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潮干狩りができない?!全国でアサリが減少している原因を解説

Friday, 25 March 2022

潮干狩りは1年を通して楽しめますが、春から初夏にかけての時期が最も好シーズンといわれています。なぜなら、この季節は一年のうちで最も昼間の時間帯に潮が引き、干潟(ひがた)になるからです。

干潟の砂浜には、たくさんの貝が眠っています。けれども昨今では、春の季節にも関わらず潮干狩りが各地で中止になっています。その理由には、潮干狩りでとれる貝の代表格であるアサリの減少が大きく影響しています。そこで今回は、全国的にアサリが減少している原因についてわかりやすく解説します!

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アサリの国内漁獲量が激減…潮干狩りが中止に

国内におけるアサリの生息数は年々減少し、漁獲量が激減しています。最近では、中国産のアサリを熊本県の干潟に撒き、短期間で回収して「熊本産」と偽ったという問題も、記憶に新しいかもしれません。国内の漁獲量が深刻化していることが、この一件からもうかがえることでしょう。

アサリ資源全国協議会の調査によると、アサリの全国生産量は1980年代前半までは1400万トン前後でしたが、1980年代後半から減少し続け、2000年代には3万トンまで減っています。

ちなみに、潮干狩りで有名な静岡県の浜名湖では、3年連続で漁獲量が過去最低を更新し、2022年度の潮干狩りの開催も中止せざるを得ない状況にあるといわれています。

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アサリが激減した原因とは?

では、なぜここまでアサリが激減してしまったのでしょうか。特定はできないものの、考えられる原因がいくつかあるといわれています。

クロダイなどの天敵による食害
クロダイをはじめ、ツメタガイやナルトビエイといった天敵に食べられてしまい、アサリが減少していることが、研究で明らかになっています。ツメタガイは同じ貝類ですが、肉食であり、アサリの殻に穴を開けて軟体部を食べてしまうため、少々やっかいな貝といえるでしょう。

寄生虫の増殖
アサリが減少した原因には、寄生虫が増加していることもあげられています。2007年には東京湾東岸で、「ウミグモ(カイヤドリウミグモ)」がアサリに寄生し、アサリが大量に死んでしまうといった被害がありました。

ウミグモが大量発生した背景には、水温の上昇が関係しているとして、研究が進められています。

台風による稚貝の流出
台風などの強風によって稚貝が流出することで、アサリが生息しにくくなり、結果的にアサリの減少につながっていると考えられています。

激しい強風が吹くと、海面にうねりが起こります。それによって、海底の砂とそこに住んでいたアサリの稚貝が巻き上げられ、岩場など生息が困難な場所に流出してしまうのです。

台風が多く発生するほど、アサリの生息にも影響を及ぼす可能性があるでしょう。

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埋め立てや干拓による生息地の減少
アサリが減少した原因として、埋め立て干拓(海岸などを堤防で仕切り、水を抜いて陸地にすること)などの海岸工事によってアサリの生息地が減ってしまったこともあげられています。また、河川改修でもアサリの生息地が失われています。

地球温暖化による水温と水位の上昇、貧酸素の問題
地球温暖化による水温と水位の上昇によって、アサリが減少したことが研究結果として発表されています。

研究によると、水位が33cm上昇した場合にはアサリの生物量が約3割減、水位が88cm上昇した場合にはアサリは約8割減少したことがわかりました。

また、長崎県の諫早湾(いさはやわん)では、2001年〜2003年において、アサリの大量変死率が最も高いのが8月〜10月でした。これは、最も水温が高い時期であることに加え、貧酸素でアサリの生育が困難になることも要因として考えられています。

貧酸素とは、水中の酸素濃度が低下し、生物が呼吸できない状態になることをいいます。貧酸素も地球温暖化の影響によって起こる現象のひとつです。

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海の環境保護にも役立つアサリを未来に残すために

潮干狩りができない最大の理由となる、アサリが減少している原因について見てきましたが、実にさまざまな要因が関係していることがわかりました。ただ、地球温暖化によりアサリが生息しにくい環境になっていることは間違いないといえるでしょう。

実は、アサリはエサとなる植物プランクトンを食べ、不要な水を体外に排出する過程で、海をきれいにしてくれます。そのため、アサリの減少はさらなる海の環境悪化につながる恐れもあるのです。

アサリの減少を防ぐためには、地球温暖化対策に加え、海岸工事などでアサリの生息地を奪わないことや、水質汚染にも気をつける必要があるでしょう。

今、国産アサリの復活に向けて、さまざまな研究や対策が進められています。潮干狩りの楽しみだけでなく、海の環境保護にも役立つアサリを未来に残していきましょう。

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