以外に「自分を傷つける」という行為もあり、すべてが心の病気とは言い切れませんが、心が助けを求めているサインといえます。
(参照:メンタルヘルスについて)

子どものメンタルヘルス/近年における深刻な状況
子どもがメンタルヘルスの不調になる原因は、家族関係や友だち関係の悪化、受験勉強のストレス、引越し、不慮の事故や事件、自然災害、大切な人の死、虐待などさまざまです。
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こうした出来事に直面して心の調子を崩すケースは多いのですが、近年ではコロナ禍をきっかけにした生活環境の変化が大きく影響しているといいます。
ここでは子どものメンタルヘルスの近年における深刻な状況として、3つの例を見ていきましょう。
<小中学生の不登校の増加>
文部科学省の調査によると、令和5年度の小中学生の不登校者数は、過去最多の約34万6,482人と報告されています。不登校者は11年連続で増加していて、今回初めて30万人を超えました。
文部科学省は、コロナ禍をきっかけとした生活環境の変化や、学校生活のさまざまな制限が交友関係などに影響し、登校意欲が湧きにくくなったのではと分析しています。
<子どもの自殺率の増加>
警視庁の自殺統計データによると、2024年に自殺した子ども(小中学生と高校生)は暫定527人となり、1980年以降過去最多になったと報告されています。自殺の原因や動機は、自殺した本人が残したものや、遺族からの聞き取りによると、学業不振が最も多く、進路に関する悩みや家庭不和などが上位にあがっています。その他は、病気の悩みやうつ病の悩みなどが挙げられました。子どもの自殺は年々増加傾向にあり、問題が深刻化している状況です。
(参照:
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1414737_00014.htm
小中高生の自殺が過去最多、学業や進路の悩みも 小児科医らの危機感)
<子どもの摂食障害の増加>
10代の子どもの摂食障害が増加しています。摂食障害学会による調査では、10代の新規患者数が2020年は前年に比べて約1.5倍、2021年は約1.8倍に増加していることがわかりました。コロナ禍をきっかけにした社会環境の変化に伴い、SNSやメディアでのコロナ太りなどの報道が、10代の女性の心に大きな影響を及ぼしたと考えられています。

子どものメンタルヘルス不調のサイン
メンタルヘルスの不調は早期に発見し治療することで、回復が早くなるといわれています。子どものメンタルヘルスが不調のときには、さまざまなサインとして現れることがあります。特に「睡眠・食欲・体調・行動」の4つがポイントです。この4つに見られる変化をメンタルヘルス不調のサインととらえて良いでしょう。ここでは子どものメンタルヘルス不調サインの一例をご紹介します。
<睡眠>
・なかなか寝つけない
・深夜まで夜更かししている
・朝なかなか起きられない
・寝過ぎてしまう
<食欲>
・食欲がない
・過食になった
・炭水化物ばかり欲しがる
・急激に痩せたり太ったりしている
・体重を気にし過ぎている
<体調>
・体が疲れていて、だるそうにしている
・元気がなく、顔色が悪い
・腹痛、頭痛、めまい、吐き気などの症状がある
<行動>
・学校に行きたがらない
・家にひきこもりがち
・身だしなみを気にしなくなった
・友だちと遊ばなくなった
・あいさつをしなくなった
・無口になった
・感情的になったり暴力をふるったりする
・表情が乏しくなり、ぼーっとしている
・独り言が増えた
子どもにこのような様子が見られたり、明らかに以前と違ったりする場合には、早めに専門家に相談することをおすすめします。
(参照:
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/parent/mental/sos/sos_01.html)

子どものメンタルヘルスへの理解を深めよう
子どものメンタルヘルスは大人と同様に、大きなストレスが続くことで不調になり、心の病気につながる可能性があります。メンタルヘルスの不調は自分から伝えづらいため、周囲の大人が一早く気づいてあげることが大切です。
「子どもだから」と安直に考えず、子どものメンタルヘルスへの理解を深め、心を守っていきましょう。
