資源の消費を抑えるため書籍を始め、書類やチケットなど、さまざまなものがデジタル化されるようになった昨今。一方でデジタル化による環境負荷が大きくなっているといった声があります。
このままデジタル化を進めていくのは、本当に「エコ」だといえるのでしょうか。そこで今回は、デジタルの環境負荷についての問題点や取り組み、環境負荷軽減に向けて日常生活の中で私たちができることを解説します!
デジタル化は紙などの資源を使わないためエコだと思われがちですが、消費電力の観点から見ると環境負荷が大きいといわれています。
Webページの閲覧やファイルの送信、動画や音声のなどのストリーミングを支え、数十億ギガバイトのデータを保管する世界のデータセンターでは、世界の電力供給の約3%を消費し、イギリス全体の総消費量を上回っていると報告されています。※2015年時点
また、装置を冷却するために大量の水が消費されている点も問題のひとつです。
さらにデータセンターからの二酸化炭素(CO2)排出量は、温室効果ガスの総排出量の約2%を占めており、これは航空業界に匹敵する量だといわれています。
このままいくと世界のデータセンターが消費するエネルギー量は2025年までに約3倍になると予測されており、地球温暖化に大きく影響すると考えられています。
世界の人々は1日に平均6時間37分もデジタル機器の画面を見ていることがデータでわかっています。デジタル機器を使う目的は仕事や娯楽などさまざまですが、個人差はあるものの1日の約4分の1以上をデジタル機器の使用に費やしているのが現状です。
CO2の排出量を抑えるためには、再生可能エネルギーの割合を増やすと共に、IT業界のサステナブル化や、私たち一人ひとりがインターネットの使用について責任を持つ必要があると考えられています。
(参照:Global warming: Data centres to consume three times as much energy in next decade, experts warn)
(参照:Screen Time Statistics: Average Screen Time in US vs. the rest of the world)
デジタルがもたらす環境負荷を軽減するための取り組みとして、イギリスやイタリアなどヨーロッパを中心にサステナブルなWebサイト制作が広がっています。
サステナブルなWebサイトを作るポイントは、とにかくサイトを軽くし通信負荷を低くすることです。大きな画像を使わずサイトを簡素にすることで、ローディングにかかる電力を減らせます。
2Gしか使えない環境に住んでいる人や、災害で最低限の電力しか使えない人は通信負荷の高いサイトを閲覧できず、必要な情報が届かない可能性が高いといえるでしょう。サステナブルなWebサイトは、こうした問題の解決策にもなる取り組みです。
多くの人にとってスマートフォンやパソコン、タブレットなどのデジタル機器は毎日の生活に欠かせないツールです。日常生活の中で使う頻度が高いからこそ、環境負荷も大きくなっていると認識することが大切です。
ここからは、デジタルの環境負荷を軽減するために、日常生活でできる取り組みを紹介します!
デジタルによる環境負荷がこのまま増え続けてしまうと、動画配信やインターネット接続が制限される可能性も少なくないと専門家は懸念しています。
デジタルのサステナビリティを実現するためにも、電力消費を抑えCO2排出量を減らすことが不可欠です。
一人ひとりの行動が地球温暖化を抑えることにつながります。ぜひこの機会に、デジタル機器の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。
(参照:「動画配信、5年後に制限も」 静かに進む、もう1つの電力問題)
あわせて読みたい: 油の流出が環境に与える影響|家庭でできる水質汚染対策は?