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2022年の気候変動予測|気温上昇が続くことで予想される日本の未来
Tuesday, 15 March 2022
気候変動が続く限り、自然環境や人々に与える影響も広がっていくことが考えられるでしょう。果たして、2022年の気候変動予測はどうなっているのでしょうか。
新型コロナウイルスの影響で起こった変化や、気温上昇が続くことで予想される日本の未来を確認していきましょう。
新型コロナウイルスの流行で二酸化炭素(CO2)排出量が減った?
2019年12月に発生した新型コロナウイルス感染症の影響で、温室効果ガスの排出量が一時的に減少したことがわかりました。
あらゆる国々で都市封鎖が起こり、世界経済が停滞したことは記憶に新しいところです。産業が停滞するだけでなく、人々の移動も制限されたことによって、移動の際に排出されるCO2も減少したのでしょう。
そのため、2020年の世界におけるCO2排出量は前年比で-7%(24億トンの減少)、第二次世界大戦以来最大の減少幅になったといわれています。(グローバル・カーボン・プロジェクト調べ)
しかし、CO2排出量の減少は一時的なものであり、パンデミックが収束する頃には排出量は元に戻るであろうと予想されています。
とはいえ、各国の政府が収束後にどのような対策をとるかが、CO2の排出量と気候変動に大きく影響することでしょう。
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このまま気温上昇が続くとどうなる?予想される日本の未来
IPCCの第5次評価報告書では、このまま地球温暖化が進み続ければ将来、世界の平均気温が2℃〜4℃上昇すると予測しています。
これだけの気温上昇が起こるとどのような影響が起こるのでしょうか。文部科学省と気象庁が2020年に出した報告書に基づいて、気温が2℃〜4℃上昇した場合の日本における気候変化の予測を解説していきます。
<猛暑日や熱帯夜の増加>
まず、気温が上昇することによって、今以上に猛暑日や熱帯夜の日が増えることが予想されます。2℃上昇した場合の年間の猛暑日は約2. 8日増加、4℃上昇した場合は約19. 1日増加するといわれています。また、気温の上昇に伴い、冬日の日数は減少するとされています。
<激しい雨の日が増える>
気温上昇によって、雨の降る日数全体は減るものの、大雨や短時間豪雨など、激しい雨の日が増えると予測されています。例えば1時間の降水量50mm以上(非常に激しい雨)の頻度は、約1.6〜2.3倍に増加するといわれています。
また、梅雨時期の雨量も増えると予想されています。
<北海道他、一部の地域を除き降雪量が減少する>
地球温暖化によって気温が上昇すると、北海道内陸部の一部の地域を除いて、降雪量が減少すると予測されています。気温が2℃上昇した場合の年間降雪量は約30%減少、4℃上昇した場合は約70%減少するでしょう。
また、雪ではなく雨が降る頻度が高くなるといわれています。一方、北海道内陸部など一部の地域では、大雪の日が増加する可能性があると予想されています。
<日本付近における台風の強度が強まる>
気温上昇に伴い、日本付近における台風の強度が強まることが予測されています。なぜなら台風のエネルギー源である大気中の水蒸気量が増えるからです。
また、4℃気温が上昇した場合には、日本の南海上において、猛烈な台風に相当するほどの非常に強い熱帯低気圧の発生しやすくなる可能性があることがシミュレーションで明らかになっています。
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<日本近海の平均海面水温が上昇>
21世紀末まで気温上昇が続けば、日本近海の平均海面水温が上昇すると予測されています。昇温の度合いは海域によって異なる特徴があり、気温が2℃上昇した場合では日本海中部で、4℃上昇した場合には釧路沖や三陸沖で海面水温が上昇するとされています。
また、温まりやすい陸地に近い場合や、暖流の影響がある場合、海面水温の上昇幅は大きくなると考えられています。このことから、世界平均よりも日本近海の上昇幅は大きいと予測されています。
<海面水位の上昇>
気温が上昇することで、海面水温だけでなく海面水位まで上がると予測されています。
21世紀末の日本沿岸における平均海面水位は世界の平均海面水位と同じレベル(気温が2℃上昇した場合0.39m、4℃上昇した場合0.71m)で上昇すると考えられています。
平均海面水位が上がることで、浸水災害のリスクが高まる可能性があるでしょう。
<オホーツク海の海氷面積の減少>
21世紀末の3月のオホーツク海の海氷面積は、気温が2℃上昇した場合は約28%減少、気温が4℃上昇した場合には約70%減少すると予測されています。
またそれに加えて4℃上昇した場合には、21世紀の半ばになると夏季に北極海における海氷面積のほとんどが溶けてしまうといった現象が起こると考えられています。
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気候変動を抑えて、予測結果を変える持続可能な未来に
気温上昇が続くことで予想される日本の未来を見てきましたが、忘れてはならないのが、これらはあくまでも予測だということです。
このまま具体的な対策をとらずに温室効果ガスを排出し続ければ、予測が現実となってしまうでしょう。しかし、温室効果ガスの排出抑制によって、将来の予測結果が変わることも十分に考えられます。
2022年、世の中がさまざまな苦境を抱えながらも、どれだけ温暖化対策を進められるかによって、気候変動を抑えることにつながっていくでしょう。
子どもたちが安心して暮らせる持続可能な未来を目指すためにも、今すぐできる取り組みから始めていきましょう。