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食料安全保障とは?日本と世界の現状や取り組みを知ろう!
Friday, 05 August 2022
今回は食料安全保障の役割とは何か、世界の食料安全保障の現状や日本の食料問題、食料安全保障のための国際的な取り組み事例を解説します!
日本における食料安全保障
農林水産省によると、食料安全保障とは、すべての人が現在から将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるよう保障していくことです。
食料は人間が生きていく上で欠かせないものであり、健康で充実した生活の基礎となります。
日本政府は食料を安定供給するため、「食料・農業・農村基本法」において国内の農業生産を増やすことを基本に、輸入や備蓄を適切に組み合わせて食料の供給を確保していくとしています。
世界の人口は増え続けており、食料の需要が高まっていることに加え、気候変動による生産量の減少、感染症の影響による価格の高騰、紛争による食糧危機など、国内外のさまざまな要因が食料供給に影響を及ぼす恐れがあります。
政府は食料自給率を高めるとともに輸入や備蓄を行い、不測の事態に備えた対応を進めています。
(参照:食料安全保障とは)
世界の食料安全保障の現状
ここからは世界の食料安全保障の現状を見ていきましょう。
国際連合食糧農業機関(FAO)では、食料安全保障を「全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的、社会的及び経済的にも入手可能である」状況と定義しています。
世界における食料安全保障の主要課題は飢餓問題です。2020年のFAOの報告「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」によると、世界の栄養不足人口は2014年を境に増加し、2019年には約6億9千万人以上に達したと推定されています。特にアフリカで状況が悪化しており、人口の19.1%が栄養不足の状態とみられます。
このような飢餓問題を解決するためには、世界規模での取り組みが必要です。SDGs(持続可能な開発目標)の中でも「飢餓をゼロに」という目標が掲げられ、食料の安定確保と栄養状態の改善、持続可能な農業を推進するための取り組みを各国が協力して行っています。
(参照:日本と世界の食料安全保障)
食料安全保障のための国際的な取り組み事例
食料安全保障を世界で実現するため、日本を含む国際社会はさまざまな取り組みを行っています。その中から日本が参加している国際的な取り組みを2つご紹介します!
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<アフリカ稲作復興のための共同体(CARD)>
日本はアフリカの23か国で、稲作技術を向上させるための取り組みを行っています。2008年のアフリカ開発会議を機に、日本の国際協力機構(JICA)とアフリカ緑の革命のための同盟(AGRA)を中心に発足した、「アフリカの稲作復興のための共同体(CARD)」という団体によるものです。
中央アフリカ地域の米の生産量を10年間で倍増させることを目標とし、土地と人々のニーズにあった品種の導入、灌漑設備の整備、加工技術の向上、生産から販売までの流れの効率化などに取り組んできました。2008年の年間生産量1400万トンから始まり、2018年には年間2800万トンを達成することができたのです。
2030年に向けてさらに米の生産量の倍増を目指し、取り組みは続いています。
<食と栄養のアフリカ・イニシアチブ(IFNA)>
日本はフードシステムの面からもアフリカでの栄養改善の取り組みを行っています。食と栄養のアフリカ・イニシアチブは、2016年のアフリカ開発会議で日本の国際協力機関(JICA)とアフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)を中心に発足しました。
取り組みは、地域ごとに課題や不足している栄養素を絞り込み、十分な栄養を取るために必要な農作物を地域に合わせて決定するところから始まります。農業だけでなく、地域の保健衛生の改善や、栄養・料理に関する教育など、さまざまな分野の取り組みを組み合わせて支援を行っています。
(参照:食と栄養のアフリカ・イニシアチブ)
世界の食料問題を解決するためにできること
世界では飢餓問題が深刻である一方、日本などの先進国では食品ロスが発生していることも忘れてはなりません。
食品ロスとなった廃棄物を処理する際にも温室効果ガスが大量に発生し、気候変動の要因になっています。食品ロスが軽減されれば温室効果ガスの排出が抑えられ、気候変動による食料生産減少の解決にもつながります。
世界の食料問題を解決するには、食料安全保障の役割を理解し、飢餓で苦しんでいる人がいる中で、自分にできることを考え行動していくことが大切ではないでしょうか。