SDGsと世界観光倫理憲章｜観光が地域社会に貢献する方法とは？

世界観光倫理憲章とは、観光における自然環境や文化遺産、社会に及ぼす悪影響を最小限に抑えながら、観光業の発展を存分に引き出すことを目的として策定された憲章です。

全10条で構成されており、各国政府や観光業、地域社会や旅行者など観光に関わるすべての関係者が持続可能な観光を目指す上で取り組むべき事項が記されています。

この憲章に基づいた取り組みは「誰一人取り残さない、持続可能な社会の実現」を目指すSDGsとも深く関わっています。特に貢献できるとされているのが、SDGs目標8、目標11、目標12、目標14です。

観光・社会・経済に与える影響を総合的に考慮し、バランスの取れた持続可能な観光の発展を実現するには、世界観光倫理憲章とSDGs両者の視点が不可欠といわれています。

(参考:https://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2018/05/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95.pdf)

世界観光倫理憲章で求められる、地域社会への貢献をするためには、具体的にどのような方法があるのでしょうか。

ここでは世界観光倫理憲章で求められる観光が、地域社会に貢献するポイントを見ていきましょう。

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＜第1条:文化の尊重と地域社会との調和＞

世界観光倫理憲章の第1条には「人間と社会間の相互理解と敬意への観光の貢献」とあります。観光が地域社会に貢献するためには、文化の尊重と地域社会との調和が大事であるとしています。

つまり、観光が地域の文化や伝統を守りながら、地元の人々と調和して発展するべきという考え方です。

具体的には、観光客は訪れる地域の歴史や文化、習慣を理解し大切にすることが挙げられます。例えば、神社や寺院でのマナーを守る、伝統行事をリスペクトするなどです。

また、観光業が地元の人々の暮らしに悪影響を及ぼさないよう配慮するのも大切です。観光客の増加によって生活費が高騰したり、住民の生活が妨げられないようにする必要があります。

さらに、観光を通じて文化の継承をサポートしていくのも重要です。伝統工芸品や郷土料理、民族舞踊などの文化を観光資源として生かし、後世に伝えていくことも求められます。

このように、地域社会と観光が共に発展できるようにすることが大切です。

＜第3条:持続可能な観光開発の促進＞　

世界観光倫理憲章の第3条では、観光が「持続可能な開発の要素」であることを強調しています。観光が地域社会に貢献するためには、「環境負荷の低減」と「地元資源の活用」の2点がポイントです。

観光活動が自然環境に及ぼす影響を最小限に抑えるほか、観光地の自然資源を持続可能な方法で利用し、次の世代にもその価値を伝えていくことが重要とされています。

また、地域の伝統や文化を観光資源として活用し、その保護と継承を促進することも必要です。

＜第5条:地域住民の雇用創出と経済活性化＞　

世界観光倫理憲章の第5条は、「観光が受入国および地域社会に有益な活動であるべきこと」を強調しています。地域住民の雇用創出と経済活性化とは、つまり、観光業を通じて地域の人々に仕事を増やし、地域経済を活性化させるという考え方です。

観光業の発展により、ホテル、レストラン、土産店、観光ガイド、交通機関などさまざまな仕事が増え、地元の人々に新たな雇用機会が生まれます。

また、観光客が地元でお金を使うことで、地域の商店や農業、漁業などの地元産業が活性化し、地域全体の収益向上につながります。

＜第9条:観光産業の社会的責任＞　

世界観光倫理憲章の第9条では、「観光産業における労働者と事業者の権利」を強調しています。「観光産業の社会的責任」とはつまり、観光業に関わる企業や組織は、地域社会と協力しながら環境や文化を守り、持続可能な発展に貢献するべきという考え方です。

具体的には、観光施設はホテル、旅行会社などの企業は、地元の人々や自治体と協力しながら地域にとって良い影響をもたらす活動を行うことが挙げられます。

例えば、ホテルが地元の農産物を使った料理を提供したり、観光地の清掃活動に参加したりするのも大切です。

また、観光企業が「観光にやさしいツアー」を企画するなど、過剰な開発を避け、環境や文化を守る取り組みをすることも重要です。

さらに、長期的に観光が成り立つような仕組みを作り、持続可能な発展を目指すことも、地域社会への貢献につながります。

(参考:https://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2020/01/GCET.pdf)

SDGsの達成には、旅行者・企業・地域社会が協力し、倫理的な観光を推進することが重要です。環境企業は利益を追求するだけでなく、地域社会と連携しながら環境や文化を守りつつ、持続可能な観光を実現する責任があるといえます。

また、観光は単なる娯楽ではなく、地域の人によって重要な仕事の場を生み出し、経済を活性化させる力を持っています。

世界観光倫理憲章を指針に、観光業を持続可能な形で発展させることが持続可能な地域づくりにつながっていくことでしょう。