環境汚染の原因のひとつにごみのポイ捨てが挙げられますが、世界ではプラスチックごみに限らず、たばこのポイ捨て問題も深刻化しています。
今回は環境を汚すたばこのポイ捨て問題について、吸い殻が与える影響やポイ捨てを無くすための取り組み事例を解説します!
オーストラリアの研究チームによる報告書では、世界では毎年約6兆ものたばこの吸い殻が発生しており、そのうち4兆5000億以上がポイ捨てされていると報告されています。
道を歩いていて何気なく下を見ると、そこに落ちているのはプラスチックごみよりもたばこの吸い殻の方が多いのではないでしょうか。
たばこの吸い殻をポイ捨てする人は減りつつあるものの、路上喫煙禁止のエリアが増えたことや屋外での喫煙所の減少、飲食店の全席禁煙なども増えていることから、指定の場所以外でたばこを吸ってポイ捨てする行為は、未だに後を絶ちません。
(参照:Environmental impacts of tobacco product waste: International and Australian policy responses)
(参照:喫煙・喫煙スペースに関する意識・実態調査2021)
では、たばこのポイ捨ては環境にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。実際に吸い殻をポイ捨てしている人は、そこまで周囲に影響を与えているとは思っていないのかもしれません。
実はたばこは副流煙による受動喫煙の被害や、喫煙者自身の健康に害を及ぼす以外に、吸い殻が環境や生態系に影響を与えてしまうのです。どんな影響があるのか詳しく見ていきましょう。
たばこのポイ捨てを無くすために実験的に行われた対策事例があります。喫煙所が無く、たばこのポイ捨てが酷かった渋谷のとある場所に、投票型喫煙所を設置するというものです。
投票型喫煙所とは、たばこを吸い終わった後に吸い殻を使って投票する場所。5つのボックスにはそれぞれ二者択一の質問が記されており、どちらかに吸い殻を入れて投票する仕組みです。この投票型喫煙所を設けた結果、その場所におけるたばこのポイ捨ては9割減り、それに伴って他のごみ類もポイ捨てされなくなりました。
こうした取り組みが全国に拡大していくことで、たばこのポイ捨てが減っていくかもしれません。しかし、喫煙所が混雑していた場合、待ち時間を惜しんで路上でたばこを吸い、ポイ捨てする人が出てくる可能性も考えられます。
喫煙所を増やすことでポイ捨てを完全に無くすというのは難しく、やはり喫煙者を減らすことが根本的な解決策といえるのではないでしょうか。
(参照:“渋谷センター街”でポイ捨て9割減、“投票型”の喫煙所で見えた可能性「吸い殻がなくなれば他のゴミも減る」)
(参照:タバコの吸い殻「ポイ捨て問題」の最適解は喫煙所を増やすことではない)
たばこは喫煙者本人のみならず、周囲の人や環境、生態系にも影響を及ぼしてしまいます。たかが吸い殻と思わずに、ポイ捨ては地球環境に悪影響をもたらすと認識し、吸い殻はきちんと処理することが大切です。
また、たばこに含まれる成分は猛毒の化学物質として指定されていることも忘れてはなりません。喫煙している人はぜひこれを機に、環境と自身の健康のためにも禁煙を考えてみてはいかがでしょうか。
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