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フランスがSDGs達成に向けて躍進!その背景や取り組みを解説

Friday, 27 December 2024

SDGsの取り組みが進んでいる国といえば、フィンランドやデンマーク、ノルウェーといった北欧が有名ですが、近年フランスがSDGs達成度ランキングの上位にランクインしています。フランスでSDGsの取り組みが加速した背景には、一体どのような要因があるのでしょうか?

今回は「SDGs達成のための、各国の取り組み」をテーマに、フランスにおけるSDGsの取り組みに焦点を当てて、解説していきます。

SDGs達成に向けてフランスが躍進している理由 

国連の研究組織が発表している2024年度のSDGs達成度ランキングで、フランスは5位にランクインしています。かつてフランスは2017年の時点で10位に位置し、日本のスコアと僅差でした。

 

しかし、ここ数年で大きく躍進しSDGs先進国の仲間入りを果たしています。他国に比べて着実に前進している理由は、市民の声によってつくられた法律の規制です。

 

フランスでは2021年8月に新たな環境対策として「気候変動対策・レジリエンス強化法」という法律を策定しました。これは市民を代表する150人からなる「気候市民会議」がまとめた、政策提言をもとにつくられた法律なのです。

 

気候市民会議で出された149の提案施策のうち46項目が施行され、「気候変動対策・レジリエンス強化法」の法律に盛り込まれています。

 

政府主導で取り組みが強化されるのではなく、国民の意見を反映させ、環境問題への関心や意識を高めることが、国全体のSDGsの達成度につながっているといえます。

 

(参考:市民からの政策提言を基に環境法を策定・施行(フランス))

SDGs達成に向かって加速するフランスの取り組み

では、実際にフランスではどのような取り組みが行われているのでしょうか。ここでは「気候変動対策・レジリエンス強化法」で制定された法律にも触れながら、フランスのSDGsの取り組みを見ていきましょう。

 

<食品にかかる環境負荷を示す「エコ・スコア」を導入>  

フランスでは、2021年より食品にかかる環境負荷を表示する「エコ・スコア」を導入しています。

 

エコ・スコアとは、食品関連のIT企業や市民団体が共同で作成したもので、食品の生産から加工、輸送に至るまでにかかる環境負荷をA(緑)、B(黄緑)、C(黄)、D(オレンジ)、E(赤)の5段階でランク付けした表示です。

 

評価基準には、CO2排出量や再生不可能な資源の使用量、大気や海洋、土壌、生態系への影響などが含まれています。エコ・スコアは世界中の食品を掲載しているアプリやECサイトなどで確認できる仕組みです。

 

環境への影響を可視化し、消費者にわかりやすく提示することで、環境に配慮した製品の選択を促すと共に、食品メーカーに対して環境に優しい製品づくりを求めることを目的としています。

 

また、2024年からは衣類向けの「エコ・スコア」の導入が開始しており、2025年には繊維を含む複数の部門で義務付けられる予定です。

 

(参考:https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/01/e94f5b2dc07f23c1.html

https://www.parisettoi.fr/news/20240404-002/)

 

<持続可能な食材を50%使用する「エガリム法」を実施>  

フランスでは2017年にエガリム法が制定されました。この法律は学校や介護施設、病院などの共同食堂において、持続可能な食材を50%、うち20%はオーガニック食材を使わなければならないという法律です。

 

持続可能な食材とは、オーガニック認証やフェアトレード、エコサートなどの認証マークがある食品を指します。エガリム法は、農業流通の改善や健康的で持続可能な食品への移行、たんぱく源の多様化とベジタリアンメニューの推進などを目的とした取り組みです。

 

また、プラスチック製品の使用廃止や、食品廃棄物の削減なども含まれます。エガリム法の導入によって農業従事者の収入が改善され、健康的な食品へのアクセスが向上し、消費者の健康を守ることにつながるなど、フードシステム全体の持続可能性を高めています。

 

さらにエガリム法に基づき、2025年からはフランス全体の食品の50%を持続可能な食材に、うち20%をオーガニック食材にすることが「気候変動対策・レジリエンス強化法」で策定されました。

 

(参考:https://organickyushoku.com/egalim2/

https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/attach/pdf/itaku31-11.pdf)

 

<列車で2時間半以内の短距離での航空フライトを禁止>

気候市民会議での提唱を受けて、フランス政府は2023年の5月より、列車で2時間半以内に移動できる短距離での航空フライトを禁止する法律を策定しました。

 

パリやリヨン、ナント、ボルドーまでの国内線ルートは、列車でも2時間半以内に移動できるとして運行禁止になりましたが、乗り継ぎ便は影響を受けないとしています。

 

フランスの消費者団体の調査では、航空機での移動で発生する乗客1人あたりのCO2排出量は、列車の移動に比べて77倍になると報告しています。

 

フランスでは2030年までに1990年比で温室効果ガス排出量を40%削減するとしており、航空機の運航を減らして温室効果ガス排出量を大幅に削減することがねらいです。

 

(参考:フランス、短距離フライトを禁止 CO2削減のため)

 

<売れ残りの衣類は焼却や埋め立て処分を禁止> 

フランスでは、2022年1月から売れ残り衣類の焼却・埋め立て処分を法律で禁止しています。衣服廃棄禁止令は世界初であり、国外のアパレル業界にも激震が走りました。

 

資源の循環利用を促すことを目的としており、衣類に関してはリサイクルや寄付による処分方法を義務付けています。

 

(参考:リサイクル、寄付での処理を義務づけ)

フランス市民が出した政策提言による取り組みでSDGs達成率アップに

フランスのSDGsが躍進した理由には、気候市民会議で出された政策提言によってSDGs達成に向けた取り組みが強化された背景があります。SDGs達成を目指すには、フランスのように国民の意見を反映し、環境意識を高める必要性があるかもしれません。

 

あわせて読みたい: SDGs「食品ロス問題」に関わる規格外野菜とは?

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