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気候変動による果物への影響|適応策と新たな取り組みの必要性
Thursday, 03 November 2022
今回は気候変動による果物への影響や適応策について解説します!
(参照:気候変動の影響[国連広報センター])
気候変動がもたらす異常気象
日本ではここ数年の間で、夏の猛暑や大雨、猛烈な台風や暖冬などさまざまな異常気象が起こっています。
例えば2018年の夏は記録的な猛暑で、熱中症による死者は全国で1500人以上にのぼりました。またこの年、全国で観測された猛暑日の年間延べ地点数が、過去最多を記録しました。
気象庁の検証では、地球温暖化が起きていなければこのような猛暑は起こり得ないとして、温暖化と猛暑との関連を断定しています。
加えて2020年1月の気象庁の発表によると、日本の平均気温は年による変動はありますが上昇傾向で、1898年以降100年あたり1.24℃の割合で上昇しています。
1990年以降は高温となる年が特に増えています。2020年の平均気温は1991〜2020年の平均値に比べ+0.65℃となり、1898年の統計開始以降、最も高い数値となりました。
気温上昇に伴い、気温25℃を超える熱帯夜や1日の最高気温が35℃以上になる猛暑日は増え、最低気温が0℃以下の冬日は少なくなっています。
さらに1時間の降水量が50ミリを超える、激しい雨の日数は増えており、これも温暖化の影響だと考えられています。
(参照:夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン2020[環境省])
(参照:農業生産における気候変動適応ガイドりんご編[農林水産省])
(参照:気象庁 | 日本の年平均気温)
気候変動による果物への影響
気候変動による異常気象で、果物にも生育障害や品質低下などの影響が出ています。
<りんご>
高温や強い日射しの影響で、皮が日焼けしたり、着色しなかったりといった状況が見られています。
また、害虫の発生増加や凍霜害などの被害が確認されています。凍霜害とは、初冬から早春にかけて発生する気象災害で、夜間の急激な冷え込みで起こります。凍霜害にあうと、りんごの花芽が凍ってだめになるため、実が生らなくなってしまいます。さらに、気温上昇によって発芽・開花時期が早まっていることも報告されています。
<みかん>
夏の水不足や強い日射しによって皮が日焼けし、変色するなどの問題が発生しています。またうんしゅうみかんでは、成熟期の高温や雨の多さが原因で、果肉と皮の間に隙間ができる「浮皮(うきかわ)」と呼ばれる現象が起きています。
さらに、現在うんしゅうみかんの代表的な産地は愛媛県・和歌山県・静岡県ですが、今後の気温上昇に伴い、栽培に適した気温の地域が北上していくと予想されています。
<ぶどう>
高温によって果実の着色不良や日焼け、凍霜害や害虫、実の縮みや割れの発生などが報告されています。特に巨峰などの黒色系品種と呼ばれるものは、高温になると色づきが悪くなります。味に影響はないものの、商品価値が下がるといった問題が発生しています。
このまま地球温暖化が進んだ場合、およそ1.7℃の気温上昇が予測される2030年以降には、着色不良の発生する地域がさらに拡大すると考えられています。
気候変動への適応策と取り組みの必要性
果物の被害状況を見てきましたが、気候変動対策を取らなければ果物への影響はさらに大きくなると予測されています。
しかし、気候変動対策を行ってもすぐに状況を変えることはできません。そこで必要とされているのが、適応策です。
今後も気候変動が進むと予測される中で、農業生産への影響を最小限に抑えられるよう対応していくことが求められています。
また適応策を導入することによって、気候変動のリスクを軽減し、農業経営を安定させることが期待できます。
適応策の例をひとつ挙げると、りんごの日焼け果対策として、畑に細霧冷房装置を導入したケースがあります。その結果、日焼けするりんごは半分以下になり、収益にも良い効果が得られました。
このように、果物を守るためには新たな取り組みを進めていく必要があるといえます。
おいしい果物を食べ続けられるように地球温暖化対策をしよう
気候変動による果物への影響は大きく、地球温暖化が進む中今もなお被害が広がっていると考えられます。農家の方はおいしい果物を生産するために、適応策などの取り組みを進めています。
しかしこの先気候変動が進んだら、食べたい時に果物が手に入る環境ではなくなってしまうかもしれません。そうならないためにも地球温暖化対策の実践が大切です。
節電や節水、ガスの使用をなるべく控えるなど、一人ひとりにできることはたくさんあります。おいしい果物を食べ続けられるように、自分にできる対策を行っていきましょう。
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