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気候変動の影響でバッタが大量発生?アフリカを襲った蝗(こう)害とは
Wednesday, 01 November 2023
バッタの大量発生による災害のことを「蝗害」と呼びますが、気候変動とどう関係しているのでしょうか?
今回は、気候変動の影響ともいわれているバッタの大量発生や、蝗害について日本への影響なども併せて解説します!
蝗害とは?
まずは蝗害とは何か、またどんな被害をもたらすのかを確認していきましょう。
(参照:インドにバッタの大群侵入、蝗害がコロナに続く新たなリスクに)
バッタの大量発生による災害
蝗害とは、トノサマバッタやサクトビバッタなどのバッタ類が「群生相」という群れを成す生態に変異し、大量発生することによって起きる災害のことです。バッタはもともと「孤独相」といって単独行動を好み、基本的に害を及ぼすことはありません。
しかし多数が密集したことで「群生相」という生態に変異すると、食欲旺盛になり羽根が長くなって繁殖力も増すといった変化が起こるのです。
蝗害による草木や農作物への被害
大量発生によって強さや繁殖力を増したバッタは、草木や農作物を食い荒らすといった被害をもたらします。農作物を食い荒らしながら移動することで、各地域の住民たちを食糧難へと追い込んでいるのです。
バッタは食糧を求めて1日におよそ130km〜150km飛行する場合もあるといいます。バッタの被害にあった国や地域は、農作物の損失による経済的リスクに加え、家畜の飼料を失うなど、飢餓や貧困へつながるケースもあり問題視されています。
バッタの大量発生は気候変動が原因?
そもそもなぜバッタは大量発生するのでしょうか。気候変動もバッタの大量発生の一因として考えられていますが、ここでは具体的な原因を見ていきましょう!
バッタは高温多湿の環境に強い
蝗害を起こすサクトビバッタは高温多湿の環境に強い性質があります。そのため、気候変動の原因である地球温暖化にも強いとされているのです。
他の生き物が温暖化に耐えられなくなって減少していく中、サクトビバッタはライバルが減り生き延びやすい環境になっていると考えられています。
こうした理由から、気候変動が進めばバッタはさらに増えていく可能性があるとも予測されています。
異常気象などの影響でエサが増えることも関係している
バッタが大量発生する原因として、何らかの影響でエサになる植物が増えることも関係しています。例えば異常気象によって乾燥地帯に大雨が降ると、植物が生育しやすくなります。
冒頭でお伝えした2020年にアフリカを襲ったバッタの大量発生は、アラビア半島やアフリカ東部で起きたサイクロンが原因といわれています。
サイクロンが発生したことで、乾燥地帯に大雨が降り注ぎ、バッタのエサになる植物が通常よりもはるかに多く育ったのです。その結果、バッタの大量発生につながったと考えられています。
蝗害を防ぐための対策法と日本への影響
蝗害を防ぐための方法はあるのか、また繁殖しながら移動してくるバッタによる日本への影響も気になるところです。ここからは、蝗害を防ぐための対策法と日本への影響を確認していきましょう。
(参照:サバクトビバッタについて)
蝗害を防ぐための対策法
蝗害を防ぐための対策法として、大量発生する前に農薬や殺虫剤による防御を行っています。小型飛行機やドローンなどを活用して、農薬を広範囲に散布しているのです。地域住民や他の生き物への影響が心配されますが、現在はWHOで認められた安全な薬品を使っているとされています。
日本への影響
気になる日本への影響ですが、アフリカで発生した蝗害の影響は今のところないといわれています。その理由は、サクトビバッタは低温では生きられないため、ヒマラヤなどの山脈を超えるのは現実的ではないからです。
そのため、サクトビバッタが日本や東アジアへ侵入する可能性は低いと考えられています。
バッタを大量発生させないためにも気候変動対策を!
日本への影響はないとはいえ、日本も決して無関係ではありません。海外で農作物の被害が大きくなればなるほど、日本の食料にも影響してくるといえます。また、気候変動を抑えない限り、異常気象が引き起こされバッタは大量発生をくり返す可能性があります。
蝗害による草木や農作物への被害を防ぐためにも、小さなことから気候変動対策に取り組んでいきましょう。
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