脱炭素社会への鍵!都市型ロープウェーが切り拓く次世代の移動手段
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脱炭素社会への鍵!都市型ロープウェーが切り拓く次世代の移動手段

Tuesday, 04 March 2025

脱炭素社会の実現に向け、私たちの移動手段にも変革が求められています。そんな中、注目されているのが都市型ロープウェーです。空を活用したこの移動手段は、二酸化炭素(CO2)排出量の削減や渋滞の緩和、観光資源としての可能性も秘めています。

今回は都市型ロープウェーが次世代の乗り物としてどのように脱炭素社会に貢献できるのか、そのメリットや導入事例、課題や展望を解説します。

都市型ロープウェーとは?

都市型ロープウェーとは、都市部での新たな交通手段として活用されるロープウェーのことです。これまでロープウェーといえば、観光地や山間部の移動手段として利用されてきましたが、脱炭素化や渋滞問題を解決する革新的な手段として、都市部でも導入が始まっています。

 

例えば世界の中でも特に導入が進んでいるのは、南米ボリビアです。2014年から導入がスタートし、2019年時点で10路線、総延長距離30km以上のネットワークになっています。

 

ボリビアの中心都市ラパスは、標高3,500mほどの高地で高低差が激しく、道路の整備や地下鉄、モノレールなどの導入が困難な街です。

 

しかし、都市型ロープウェーの導入によって、高低差を気にすることなく快適な移動が実現しています。

 

(参考:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00595/)

都市型ロープウェーがもたらす環境面・社会面でのメリット

都市型ロープウェーの導入は、CO2排出量の削減や渋滞緩和、バリアフリーの移動手段になるなど、環境面や社会面で多くのメリットをもたらします。具体的にどのようなメリットが得られるのか見ていきましょう。

 

あわせて読みたい: SDGsと鉄道|乗用車より環境に優しい理由と取り組みを解説

 

CO2排出量を削減>

都市型ロープウェーは電力で駆動するため、CO2排出量を大幅に削減できます。再生可能エネルギーを活用することで脱炭素化が実現し、温暖化や気候変動の緩和につながります。

 

<渋滞を解消できる> 

都市型ロープウェーは空間を活用するため、道路渋滞を解消できるのが大きなメリットです。人口が集中する都市の深刻な渋滞問題を解決へと導きます。渋滞がなくスムーズに移動できるため、時間短縮も期待できるでしょう。

 

<景観を損なわない>

都市型ロープウェーは景観を損なわないのもメリットのひとつです。土地利用が少なく、ステーションの設置も自由度が高いため、スペースが限られている都市の開発やコンパクトシティの計画に適しています。

 

<導入コストが安い> 

都市型ロープウェーは、導入コストが鉄道などに比べて安い点もメリットです。例えば、とある企業の自走式ロープウェーは、既存のモノレールの約1/5のコストで導入できるとされています。

 

また、道路や鉄道と異なり広大な土地は不要のため、支柱やステーションだけで設置できる点もコストを抑えられる理由です。

 

<バリアフリーな移動手段>

都市型ロープウェーは、高齢者や身体障がい者にも優しい設計が可能になっています。エレベーターに乗る際やチケット購入、乗車に至るまで、車椅子やベビーカーのままで移動可能です。都市部での移動が困難な人々のアクセス改善に貢献しています。

 

<行動範囲が広がる>

都市型ロープウェーは空を移動できるため、海や川を渡ることも可能です。これまでキックボードなどのパーソナルモビリティーでは難しかった場所まで、移動が可能になります。

 

橋を渡ったり水上バスに乗ったりすることなく、手軽に海や川を渡れるようになるため、行動範囲が広がっていくでしょう。

都市型ロープウェーの事例をチェック!

現在、日本でも都市型ロープウェーの導入プロジェクトが進んでいます。ここからは、国内で導入されている都市型ロープウェーの事例や取り組みを見ていきましょう。

 

<横浜駅と桜木町駅、新港ふ頭を結ぶ日本初の都市型ロープウェー>

2021年4月に、横浜駅、桜木町駅、新港ふ頭を結ぶ都市型ロープウェーが開業しました。桜木町駅から横浜赤レンガ倉庫までを、運河をまたぐ形で直線的にロープをつないだことで、これまで徒歩20分ほどかかっていた運河エリアまでの移動が、片道約5とスムーズに移動できます。

 

ゴンドラには、空気の自然循環による換気システムや最新バッテリーによる冷房システム、安全監視システムやLEDによる照明演出など、最先端の機能を兼ね備えている点も特徴です。

 

(参考:https://yokohama-air-cabin.jp/about/)

 

<世界初の曲がれる自走式ロープウェーを開発中>

日本では都市のビル街を走行できるロープウェーを目指し、空中で曲がることのできる世界初の自走式ロープウェーの開発を進める企業があります。

 

モノレールの特徴をロープウェーに組み込み、自動運転でカーブや分岐点も自在に組める点がポイントです。現在、神戸市の海上や沖縄の大規模開発エリア、中城湾港マリンタウンでの実用化を目指し、開発や実験を進めています。

 

(参考:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00190/00115/)

都市型ロープウェー導入の課題と解決策 

都市型ロープウェーの導入はメリットが多い一方で、以下のような課題もあります。

 

・運賃が高め

・輸送効率の問題

・豪雨や強風などの天候に左右される

・法規制や安全基準の整備

 

先述した自走式ロープウェーを開発する企業では、上記の課題解決に向けて建設コストを下げ、少額運賃での運行を検討しています。また、旅客の需要に応じて乗車人数の異なるゴンドラを3種類用意することで、運行コストを下げられるとしています。

 

加えて同社は、安全対策としてロープ2本タイプを採用し、従来のロープウェーの1.5倍の風速(30m/s)まで運行できるようにするなど、課題解決に向けて取り組み中です。

 

(参考:https://www.kenbiya.com/ar/ns/jiji/etc/4885.html)

都市型ロープウェーが脱炭素社会の実現に大きな役割を果たす! 

日本における都市型ロープウェーは少額運賃や安全性の基盤が確立することで、今後導入が加速していくと考えられます。景観を楽しめる空の移動は、新たな観光資源の創出にもつながるでしょう。

 

脱炭素と持続可能な社会に大きな役割を果たす都市型ロープウェーで、より快適な都市ライフが実現するのではないでしょうか。

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