BLOG -Circular Economy and Environment
釣りが環境汚染の一因に?海の現状や気をつけるべきことを解説
Tuesday, 06 June 2023
釣りは昔から水中ごみ問題を抱えていましたが、解決どころか状況は悪化をたどる一方です。
今回は釣りが環境汚染の一因といわれる理由や、海の現状、釣りをする際に気をつけるべきことを解説します!
釣りが環境汚染の一因といわれるのはなぜ?
釣りが環境汚染の一因といわれる理由は、マナーの悪い釣り人の行いによって海洋汚染が起きていることが挙げられます。
釣り人すべてが環境を汚しているわけではなく、一部の人によって「釣り=環境負荷が大きい」といったイメージがついてしまったのです。しかし、実際に海洋環境でさまざまな問題が発生しているのは確かです。
では、具体的にどんな問題が起きているのか見ていきましょう。
釣り針で命を奪われたシロチドリ
エサが付いた状態の釣り針をシロチドリが食べてしまい、命を奪われたという事故が発生しています。鳥は、エサに釣り針が付いているかどうかなどわかりません。
釣り針は生態系にも影響を及ぼしてしまうということを意識して取り扱う必要があります。このような事故が起こらないように、釣り針をうっかり海に落としたり置き去りにしてしまうことがないよう慎重に扱わなければなりません。
鉛(なまり)製の重りが水中に残留
鉛製の重りはエサを付けた仕掛けを水中に沈め、釣り場の地形や海底の位置を確認するために使うものです。しかし、鉛は生物や人間にとって有害なものです。
触る程度なら問題ないとされていますが、一定量を越えて体内に入ってしまうと健康を害するといわれています。
そんな有害な鉛製の重りが、水中にそのまま残ってしまい岩礁などに当たって細かく砕け、魚や魚を食べた鳥の体内に取り込まれるリスクがあるのです。
こうした問題の解決策として、最近では「鉄」や「タングステン」を原料にした無害な重りの開発が進んでいます。
プラスチック製のルアーが水中に残留
カラフルな小魚のような形をしたグミのような触感のルアーは、プラスチックを原料とした「ワーム」と呼ばれています。
ワームは金属製や木製のルアーと違い、水中でなめらかな動きをするため、魚の食いつきが良いといった特徴があります。
最近では100円ショップなどでも購入できるほど、安価で手に入りやすいことも人気の一因ですが、プラスチック製のため、釣り糸から外れてしまうと生分解されることはほぼなく水中に残り続けてしまいます。
やがてマイクロプラスチックとなり、魚の体内に取り込まれてしまう可能性もあると問題視されています。
釣り用具の袋やエサの包装容器などのごみ問題
釣り場で最も深刻化しているのは、釣り用具の袋やエサの包装容器などのごみ問題です。
釣り人が持ち帰らずに放置したものや、風で飛ばされて水中に漂っているものなどが後を絶ちません。これらはほぼプラスチックごみのため、やはり生分解されることなくマイクロプラスチックとなって生物に悪影響を及ぼしてしまいます。
釣り具に関しては、生分解性プラスチックの包装容器への移行がなかなか進んでいないのが現状です。
豊かな海を守るために、釣りで気をつけること
釣りに関する問題を見てきましたが、ちょっとした心掛けと行動で環境負荷を軽減できます。ここからはきれいな海を守るために、釣りで気をつけるべきことを確認していきましょう!
ごみを出さない工夫をする
釣りに行く際にはあらかじめごみが出ないような工夫をすると良いでしょう。例えば、釣り用具の袋を自宅で開封し処分したり、エサは蓋つきのケースなどに入れ替えたりして、風で飛ばされないようにするのがおすすめです。
万が一釣り場でごみが出ても、必ず持ち帰るようにしましょう。
環境に優しい釣り具を使う
最近では、環境に優しい素材で作られた釣り具が少しずつ増えてきています。例えば水中に放置されやすいルアーは、水中に残っても微生物によって水と二酸化炭素に分解されるものが登場しています。
生分解までの過程で、魚が間違って食べてしまっても体外に排出されるのが特徴です。環境に優しい釣り具を選ぶことで、海洋環境の保全に貢献できます。
ごみを水中に持ち込まないよう、環境に配慮して釣りを楽しもう!
海での釣りは風が強く吹くことがあり、ビニール袋やプラスチック製の包装容器などは簡単に飛ばされてしまいます。釣りをする際には、ごみになるものを持ち込まないようにしましょう。
また環境に優しい釣り具を選ぶなど、個々でできる対策があります。生物が生息しやすいきれいな海を守るためにも、環境に配慮して釣りを楽しみましょう。
あわせて読みたい: 環境を汚すたばこのポイ捨て問題|吸い殻による影響とは