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化粧品業界におけるサステナブルな取り組み|問題と解決策
Friday, 12 January 2024
これを受け化粧品業界では、問題解決に向けたサステナブルな取り組みが進められています。今回は化粧品業界が抱える問題やサステナブルな取り組みを解説します!
化粧品業界が抱える問題
化粧品業界が抱える問題には、化粧品の成分やパッケージによる環境負荷、動物実験の問題や廃棄量に至るまでさまざまあります。まずはそれぞれの問題を詳しく見ていきましょう。
化粧品に含まれるマイクロプラスチック問題
実は化粧品の成分にはマイクロプラスチックが使われているものがあります。マイクロプラスチックは、なめらかさやしっとり感を与える特徴があるため、化粧下地やコンシーラーなど多岐に渡って使われているのです。
マイクロプラスチックと呼ばれる成分には、ナイロン12(PA12)・ポリエチレン・ポリウレタン・アクリレーツコポリマーなどがあります。国連UNEPの調査によると化粧品の原料に含まれるマイクロプラスチックは500種類以上です。
5mm以下で非常に小さいため、下水処理施設のフィルターをすり抜けて海に流出し、魚が飲み込んでしまうといった問題が起きています。
(参照:プラごみだけじゃない。コスメがもたらすマイクロプラスチック汚染の実態)
パーム油の問題
化粧品やシャンプーなどに含まれるパーム油が、環境破壊の原因になるとして問題視されています。パーム油の原料となるアブラヤシは主に熱帯地方のインドネシア・タイ・マレーシアで栽培されています。
中でもインドネシアやマレーシアでは栽培地を拡大するために、過剰な森林伐採が行われているのです。
森林減少に伴って生物多様性が喪失したり、泥炭地林の伐採によって埋まっていた炭素から二酸化炭素が大量に放出されたりする事態が起きています。また、アブラヤシ農園での児童労働や強制労働などの問題も生じています。
(参照:モアニ・オーガニクス)
化粧品パッケージの環境負荷
化粧品やシャンプー、スキンケア商品の多くはプラスチック容器やプラスチック包装のパッケージが使われています。石油由来のプラスチックは製造の過程で二酸化炭素が発生するほか、廃棄の際には生分解できないため自然界に残り続けてしまいます。
このような理由から、化粧品やシャンプーのパッケージは環境負荷が大きいと問題視されてきました。サステナブルが叫ばれる昨今では、環境負荷の低い容器への移行が求められています。
(参照:化粧品の環境負荷とその削減の取り組み)
廃棄量の問題
国内の化粧品メーカー上位5社だけでも、毎年約2万トン以上もの化粧品が廃棄されているといわれています。化粧品には使用期限があるため、売れ残った化粧品はいずれ廃棄せざるを得ないからです。
また、化粧品を最後まで使い切れずに捨ててしまう人を調査した結果、5,000人中8割以上いることがわかりました。食品や衣服のみならず、化粧品における大量生産・大量消費の問題も深刻であることが明らかになっています。
(参照:毎年約2万トン以上のコスメが捨てられる時代に私たちができること | COLOR Again開発秘話)
上記以外にも、化粧品やシャンプーの開発における動物実験の問題もあります。
動物実験の問題について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
化粧品業界におけるサステナブルな取り組み
化粧品業界が抱える問題を見てきましたが、人を美しくするだけでなく自然環境や動物にも優しくあることを掲げ、業界全体で問題解決に向けたサステナブルな取り組みが広がっています。
ここからは、化粧品業界におけるサステナブルな取り組みをチェックしていきましょう。
マイクロプラスチックの代替品となる成分を開発
マイクロプラスチックの代替品となる植物由来の成分を入れた化粧品が開発されています。ヤシなどに含まれる「ラウリン酸」とアミノ酸の一種である「リジン」を組み合わせた生分解に優れた成分が特徴。
マイクロプラスチックを含む化粧品が持つ肌触りや使用感を再現しています。高品質な使い心地でありながら環境負荷を軽減できるとして、期待が寄せられている成分です。
RSPO認証のパーム油を使用
化粧品やシャンプーに含まれるパーム油において、RSPO認証のパーム油への切り替えが進められています。
RSPO認証とは、森林や生態系を守り、労働者にも配慮されて栽培されたアブラヤシから採れたパーム油である証です。RSPO認証のマークがある化粧品を使うことで、森林伐採や生態系を守り、生産地で働く人々を支援することにつながります。
プラスチック容器から環境に優しいパッケージへの切り替え
化粧品業界では環境に優しい容器やパッケージへの切り替えが進められています。例えば100%リサイクルPETを使った容器や森林由来の原料で作られた紙素材のパッケージ、サステナブルな原料である竹やガラスのパッケージなどが挙げられます。
中には固形タイプのシャンプーを開発し、プラスチックボトルの製造や廃棄を防止する企業もあるなど、脱プラスチックの商品が増えている傾向です。
環境に配慮されたサステナブルな化粧品を選んでみよう
化粧品業界におけるサステナブルな取り組みは、上記以外にも動物実験の廃止や使用後の空容器の回収などがあります。また廃棄量の削減に向けて、売れ残った化粧品を低価格で販売することもサステナブルな取り組みのひとつです。
これから化粧品を選ぶ際には、マイクロプラスチックが含まれていないか内容成分に目を向け、容器も環境負荷の少ないサステナブルな商品を選ぶことをおすすめします。また、廃棄量を減らすためにも、最後まで使い切るよう心がけていきましょう。
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