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クライメートテックの二酸化炭素削減の取り組み|CCS・CCUSとは
Friday, 07 February 2025

今回はクライメートテックの二酸化炭素削減にあたる「CCS」「CCUS」技術について解説します。
クライメートテックの二酸化炭素削減分野の重要性
クライメートテックが扱う分野の中で、二酸化炭素(CO2)削減に関する取り組みは非常に重要視されています。なぜならCO2は地球温暖化や気候変動を引き起こす最大の原因となる温室効果ガスであるからです。
特に発電や輸送、産業活動などで発生する化石燃料によるCO2は、世界で排出されている温室効果ガスの75%を超えるといわれています。
また、世界各国で温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ実質ゼロの「カーボンニュートラル(脱炭素社会)」の実現が表明されており、日本は2050年までに達成を目指すと宣言しています。
このような状況から、温暖化を軽減し気候変動による影響を緩和させるためには、CO2削減に向けた革新的技術の発展や取り組みが重要不可欠です。

クライメートテックの二酸化炭素削減にあたるCCS・CCUSとは?
気候変動への対応やカーボンニュートラルの実現に向けて、クライメートテックではCO2の排出量削減だけでなく、回収・貯留する「CCS」技術や、貯留したCO2を活用していく「CCUS」技術の開発に取り組んでいます。
これらは「ネガティブエミッション」とも呼ばれる技術です。ここからは、クライメートテックの革新的技術である「CCS」と「CCUS」について見ていきましょう。
(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/green_innovation/pdf/007_03_02.pdf)
<CCS>
CCSとは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略称で、日本語で「二酸化炭素の回収・貯留」という意味を持ちます。家庭や工場、商業施設や自動車などから大気中に発生されるCO2を分離・回収し、地中深くに貯留し圧入するという技術です。
例えば、約27万世帯分の電力が供給できる石炭火力発電所にCCSを導入した場合、年間約340万トンのCO2排出量を抑えられるといわれています。
海外ではCCSの事業化が進んでおり、日本においてもCCS導入に向けて技術開発や大規模な実証実験が行われているところです。
CCSは火力発電以外に、製鉄所やセメント工場、ごみ焼却施設などに導入可能とされており、大気中へ放出されるCO2排出量を大幅に削減できるとして、法整備や支援制度の確立が急務となっています。
(参考:https://www.env.go.jp/content/900440703.pdf
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20220907.html
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccs_law_01.html)
<CCUS>
CCUSとは「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略称で、分離して回収、貯留したCO2を、再び資源として有効活用する技術のことです。
貯留していたCO2を資源として有効利用する際には、直接利用する方法と燃料やプラスチックなどに変換して利用する方法があります。
直接利用する場合の例として、石油の採掘時にCO2を圧入して原油の回収を促進したり、生産工場で回収したCO2を炭酸飲料のガスやドライアイスへ利用するなどの方法が挙げられます。
一方、CO2を他の物質に変換する場合はエネルギーを必要としますが、再生可能エネルギーを活用するなど、できるだけ環境負荷をかけない方法が研究されているところです。
(参考:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccus.html)

CCSにおける課題をチェック
CCSやCCUSは2050年のカーボンニュートラルを実現する上で重要な役割を担う一方で、いくつかの課題も抱えています。ここでは、CCSにおける課題をチェックしていきましょう。
<高コストの問題>
CCSの最も大きな問題は、コストが高いことです。CO2を他の気体から分離させ、回収する際に多額のコストが発生することに加え、CO2の輸送や地下への注入時にもコストがかかります。
CCSには専門的な技術や設備が必要であるため、初期投資や運用コストが高額になってしまうのです。
例えば、CO2を1トン回収するのに対して約4,000円前後のコストが発生するといわれています。現在、コスト削減に向けて技術開発を進めている段階です。
経済産業省が支援し、CO2を分離、回収する際に使う固体吸収剤が開発され、従来の半分のコストでCO2の分離・回収を目指し実証実験を行っています。
(参考:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/ccus.html)
<十分なCO2を貯蓄できる地層の確保>
CCSを進めるにあたって必要なのがCO2を貯留するための地層の確保です。CO2を安全かつ長期的に貯留するためには、条件に該当する場所を見つけなければなりません。
例えば、地表面や海底面から1,000m以上深いことや、貯留岩が遮蔽層などで覆われていること、十分な貯留容積があることが挙げられます。これらの条件に見合った地層を見つけるには、あらゆる技術やデータが必要です。

クライメートテックの重要分野「CCS・CCUS」が脱炭素社会の鍵に!
クライメートテックが扱う二酸化炭素削減の分野「CCS」「CCUS」は、カーボンニュートラル実現の鍵になる、重要な取り組みです。
大気中の二酸化炭素を分解・回収し、地下に貯留するCCS技術や、貯留したCO2を再び資源として活用するCCUS技術が、CO2排出量を大幅に削減してくれます。
日常生活でCO2削減を意識しながら、クライメートテックの取り組みの動向にも注目していきましょう。
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