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気候変動は誰を危険にさらすのか?
Monday, 06 December 2021
日本でも猛暑日や集中豪雨などが増え、明らかに気候が変化していることを感じている方は多いのではないでしょうか。
今回は、気候変動はなぜ起こるのか、また誰にどのような危険をもたらすのか、詳しく解説していきます。
気候変動とは
『気候変動』とは、大気の平均状態となる気候が数十年という長期間の中で移り変わることを表しています。そもそも地球上で起こる雨や雷、霧や雪、虹といった大気現象は、太陽から受け取ったエネルギーが源になっています。
太陽からのエネルギーは大気圏だけでなく、さまざまな形態に変化しながら海洋・陸地・雪氷・生物圏の間で流れ、最終的には宇宙に放出されるのです。こうして地球のエネルギー収支は維持されています。
このようなエネルギーに関係する地球全体のシステムを気候系と呼び、この中にある大気の平均状態を気候としています。
気候はさまざまな要因により変動するのが特徴ですが、近年問題視されている気候変動には、自然の要因と人為的要因があると言われています。
自然の要因と人為的要因とは
自然の要因とは、大気自体の要因以外に海洋の変動や火山の噴火による大気中の物質量の変化、あるいは太陽活動の変化などがあげられます。
特に海は地球表面の7割を占めており、大気との間で熱や水蒸気などを交換しています。そのため、海流や海面水温などの変動は大気に大きな影響をもたらすのです。
一方、人為的な要因とは、人間が排出する二酸化炭素(CO2)やメタン、フロンといった温室効果ガスの増加、森林破壊といった人間の活動によるものです。
近年では石油や石炭などの化石燃料の大量消費によって大気中の二酸化炭素濃度が急速に高まっています。その結果、気温上昇や地球全体のエネルギーバランスの変化を引き起こし、気候に大きな変動が発生しているのです。つまり、地球温暖化を引き起こす主な原因は人為的要因であると考えられています。
気候変動によって起こる現象
気候変動は現時点で世界中にさまざまな変化をもたらしています。気候変動によって起こっている現象を知り、対策を打たなくてはいけません。
〈気温の上昇〉
世界の年平均気温は19世紀後半以降、100年あたり0.72℃の割合で上昇しています。21世紀末(2081~2100年)における世界の年平均気温は20世紀末(1986~2005年)と比較して、最悪の場合2.6~4.8℃も上昇することが予測されています。
〈海水温の上昇〉
海洋の温暖化は特に進んでいると言われています。世界の年平均海面水温は1891~2016年において100年あたり0.53℃の割合で上昇。21世紀の間、世界全体で海水温は上昇し続けると予測されており、21世紀末までには最低でも約0.6℃、最悪の場合約2.0℃上昇すると考えられています。
〈北極の氷の減少〉
北極の氷の面積は1979年以降減少を続け、平均で毎年北海道とほぼ同じ面積が減少しています。21世紀末における北極の9月の面積は、20世紀末と比較して少なくとも43%、最悪の場合94%減少すると予測されています。
気候変動によって受ける影響
気温や海水温の上昇、また北極の氷の減少といった現象が実際に発生していることをお伝えしましたが、これによって誰がどのように影響を受けるのでしょうか。さらに詳しく見ていきましょう。
〈自然環境、植物への被害〉
気温上昇によって、農作物の品質が低下したり、植物が育たなくなったりするなど、自然環境や植物への影響は日に日に大きくなっています。長期間雨が降らず干ばつになったり、反対に集中豪雨で洪水が起こったりと、不安定な気候による自然災害が今も世界で絶え間なく発生しています。
また乾燥化が進む地域では、熱波による山火事で多くの森林が破壊され、回復できない状態にまで陥っています。加えて、樹木が燃えることで二酸化炭素が大量に放出されてしまうため、温暖化を加速してしまうことにもつながっています。
〈生態系への影響〉
海水温が上昇することによって、海水面が膨張し水位が上昇する現象が起こっています。実際に過去約100年間で世界の平均海水面は約16cm上昇しています。南太平洋の島国では海面上昇が進むことで、海岸線が内陸まで入り込んできているのです。場所によっては国土すべてが海に沈んでしまう危険性も出てくると言われています。
また、海水面の上昇に加え、海水温の上昇自体も海のさまざまな生き物に大きな影響を与えます。特にサンゴは水温の変化に弱いため、絶滅する可能性もあると危惧されているのです。
さらに、北極の氷の減少によって、活動範囲が狭まりホッキョクグマが減少するなどの問題が発生しています。
生態系への影響は海だけにとどまらず、地上の生き物たちも大きく関わっています。生息場所を変えざるを得ない動物や、気候の変化に耐え切れず絶滅する生き物も増えてくることでしょう。
〈人々、暮らしへの影響〉
自然環境や生態系への影響が出るということは、つまり人間の暮らしにも大きな影響を及ぼすということです。
干ばつや乾燥化が進む地域では水不足によって食料の生産量が低下し、飢餓や貧困に苦しむ人々がいます。また、こういった地域では病気や感染症が広がりやすく、被害が拡大しやすいでしょう。
さらに、熱波や洪水などの自然災害が拍車をかけ、命を落とす人も少なくありません。このような問題は遠い海外の国々に限ったことではなく、私たちの暮らしにもつながっていると言えます。
例えば、サンゴが消え、海の生き物が生息できなくなれば、今までのように魚を食べることも難しくなるでしょう。そして、きれいな海の景色さえ二度と見られなくなってしまうかもしれません。
地球上の生命を守るために気候変動にどう向き合うか
ここまで、気候変動は地球上のすべての生命に影響を及ぼすということを見てきました。つまり、誰ひとりとして関係のない人はいないということ。誰もが気候変動による危険にさらされる可能性があるのです。
気候が大きく変動している最大の原因は人間の活動です。地球を持続可能にするために必要な水や海、森林や山などの資源を守り、植物や動物、海の生き物たちなどさまざまな生態系と共存していくためには、私たち人間が気候変動にどう向き合っていくかが重要な鍵となります。
気候変動の進行を少しでも緩和するために、私たちひとりひとりが対策をとることが重要です。省エネを心掛け、二酸化炭素の排出量の多い自動車を避け公共交通機関を使うなど、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
その一歩が持続可能な未来へとつながっていくことでしょう。