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日本の食料自給率は低い?その理由や対策、私たちにできること
Tuesday, 09 August 2022
You Are What You Eat | 身体は食べたものでできている(subtitled)
食料自給率とは?
食料自給率とは国内で供給された食料の何割が国内で生産されたかを示す指標です。
計算方法は複数あり、単純に重量で計算する「品目別自給率」と、食料全体について共通のものさしで計算する「総合食料自給率」があります。このうち総合食料自給率は栄養価(1人1日あたり)で換算する「カロリーベース」と金額で換算する「生産額ベース」の2種類に分けられます。ここでは私たち消費者にとって身近な「カロリーベース」での食料自給率に焦点を当てて説明します。
農林水産省の発表によると令和2年度の日本の食料自給率は37%(カロリーベースによる計算法)ということがわかっています。これは過去最低の自給率だった2018年度に並ぶ結果です。他の国の自給率を見てみると、2018年のデータでアメリカは132%、フランス125%、ドイツ86%、イギリス65%、イタリア60%となっています。日本の自給率は他の先進国と比べても低いことがわかります。
(参照:農林水産省)
日本の食料自給率はなぜ低い?
日本の食料自給率はなぜ低下し続けているのでしょうか。それは、日本人の食生活が大きく変化したことが理由として挙げられます。
50年前までは主食の中心だった白米も、食の多様化が進み、食べないという人が増えました。米の消費量が減る一方で、肉類や油の消費量は増えています。
農林水産省が発表している食料消費構造データを見てみると、昭和40年度には1日のカロリーの4割以上をお米から摂取していたのに対して、令和2年度ではその半分ほどにまで減少しています。また、消費が増えている肉類や油は輸入の割合が高いため、食料自給率を押し下げる形になっています。
このように、食料自給率が低下している要因のひとつは米の消費量の減少であるといえるでしょう。また他国に比べて農地面積が少ないなどの理由もあり、日本の食料自給率は先進国の中でも最低レベルの37%となっています。
(参照:農林水産省)
食料自給率が低いのは良くないこと?
日本の食料自給率が低いと、いったいどんな問題が出てくるのでしょうか?食料自給率37%ということは、残り63%を輸入に頼っているということ。食料の半分以上を海外に委ねているのです。
食料の供給が安定している時なら問題はありません。しかし今、世界では気候変動による干ばつなどの異常気象や自然災害、家畜の疫病の流行、輸出国の政情不安などさまざまなリスクがあります。いつも安定して食料を輸入できるとは限らないのです。
また、世界の人口が増加することで、食料が不足するという不安もあります。これらのリスクを回避するためにも国内の食料自給率を高め、必要な時に必要な分だけ自分で食料を確保できるようにすることが大切なのです。
食料自給率を上げるための対策
今、日本では食料自給率を上げるため、さまざまな対策が行われています。
具体的には新品種の開発や導入を推進する、農地を集約したり、水田を放牧地や野菜の生産に転用したりして農地を確保する、ITや新たな作業用機械を活用した省力化、効率化、消費者への国産農産物のPR活動などです。
政府は2030年度に食料自給率を45%まで上げることを目標とし、これらの対策に加え農作物の輸出にも力を入れています。海外への販売ルートを拡大し、生産基盤を強めることが食料供給力を高めると考えているためです。
(参照:農林水産省)
未来の食を守るために私たちができること
食料を安定して手に入れられなければ、生きていくことができません。未来の食と生活を守るためには、食料自給率を上げることが必須といえます。
では、私たちが生活の中で食料自給率を上げるためにできることは何でしょう。それは、積極的に国産の農産物を選ぶことです。
国産を選ぶことは日本の農業を支えるとともに、流通や加工、小売業など食に関わる幅広い産業を活性化させることにつながります。
まずは普段の買い物の中で「この食材はどこで作られたものだろう?」と産地に目を向けたり、「今が旬の食べ物は何だろう?」と食に関心を持ったりすることから始めてみてはいかがでしょうか。
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