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気候変動と感染症の関係|日本でのマラリアやデング熱流行の可能性
Wednesday, 02 November 2022
今回は気候変動と感染症の関係や、マラリアやデング熱が日本で流行する可能性について、また蚊の媒介する感染症を防ぐために家庭でできる対策を紹介します!
気候変動と感染症の関係
そもそも感染症とは、ウィルスや細菌などの病原体が蚊やダニなどの動物、あるいは水や食べ物、さらには他の人間を通して人間の身体に侵入することによって起きる病気です。
気候変動によって気温が上昇すると、蚊に媒介されて感染するマラリアやデング熱は増加すると予測されています。しかし、気温上昇のみが原因とは言い切れず、気候変動によってさまざまな条件が重なることで影響を受けると考えられています。
例えば気候変動によって特定の時期の雨量が増えれば、蚊の発生数、そして媒介される病原体の数が増え、人体に侵入する機会も増えるでしょう。
また気候変動によって冬の気温が上昇すれば、冬に死滅していた蚊の寿命が延びて、病原体を媒介しやすい環境が生まれてしまいます。
さらに、地球温暖化によって夏の最高気温が上昇し、人々が半袖、短パンなどで過ごす機会が増えれば、より蚊に刺されやすくなるでしょう。
このように気候変動によってさまざまな条件が重なることで、感染症が増えると予測されています。
日本でもマラリアやデング熱が流行する可能性は?
デング熱はヒトスジシマカに刺されることで感染する病気で、2014年に国内感染が発見され注目を集めました。一方マラリアは、マラリア原虫という病原体を持つハマダラカに刺されることで感染する病気です。
2018年に公表されたデータによると、マラリアには世界で年間約2億2000万人が感染、推計43万5000人が死亡しています。
世界では主にアフリカ、オセアニア、アジアなどの熱帯・亜熱帯地域で流行していますが、日本で感染する可能性はあるのでしょうか。
(参照:マラリアに注意しましょう!)
<明治・大正時代に日本で流行していたマラリア>
国内での感染を聞かないマラリアですが、実は明治・大正時代に日本で流行していたといいます。マラリアの媒介蚊であるハマダラカは水田に多く発生していましたが、水田地帯の環境変化や稲作法の変化などが原因で次第に減少したと考えられています。
現在日本で確認されるのは、外国で感染し帰国してから発症する例で、年間100〜150名程度です。
マラリアは、日本の衛生環境や現代の生活スタイルでは感染リスクが低いといわれています。その一方で、今後大規模な自然災害など生活スタイルを覆すような出来事が起こった場合には、日本でマラリアが流行する可能性があるといえるでしょう。
<2014年に国内感染が発見されたデング熱>
デング熱は2014年に国内感染が発見されました。約160名もの感染者が出たことは記憶に新しいでしょう。デング熱の病原体を持つヒトスジシマカは、マラリアを媒介するハマダラカと違い、都市部でも生息できるのが特徴です。
ヒトスジシマカの分布域は地球温暖化に伴い北上していることが明らかになっています。1948年頃には栃木県北部まででしたが、気温の上昇と共に2017年には青森県まで分布域が広がっています。今後も温暖化が進めばさらに分布域は拡大し、デング熱の感染リスクも高くなっていくと予測されています。
(参照:ヒトスジシマカの分布域拡大について)
蚊を媒介した感染症から守る方法
マラリアやデング熱など、蚊の媒介する感染症から守るために、家庭でできる対策があります。ポイントは蚊に刺されないようにすることと、蚊を発生させないようにすることです。それぞれチェックしていきましょう。
<蚊に刺されないよう長袖の服を着るなどの工夫をする>
蚊に刺されないよう、外出の際には長袖や長ズボンを身に着け、素足でのサンダルは避けましょう。また、虫よけスプレー、シールやリングタイプの虫よけも効果が期待できます。蚊を寄せ付けない工夫が重要です。
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<蚊を発生させないよう、水たまりをなくす>
デング熱を媒介するヒトスジシマカは交尾後水中に産卵する性質があり、狭い水たまりを好みます。そのため、屋外の植木鉢の受け皿やバケツ、空き缶やペットボトルなどに溜まった水は産卵されやすく、注意が必要です。
家の周囲に危ない水たまりがないかチェックし、ヒトスジシマカの発生を抑えてデング熱を防ぎましょう。
感染症対策と同時に気候変動対策を行って地球温暖化を抑えよう
マラリアやデング熱などの感染症は命の危険に関わる病気のため、家庭でできる対策をして感染を防ぐことが大切です。それと同時に、感染症の流行を抑えるためには、気候変動の影響を減らせるよう地球温暖化対策をする必要があります。
電気や燃料の節約など、日々の生活でできる取り組みをし、感染症と気候変動の両方に対策を行っていきましょう。
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