• Green Growers
  • BLOG
  • ロスフラワーに新たな命を吹き込むアーティストたちの活動に注目!

BLOG -SDGs and Sustainability

ロスフラワーに新たな命を吹き込むアーティストたちの活動に注目!

Monday, 02 September 2024

「ロスフラワー」とは、美しく咲いているのに廃棄されてしまう花を指します。ロスフラワーが発生する主な原因は、規格外や売れ残り、イベントの装飾で使われた後に廃棄されるなどです。

廃棄されてしまう花の量は意外にも多く、出荷数の3割程度といわれています。そんなロスフラワーの課題解決に向けて、廃棄予定の花に新たな命を吹き込むアーティストたちに関心が寄せられているのです。

今回はThe use of arts to promote sustainability(持続可能性を促進するための芸術の使用)をテーマに、ロスフラワーの問題に取り組むアーティストたちの活動をご紹介します。

ロスフラワーとは?

2-ロスフラワーに新たな命を吹き込むアーティストたちの活動に注目!.jpg

ロスフラワーとは、美しく咲いているにも関わらず捨てられてしまう花のことです。一般的に「フラワーロス」とも呼ばれています。

ロスフラワーは、まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」のように、具体的な廃棄量は公表されていません。しかし、出荷された花の30〜40%が捨てられており、経済損失は年間1,500億円にものぼるといわれています。

(参照:大量に廃棄される生花……“ロスフラワー”をよみがえらせる河島春佳さん)
(参照:<親子でSDGs>年間10 億本を超えるお花が廃棄されるロスフラワーを再利用!お花の廃棄率 0%の花屋が、神戸阪急リニューアルオープンの会場にて親子でフラワーリース作り開催!期間限定SHOPもOPEN)

ロスフラワーが発生する主な原因

3-ロスフラワーに新たな命を吹き込むアーティストたちの活動に注目!.jpg

ロスフラワーが発生する主な原因は、以下の3つと考えられています。

・サイズや形が悪いなどで規格外と判断された
・「プロダクトアウト」という流通による店舗での売れ残り
・イベントや冠婚葬祭の装飾として使われ、役目を終えた

サイズや形が悪いなど、品質が良くないという理由で規格外と判断され市場に流通せずに廃棄されてしまう花は少なくありません。

また、店舗での売れ残りも廃棄せざるを得ない原因のひとつです。花業界は「プロダクトアウト」という流通スタイルをとっており、農家が生産した分だけ農協や市場が買い取っています。この仕組みにより、需要と見合わず供給が多過ぎて売れ残りが発生しやすいのです。

加えて、イベントや冠婚葬祭などの装飾で使われた花は、役目を終えると花屋が引き取りそのまま廃棄されてしまうことが少なくありません。

これらが原因で、まだ美しく咲いているのに廃棄されてしまうロスフラワーが大量に発生しているのです。

ロスフラワーの現状を変えるために活動するアーティストの取り組み

4-ロスフラワーに新たな命を吹き込むアーティストたちの活動に注目!.jpg
ロスフラワーの深刻な状況を改善するため、廃棄予定の花に新しい命を吹き込むアーティストたちの活動が広がっています。

ここからは、ロスフラワーの現状を変えるために活動するアーティストたちの取り組みをご紹介します。

ロスフラワーを活用して衣装やサシェを制作

 

生花店の売れ残りやイベントの装飾などで役目を終えたロスフラワーを活用して、新しい作品として生まれ変わらせる活動をしている「河島春佳」さん。これまで、ロスフラワーを使った衣装やサシェの制作、ショップのディスプレイやイベントの装飾などを手掛けてきました。

花屋さんでバイトを経験した際に、廃棄される花の量にショックを受け、活動を決意したといいます。

河島さんは廃棄されてしまう花に新たな命を吹き込むだけでなく、作品を手にした人の喜びにつながり、廃棄物が減ることで環境にも優しいといったサイクルを目的に活動しています。

河島さんはこのサイクルを作り出すアーティストを「フラワーサイクリスト」と名付け、アーティストを育成するプログラムも進行中です。

(参照:驚くべき行動力! 日本で唯一の「フラワーサイクリスト」が誕生するまで)

「ロスフラワーキャンドルプロジェクト」を設立

 

フラワーキャンドルアーティストとして活動している「安永かおり」さん。世界中のロスフラワーを少しでも減らしたいという思いから、SNSを通じて「ロスフラワーキャンドルプロジェクト」を立ち上げました。

ホテルの披露宴で装飾として使用した花を引き取り、ロスフラワーキャンドルとして生まれ変わらせる取り組みを行っています。

キャンドルは二重構造になっており、廃棄された草花が入る外側の層は燃えたり溶けたりしないため、華やかで美しいキャンドルのまま炎のゆらめきを楽しめます。キャンドルの灯りが草花を内側から照らし、幻想的な雰囲気が味わえるのも魅力です。

また、安永かおりさんは2020年に「サステナブルフラワー協会」を発足し、廃棄されてしまう花を救うアーティストの育成も行っています。

(参照:日本サスティナブルフラワー協会)
(参照:廃棄されるお花に新たな命を吹き込む、サステナブルな『ロスフラワーキャンドル』 安永かおりさんによるワークショップ開催)
(参照:「お花を一輪でも救いたい!廃棄花に新たな〝命〟を」 フラワーキャンドルデザイナー安永かおりさん)

ロスフラワーを生まない循環プロジェクトのイベントを開催

 

フラワーアーティストの「前田有紀」さんは、企業とのコラボレーション企画で「ロスフラワーを生まない花の楽しみ方を提案する循環プロジェクト」を行っています。これまで、フラワーオブジェのイルミネーションやフラワードームの制作をしてきました。

使用した花はオブジェとしての役目を終えたあと、来場者へのギフトやワークショップに活用するなどして循環利用します。

オブジェに使用される花は、ギフトやワークショップで活用しやすいように、除草剤以外の農薬は控え、環境負荷の低い栽培方法で育てられた花を選んでいる点もポイントです。

「フラワーオブジェが記憶に残り、そのあとさまざまな人の手に渡って、それぞれの美しい記憶として残るように」という、前田さんの想いが込められています。

(参照:SDGsがテーマのアート・インスタレーションを展開する「DOME」新設 第一弾は「ロスを生まない」フラワーオブジェのイルミネーション)
(参照:「ITOCHU SDGs STUDIO DOME」collaboration 第二弾は「希望を愛でる」)

ロスフラワーに目を向けて自分にできる循環利用を考えてみよう

5-ロスフラワーに新たな命を吹き込むアーティストたちの活動に注目!.jpg
サイズや形が悪いなどの規格外や売れ残り、イベントの装飾で役目を終えた花など、美しく咲いているのに廃棄されてしまう花は、想像以上に多いのが現状です。

ロスフラワーを新たな作品に蘇らせたり、楽しみを提案したりするアーティストの力によって花の循環利用が広がりつつあります。

これを機に、ロスフラワーを使ったワークショップやイベントに参加してみるのも良いでしょう。自分にできる花の循環利用を考えてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい: ホテルにおけるサーキュラーエコノミーとは?海外と日本の取り組み事例

Share

  • Facebook
  • Twitter
  • whatsapp
  • URLをコピー

BLOGのおすすめ記事

CLOSE

greengrowers

URLをコピーしました