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SDGs達成を目指すギリシャの取り組み|廃棄物ゼロの島も誕生

Tuesday, 31 December 2024

ギリシャはヨーロッパ南東部、バルカン半島の南端に位置する国です。豊かな歴史と文化、自然環境に恵まれており、ギリシャ神話やオリンピックなど西洋文明の発祥の地としても知られています。

そんなギリシャは、欧州の中で最も気候変動の影響を受けており、SDGsの取り組みが注目されている国のひとつです。

今回は「SDGs達成のための、各国の取り組み」をテーマに、気候変動がギリシャに及ぼす影響やSDGs達成に向けたギリシャの取り組みを解説します。

気候変動がギリシャに及ぼす影響

温暖化による気候変動は、ギリシャに多方面で深刻な影響を及ぼしています。特に問題となっているのが、気温上昇に伴う熱波や森林火災、水不足や干ばつ、海面上昇に伴う高潮や浸水リスクの増加などです。

 

またこれらの問題は、農作物の生産や水の供給にも影響を与えており、人々の健康や暮らし、沿岸の生態系や漁業にも被害をもたらしています。

 

さらに、ギリシャの経済を支える観光産業への影響も顕著です。2024年の6月は熱波が続き、7月には過去最高気温に達したことで熱中症による死者が相次ぎ、観光地はやむを得ず閉鎖されました。

 

高温で乾燥した天候によって火災も頻発しており、2023年は全国で8,000件以上の山火事が発生し、観光客も避難を余儀なくされています。

 

このように気候変動は、住民の生活や健康リスク、自然環境や生態系、ギリシャの農業や観光産業にも大きな影響を及ぼしているのです。

 

(参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-07-25/RYA6JET1UM0W01

https://jp.reuters.com/world/environment/ZTJGO2VRN5JW7ENBIGZKRQH7O4-2024-08-31/

https://www.travelvoice.jp/20240902-156256)

 

SDGs達成に向けたギリシャの取り組み

気候変動によってさまざまな問題に直面しているギリシャですが、これらに対処し持続可能な社会を築くため、SDGs達成に向けた活動にも力を入れています。

 

ここでは、ギリシャによるSDGsの取り組みを見ていきましょう。

 

<再生可能エネルギー100%を実現する廃棄物ゼロの島が誕生>

ギリシャで世界初の廃棄物ゼロの島が誕生しました。エーゲ海南部に位置する「ティロス島」という島で、国立公園にも指定されている人口745人の小さな島です。

 

2021年にサーキュラー・エコノミーを推進する企業とともに、廃棄物ゼロを目指すプロジェクト「ジャスト・ゴー・ゼロ・ティロス」を立ち上げ、島民全体で取り組んできました。

 

各家庭や企業に廃棄物を分別するための袋や箱を提供し、ゼロウェイストを達成するための分別方法を教育したとされています。「リサイクル可能なもの」「有機物」「リサイクルできないもの」に分別し、定期的に回収するという方法です。

 

また、アプリで各家庭の廃棄物の量やリサイクルに回した量も可視化できるようにし、正しく分別されているかフィードバックも行いました。

 

こうした工夫や努力によって、プロジェクト前は約87%埋め立て処分されていた廃棄物が、リサイクル率88.6%となり、廃棄物自体の発生量も3割以上減少したといわれています。

 

各家庭や企業から回収された廃棄物はサーキュラー・イノベーション・センターに運ばれ、処理設備によってさらに25種類に分別される仕組みです。

 

野菜や果物の皮など有機物から生まれた堆肥は無料で島民に還元され、使用済み紙おむつなどリサイクルできないものは乾燥や粉砕処理をした後に、セメント産業の代替燃料として活用されています。

 

ゼロウェイスト達成後は、プラスチックなどの非生分解性廃棄物が減り、海洋生物が保護され、島の景観も美しくなりました。環境意識の高い観光客も増え、エコツーリズムや持続可能な農業などの新しい雇用も生まれているといいます。

 

さらにティロス島では、風力発電や太陽光発電を利用した再生可能エネルギーを100%使用しており、従来のディーゼル車から電気自動車やハイブリッド車への置き換えにも取り組んでいます。

 

参考: https://www.vietnam.vn/ja/dao-tilos-hon-dao-dau-tien-tu-cung-cap-dien-nang-tu-nang-luong-tai-tao/

 

<ロードス島の持続可能な観光を目指すプロジェクト> 

古代ギリシャの遺跡や聖ヨハネ騎士団が築いた建造物などがあり、世界遺産としても知られているロードス島で、持続可能な観光の実現に向けた取り組みが行われています。

 

ギリシャ政府と南エーゲの地方自治体、ドイツの大手旅行代理店が共同で立ち上げた「ロードス・コーラボ」というプロジェクトです。

 

今後約5年で資源の節約と環境保全の解決策に焦点を当て、雇用の創出を通じて地域住民の参加を促し、ロードス島の持続可能な観光の成長を目指すとしています。

 

(参考:https://livhub.jp/news/sustainability/rhodes-co-lab-sustainable-tourism.html)

 

<プラスチックごみから海を守る取り組み>

ギリシャでは、海の資源保護活動をするボランティア団体があります。ボランティアのダイバーがエーゲ海などを中心に最大水深45mまで潜り、海底に沈んだ漁網やタイヤ、プラスチックごみなどを回収するという取り組みを行っています。

 

これまで過去5年でギリシャの海域から約28トン以上の漁網を回収し、プラ袋も数十万個見つかったといいます。漁網やプラスチックごみは、多くの海洋生物の命を奪ってきました。

 

政府はギリシャの海洋ごみの7割はプラスチックごみで、毎日40トン近く海に流れていると認め、海洋保全は観光業に依存する国として重要事項であると述べています。

 

(参考:https://www.afpbb.com/articles/-/3257624)

持続可能な観光と海の保全を目指してSDGsに取り組むギリシャに注目 

熱波や山火事、水不足や干ばつなど気候変動が引き起こす多くの環境問題に直面するギリシャですが、SDGsに取り組むことでこれらの問題を解決策へと導き、持続可能な観光と海の保全を目指しています。

 

世界初の廃棄物ゼロの島を実現させるなど、先進的な取り組みをするギリシャに今後も注目です。

 

あわせて読みたい: SDGsはなぜ2030年を目標達成期限にしているの?

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