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浜松市におけるSDGsの取り組み|地域の強みを生かした施策とは
Tuesday, 28 January 2025
今回は「SDGs達成のための、地域の取り組み」をテーマに、浜松市におけるSDGsの取り組みを解説します。
SDGs未来都市に選定された浜松市の計画
浜松市は、SDGsの取り組みが優れている自治体として2018年に「SDGs未来都市」に選定されています。選定された理由は、行政と市民が協働で推進している「森林」「エネルギー」「多文化共生」の分野で、特に優れた取り組みとして高い評価を受けたためです。
浜松市はこれを受け、「SDGs未来都市計画」を策定しSDGsの達成に向けて取り組みを進めています。
「SDGs未来都市計画」では、SDGsの理念である「誰ひとり取り残さない」社会と、一人ひとりが能力を発揮できる社会を実現するために、浜松市が誇る3つの強みを活かして課題解決を目指すとしています。
以下は、浜松市が世界に誇る3つの強みです。
1.温暖な「国土縮図型都市」=最高のサンドボックス
2.進取の気風「やらまいか精神」=旺盛なチャレンジ精神
3.多様性と共助にあふれた社会=多様な組み合わせと連携
(参考:https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/sdgs2/future.html)
浜松市におけるSDGsの取り組み
浜松市では、SDGsの取り組みが地域の課題解決に貢献し、地方創生につなげていくために、戦略の進行管理を担う「浜松市地方創生推進本部」を設置し、実施体制を整えています。
また、SDGs達成を目指す企業や団体などによる活動を推進するため、「浜松市SDGs推進プラットフォーム」を設立し、SDGs活動の活性化を図っています。ここでは浜松市におけるSDGsの具体的な取り組みを見ていきましょう。
<FSC認証材を活用した持続可能な林業>
浜松市は平成17年に市町村が合併したことにより、102,920haの広大な森林を有しました。そのうち70%が「天竜美林」と呼ばれるヒノキ・スギの人工林で、経済活動に重要な資源であるとともに、山地災害の防止や水資源の確保に役立っています。
また、森林浴などの健康・レクリエーションや二酸化炭素を吸収するなど、環境保全にも欠かせない大切な資源です。
合併によって経済活動が盛んな都市と自然豊かな環境が結びついた浜松市は、森林の多面的な働きを高め、林業が育んだ森林資源を持続可能な方法で活用していくために、「浜松市森林・林業ビジョン」を策定し、FSC認証を取得しました。
FSC認証とは、環境や社会に配慮し、適切に管理された森林であることを示す認証制度です。浜松市はFSC認証森林の取得面積が全国1位となり、天竜材は優れた木材として、公共施設や学校施設、住宅などの資材として使われています。
市内にとどまらず、関東をはじめ多くの地域に流通しているのが特徴です。
(参考:https://jp.fsc.org/jp-ja/about_FSC_certificate
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/nousei/pnf/page12.html)
<再生可能エネルギーの導入>
浜松市は、年間の日照時間が全国トップクラスという強みを活かし、太陽光発電の導入件数も日本一を記録しています。(※)
また、平成27年度には、太陽光発電の導入容量も日本一を記録しました。主に保健所や市役所、清掃工場や小中学校などの公共施設で導入されています。
浜松市は令和2年3月に「ゼロカーボンシティ」を宣言しており、地球温暖化の進行を防ぐべく、化石燃料に頼らない自然の中で繰り返し生成できる再生可能エネルギーの地産地消を目指しています。
※(経済産業省「市町村別再生可能エネルギー導入状況等」平成26年)
(参考:太陽光発電の導入日本一!!)
<多文化共生社会の取り組み>
浜松市には約2万4千人の外国人市民が居住しており、特にブラジル人は9千人を超え、全国で最多となっています。その背景には1990年の出入国管理及び、難民認定法の改正により、日系人の入国と就労が容易になったことで、外国人市民が増加したことがあげられます。
浜松市は、多文化共生社会の実現に向けて、英語やポルトガル、中国語など多言語による行政情報や生活支援情報の提供を実施中です。
また、多文化共生センターや外国人学習支援センターなどを開設し、多言語による相談や情報提供、日本語教室などを行っています。
さらに子どもの教育として、公立小中学校にバイリンガル支援者や日本語・学習支援者、指導者を配置し、教育支援や就学サポートに取り組んでいます。
(参考:https://www.soumu.go.jp/main_content/000590348.pdf)
<浜松市地方創生SDGsコンテストの開催>
浜松市では、地域の課題解決や地域活性化に貢献する取り組みを行う企業、団体、高校生、大学生を表彰し、優れた取り組みの情報を共有し合い、市内の地方創生SDGsの活性化を目的としたコンテストを開催しています。
優秀な取り組みの事例が聞けるだけでなく、来場者同士の交流やマッチングの機会としての役割も果たしています。
今後の取り組みのヒントになり、SDGs達成に向けた意識向上や行動促進にもつながるイベントです。
(参考:https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kikaku/sdgs2/2024contest.html)
地域の強みを生かした浜松市のSDGsは学びがいっぱい
浜松市は行政と市民が協力し合い、地域の強みを生かしてSDGsの取り組みを進めています。特に森林・エネルギー・多文化共生の分野における取り組みは優れており、全国でもトップクラスの先進度です。
全国の自治体を先導する浜松市のSDGsから学び、地域の強みを生かした取り組みを考え、実践してみてはいかがでしょうか。
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