気候変動が栄養失調を増やす?気候変動が食物や人に及ぼす影響とは

気候変動は、異常気象や自然災害を引き起こし、人々の暮らしや生態系など、あらゆる方面に多大な影響を及ぼしています。その影響の中には、世界の栄養失調の人口が増加する可能性があるとの見解もあります。

では、気候変動は栄養失調にどのように関わっているのでしょうか。今回は気候変動が栄養失調を増やすという問題について、詳しく解説します。

目次

世界の飢餓人口 

過去数十年にわたり減少傾向だった世界の飢餓人口が、2015年から増加していることがわかりました。

2020年のデータによると、アジア4億1800万人、アフリカ2億8160万人、ラテンアメリカおよびカリブ海5970万人、オセアニア270万人となっています。世界の9人に1人が飢餓で苦しんでいるという状況です。

特に成長期の子どもは栄養失調になりやすく、健康に深刻な影響が生じるといわれています。飢餓や栄養失調の人口が増加している背景には、温暖化による異常気象など、気候変動の要因もあると欧米の研究チームなどが報告しています。

気候変動が食物や人に及ぼす影響

なぜ気候変動が飢餓や栄養失調を増やすと考えられるのでしょうか。気候変動が食物や人々に及ぼす影響について、もう少し具体的に見ていきましょう。

<食物の収穫・漁獲量の減少>

気候変動で干ばつや洪水などが起こり、トウモロコシや麦、大豆、米などの収穫量が減少しているため、人々が食べ物を入手しづらくなっています。それは農作物に限ったことではなく、海産物においても例外ではありません。温暖化によって海水面の上昇が起こった影響で、海産物の水揚げ量が減少していることが報告されています。食物の収穫量が減り、食料不足に陥ることで栄養失調の増加につながっているのでしょう。

<収穫量の減少による物価の高騰>

気候変動の影響で、食物の収穫量が減少することによって、食料価格の高騰が起こります。それによって貧困層はますます食へのアクセスが難しくなります。国際的な貧困層の基準値は、1日1.90ドル未満で生活する人のことです。

しかし、国連食糧農業機関 (FAO) 、国際農業開発基金 (IFAD)、国連児童基金 (UNICEF)、国連世界食糧計画(国連WFP)と世界保健機関 (WHO) が共同で作成している「世界の食料安全保障と栄養の現状」の報告書では、健康的な食事を手に入れるために必要な金額は、1.90ドルをはるかに超えると指摘しています。

最新の推計では、世界の30億人以上が健康的な食事をとるための金銭的余裕がないとされています。そのうちの57%がサハラ以南のアフリカと南アジアの人々です。2019年の報告書では、約1億9100万人の5歳未満の子どもが発育不良や衰弱に陥っています。

気候変動の影響で起こる物価の高騰は、貧困層をさらに窮地に追い込んでいます。

<農業で生計を立てる世帯の所得の減少>

気候変動によって作物の生産量が低下することで、小規模食料生産者や農業労働者などの所得にも大きな影響が出ます。

農業や自然資源に依存して生計を立てている人たちの所得が減少し、結果的に貧困に陥り、食料難になるといったケースもあります。

作物が実らないことで家計を支えることが困難となり、食べていくことができず栄養失調になってしまうという負の連鎖が起こってしまうのです。

干ばつや気温の変動に極めて弱い農業システムであることも、気候変動の影響を受けやすい要因といえます。

<作物自体の栄養素が低下>

気候変動による干ばつや洪水などの影響で、作物自体の栄養素が低下していることが、欧米の研究チームの調査によってわかりました。

米、麦、マメ科などに含まれる微量栄養素(ビタミン、ミネラルなど)の摂取量を測定したところ、汚染物質の増加によって微量栄養素の減少が確認されています。

大気汚染をはじめ、温暖化で起こる降水量の増加に伴う土壌浸食や、気温の上昇による害虫の増加など、作物への被害は広がっています。

作物自体の栄養素が低下することで、子どもたちの発育や妊婦の健康と胎児の成長にも影響を及ぼしています。

気候変動は誰もが関わる問題。これ以上栄養失調を増やさないために

食べ物があふれている日本では、栄養失調が起こることは現実味がない話かもしれません。しかし、気候変動による食物への影響は既に始まっています。
栄養価の高い食品は、温暖化の影響で生産が減少し、将来入手困難になることも大いに考えられます。値段が高騰し、健康な食品を口にすることが難しくなるかもしれません。
気候変動は私たちの命の源である食料に危機をもたらしており、ひとりひとりに関わる問題です。まずは、世界の状況に目を向け関心を持つことからはじめるのも良いでしょう。
今、栄養失調で苦しんでいる子どもたちの命を救うために、寄附などで支援することもできます。ぜひ、自分にできることは何か、今一度考えてみてはいかがでしょうか。

参考:

https://www.jaicaf.or.jp/fileadmin/user_upload/publications/FY2018/SOFI2018-J.pdf
https://www.afpbb.com/articles/-/3327274?page=2
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