BLOG -SDGs and Sustainability
SDGs達成を目指す横浜市の取り組み|大都市の課題解決に向けて
Wednesday, 22 January 2025
今回は「SDGs達成のための、地域の取り組み」をテーマに、横浜市が抱える課題や、SDGs達成に向けた取り組みを解説します。
横浜市が抱える課題とは?
神奈川県の横浜市は人口377万人を超える、基礎自治体の中で最も大きい都市です。一国並みの経済力があり、技術者や研究者が多く豊かなビジネス環境を持つ一方で、大きな課題を抱えています。
それは、近い将来起こり得る急激な人口減少と超高齢化の進行です。2015年の国勢調査ベースの将来人口推計によれば、横浜市の人口は2015年〜2065年までの50年間で約70万人減少すると試算されています。
また、65歳以上の高齢者人口の割合は上昇し続け、50年間で1.5倍まで増加する見込みです。少子高齢化は大都市で急激に進行するといわれており、それに伴う市税収入の減少と社会保障経費の大幅な増加が課題となるため地域全体の財源の確保が求められています。
横浜市は少子高齢化や地域経済の縮小などの課題を解決し、より良い都市づくりを目指してSDGsに積極的に取り組んでいます。
2018年にはSDGs達成に向けて優れた取り組みを行う都市や地域を選定する「SDGs未来都市」と、その中でより先導的な取り組みを行う「SDGsモデル事業」にも選定されました。
(参考:https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/bunken/daitoshi.files/0297_20240415.pdf
SDGsを達成するための横浜市の取り組み
横浜市では、SDGs未来都市で重視される「環境・経済・社会」の3つの分野に関する取り組みに加え、「すべての子どもたちの未来を創るまちづくり」や「誰もがいきいきと生涯活躍できるまちづくり」に力を入れています。
ここではSDGs達成を目指す横浜市の主な取り組みを見ていきましょう。
<妊娠~学齢期まで切れ目のない子育て支援>
横浜市では、すべての子どもたちの未来を創るまちづくりを目的として、妊娠、出産、乳児期、幼児期、学齢期に至るまで、切れ目のない力強い子育て支援に取り組んでいます。
「横浜市版子育て世代包括支援センター」を基盤として、子育てに関する情報提供や相談対応の充実を図り、子育て環境の整備を行っています。
また、小児医療費助成の拡充も行い、安心して医療機関を受診できるようにした点もポイントです。
<よこはまシニアボランティアポイント事業>
横浜市では、「誰もがいきいきと生涯活躍できるまちづくり」を目指して、よこはまシニアボランティアポイント事業を行っています。
高齢者が対象となっており、ボランティアを行うとポイントが得られ、貯まったポイントは換金や寄付ができるという仕組みです。この取り組みによって、シニア世代の健康促進や生きがいづくりにつながっています。
(参考:よこはまシニアボランティアポイント事業とはどのようなものですか。)
<地震や災害に強い、安心・安全な都市づくり>
横浜市では地震などの災害に強い、安心・安全な都市づくり事業を行っています。建築物の耐震化や都市インフラの耐震化の推進、緊急輸送路の確保など、地震火災対策を強化中です。
また、風水害に強い都市づくりを目標に、氾濫をできる限り防ぐ対策や、浸水被害の減少に向けたまちづくりの推進、地域で支え合うための防災意識の向上や、防災組織体制の充実などに取り組んでいます。
(参考:https://www.chisou.go.jp/tiiki/tiikisaisei/dai70nintei/plan/z0029.pdf)
<ヨコハマSDGsデザインセンターの設立・運営>
ヨコハマSDGsデザインセンターとは、SDGsの達成を目指し、横浜市と民間の事業者が共同で設立・運営する中間支援組織のことです。
横浜市における環境・社会・経済の問題を解決するために、SDGsに関する相談や助言を行ったり、市民・事業者・教育機関・民間団体といった多様な主体のマッチング支援を行ったりしています。
また、プロジェクトを通じた課題解決策の提案や、取り組みについての情報発信などを行い、フォーラムやイベント開催につなげ、SDGs達成に向けた活動に貢献しています。
(参考:https://www.yokohama-sdgs.jp/about/)
<新たなモビリティーの導入>
横浜市では、移動の利便性を高めるために新たなモビリティーの導入を実施しています。例えば、横浜市の市民病院では、タッチパネルで院内の目的地まで移動できる自動運転モビリティーの「WILL(ウィル)」を導入しました。
自分で操縦する必要がないため、高齢者や杖などを利用している患者さんの利便性や快適性を担う移動手段として役立っています。
市民病院での自動運転モビリティーの導入は、高齢者になっても住み続けたいと思えるまちづくりと、安心して医療を受けられる環境づくりにつながっています。
(参考:https://www.yokohama-sdgs.jp/yokohama-projects/mobi01/)
<食品ロス削減SDGsロッカーの設置>
横浜市では、食品ロス削減に向けた取り組みの一環として市内に「食品ロス削減SDGsロッカー」を設置しています。これは賞味期限内にも関わらず、廃棄されてしまう専門店のパンが購入できるという自販機で、2024年の1月より横浜市内で設置がスタートしました。
関内駅構内の「SDGsステーション横浜関内」や、「横浜銀行アイスアリーナ」内などに設置されています。専門店のパンが割引で購入でき、食品ロス削減に貢献できるとして取り組みは拡大中です。
(参考:https://www.yokohama-sdgs.jp/yokohama-projects/shokuhinlossreductionpj-2/)
SDGs達成に向けた横浜市の取り組みをヒントに行動しよう
横浜市は経済力を持つ一方で、近い将来起こり得る急激な人口減少や少子高齢化の問題を抱えています。しかし、課題解決とSDGs達成に向けた熱心な取り組みによって変革しつつあります。横浜市の取り組みをヒントに、SDGs達成への行動を起こしてみてはいかがでしょうか。
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