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食のサーキュラーエコノミーとは?解決が期待できる問題と食品業界の実例
Friday, 19 January 2024
食の持続可能性を目指すには新しい経済システムである「サーキュラーエコノミー」に移行し、問題を解決することが必要不可欠です。
そこで今回は、食のサーキュラーエコノミーとは何か、導入することで解決が期待できる問題や、食品業界の実例を解説します!
食のサーキュラーエコノミーとは?
食のサーキュラーエコノミーとは、本来廃棄される食品を資源として活用する取り組みのことです。そもそも「サーキュラーエコノミー」とは、資源を循環させる経済システムを指します。
サーキュラーエコノミーは、持続可能な脱炭素社会(カーボンニュートラル)を目指す上で重要な柱になるとされ、多くの国が国家政策として掲げています。中でもシステムの変革が必要な食や農業の分野において注目されているのです。
日本では「第四次循環型社会形成推進基本計画の概要」の中で、2030年までに家庭系食品ロス量を半分に減らすことを目標に掲げた取り組みを推進しています。
とはいえ、廃棄される食品を資源として活用するには、食や農業の分野だけでは難しく、さまざまな業界との連携が求められています。
(参照:第四次循環型社会形成推進基本計画の概要)
食のサーキュラーエコノミーで解決が期待できる問題とは
食のサーキュラーエコノミーを推進することによって、食に関するさまざまな問題への解決が期待できるとされています。どんな問題を解決に導けるのか、詳しく見ていきしょう。
食品ロスの問題
大量生産・大量消費・大量廃棄という従来の食料システムによって、食品ロスの問題が深刻化しています。世界の食品廃棄量は年間13億トン、日本でも年間2,842万トンに上る量の食品ロスが発生しています。
廃棄された食品を焼却・埋め立て処分することによって、温暖化の原因になる温室効果ガスの排出量が増加しているのです。
食のサーキュラーシステムは、廃棄予定の資源を循環させる取り組みを行うため、食品ロスの問題解決が期待できます。
(参照:食品ロスの現状を知る:農林水産省)
食品生産における環境汚染問題
食品を生産する過程では、さまざまな環境負荷がかかります。例えば、大量の土地を使用するために森林破壊を起こし、生物多様性を損失していることが挙げられます。
また、食物を効率的に生産するために、広大な面積で大量の化学肥料や農薬をまいて栽培をしているのも一つの例です。
食のサーキュラーエコノミーは、廃棄物や汚染を生み出さず、自然なサイクルを再生することを前提としているため、従来の食料システムが引き起こしていた環境汚染問題を防ぐことにつながります。
(参照:食品産業 と環境問題)
飢餓問題
先進国では多くの食べ物が捨てられている一方で、発展途上国では飢餓で苦しむ人々がいます。ユニセフや国連などが発表しているレポート「世界の食料安全保障と栄養の現状(2022年版)」によると、2021年には8億2,800万人が飢餓の影響を受けていると報告されています。
しかし一方では、先進国を含む世界各地で2021年だけでも約25億トンの食品ロスが発生しているのです。食のサーキュラーエコノミーの導入によって、廃棄予定の食品を資源として効率的に生かし、飢餓問題の解決に貢献できるとしています。
廃プラスチック問題
年間約4億トン生産されているプラスチックのうち、包装容器が全体の約3分の1を占めています。レジ袋の廃止は進んでいますが、プラスチック容器の使用はまだまだ改善が進んでいないのが現状です。
プラスチック容器は安価で軽量かつ、食品のにおいを遮断したり酸化を防いだりと利点が多いため、これに変わる代替素材がなかなかない点が問題です。
しかし、食のサーキュラーエコノミーによって生分解可能なプラスチックが登場するなど、廃プラスチック削減への期待が高まっています。
(参照:プラスチックを取り巻く国内外の状況)
食品業界におけるサーキュラーエコノミーの実践例
ここでは、サーキュラーエコノミーを実践する食品業界の一例をご紹介します。
飲食店で発生する食品廃棄物を堆肥化し、農作物の栽培に
飲食チェーンを展開する企業では、飲食店で発生した食品廃棄物をバイオコンポスターにかけて堆肥化し、新たな農作物の栽培に利用して、育った作物をまた飲食店で提供するという循環型の食品システムを実現しています。
食品廃棄物を有効活用し、環境負荷の軽減と資源やエネルギー消費の抑制に貢献する取り組みです。
(参照:食品廃棄物を活用したサーキュラーエコノミーの取り組みを飲食チェーン「梅の花」で開始)
規格外の地魚を生かした魚肉ハム
定置網にかかったものの、サイズが小さいなどの理由で規格外になった地魚をブレンドした魚肉ハムの製造・販売を行っています。本来なら廃棄されてしまう規格外の地魚を生かして、新たな製品を生み出している点が魅力です。
添加物や化学調味料、つなぎのでんぷんも一切使用していません。海洋資源を大切にし、からだへの影響も考えた取り組みです。
食のサーキュラーエコノミーへの関心を深め、食品ロスを減らそう!
本来廃棄されるはずの食品を資源として活用する、食のサーキュラーエコノミー。食品ロスや食品生産における環境汚染、飢餓問題など、さまざまな課題の解決が期待できます。
持続可能な食料システムを構築するためにも、サーキュラーエコノミーの推進は不可欠です。食のサーキュラーエコノミーへの関心を深め、食品ロスを減らし、持続可能な食生活を目指していきましょう。
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