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SDGsに関わるヤングケアラー|原因や影響、支援策を解説

Tuesday, 12 December 2023

近年、政府や自治体の調査によって実態が浮き彫りになり、社会的に関心が高まっている「ヤングケアラー」。誰一人取り残さない社会を目指すSDGsとも、深く関わりがあるといわれています。

ヤングケアラーとは何なのか、またなぜヤングケアラーになってしまうのでしょうか。今回はヤングケアラーになる原因や影響、SDGsとの関係性や支援策について解説します!

ヤングケアラーとは?

ヤングケアラーとは、大人の代わりに家事や家族の世話、介護などのサポートを日常的に行っている18歳未満の子どものことです。例えば、仕事で忙しい親の代わりに幼いきょうだいの世話をしたり、病気や障害のある親の介護をしたりすることなどが挙げられます。

家の手伝いをしたりきょうだいの面倒を見たりする子どもは、一見「しっかりしている子」と思われるでしょう。しかし、子どもができる範囲を超え、心身に負担を抱えてしまっているのがヤングケアラーなのです。

2021年の厚生労働省の調査によると、公立中学校に通う中学生の約17人に1人、全日制高校に通う高校生の約24人に1人がヤングケアラーという実態が明らかになりました。

ケアにかけている時間は1日平均3~4時間で、7時間以上に該当した生徒も1割以上いると報告されています。小学生の頃から家族の世話を担い、誰にも相談できずに苦しみを抱えてきた子どもは少なくないのです。

ヤングケアラーになってしまう原因

ヤングケアラーになる原因は、家庭によってそれぞれ事情が異なりますが、共通しているのは家庭環境が複雑であるという点です。

例えば、両親がいない家庭で祖父母の介護をしなければならない場合や、ひとり親家庭で料理や洗濯などの家事を自分がやらなければならない状況などが挙げられます。

また、親がアルコールや薬物、ギャンブル依存症などの精神疾患を抱えており、生活や精神面でのケアをしているケースもあります。本来大人がやるべき家事や家族の世話を、自分がやらなければならないという状況に追い込まれているのです。

ヤングケアラーが受ける影響

ヤングケアラーは家の手伝いレベルを超え、日常に支障が出るほど重すぎる役割を担っています。そのため学業や健康面などに大きな影響を受けているヤングケアラーも少なくありません。具体的にどんな影響を受けているのか、確認していきましょう。

学業への影響


ヤングケアラーの中で最も大きいのが学業への影響です。早退や遅刻の増加、授業に集中できなかったり居眠りをしたりすることで、学力低下につながってしまいます。

学校で必要なものが用意できなかったり、親の承諾が必要な書類を提出できなかったりする子もいます。

また、学校を休みがちになったり、受験の準備ができず進学する学校を決められなかったりと、進路に影響が生じるケースもあるのがヤングケアラーの現状です。

健康面への影響


通学と家族の世話・家事を両立していることでの疲労やストレス、心身の不調など、健康面での影響が生じています。睡眠不足や食事をしっかりとれていない子どもも多い傾向です。

常に疲れているため、身体がだるく、何をするにもやる気が起こらず無気力になってしまうケースも少なくありません。

コミュニケーションや友人関係への影響


ヤングケアラーは家族の世話で忙しく、プライベートな時間が取れないことから友人関係の影響が生じる場合があります。友人と遊んだり会話をしたりする時間がないため、コミュニケーション不足から孤立してしまう子もいるといいます。

相談できる人がおらず、ひとりで悩みを抱え込んでしまうヤングケアラーもいるのです。

ヤングケアラーとSDGsの関係性

SDGsの中には目標3「すべての人に健康と福祉を」目標4「質の高い教育をみんなに」目標10「人や国の不平等をなくそう」というゴールがあります。これらはすべてヤングケアラーに深く関係している目標です。

子どもらしく過ごしながら、心身ともに健康で、周囲と同じように教育を受けるというのは、子どもの権利です。

そしてSDGsの最終的なゴールである「誰一人取り残さない社会」を達成するためには、ヤングケアラーの背景にある問題や生きづらさを解決することが必要です。SDGs達成においてもヤングケアラーへの支援は重要不可欠なのです。

ヤングケアラーへの支援と対策|私たちができること

ヤングケアラーに対して家族がそれを当たり前だと思い込んでいることから、子ども自身も問題を自覚していない場合が多いといわれています。また「家族内の問題」と捉えられてしまい、周囲からの理解が得られず、ひとりで苦しみを抱え込んでしまうヤングケアラーも多い傾向です。

こうした現状が浮き彫りになった近年では、厚生労働省や文部科学省などがヤングケアラー支援として相談窓口を設置しています。

「もしかしたら自分はヤングケアラーかもしれない」と思い当たる人や、周囲でヤングケアラーと思われる子どもがいる場合には、一度相談窓口を利用してみると良いでしょう。

日本は核家族化が進む一方で高齢社会でもあり、ヤングケアラーは今後さらに増加すると考えられています。

SDGsのゴールにある「誰一人取り残さない社会」を目指して、ヤングケアラーの子どもたちに気づき、守っていくことが大切なのではないでしょうか。

※厚生労働省:全国児童相談所一覧

※文部科学省:24時間子どもSOSダイヤル

※法務省:子どもの人権110番

(参照:ヤングケアラーを知っていますか?|こども家庭庁特設サイト)
(参照: ケアをする子ども・若者の存在)
(参照: 「ヤングケアラー」中学生の約17人に1人 初の調査)
(参照: 一般廃棄物の排出及びSDGsって何だろう?)

あわせて読みたい: SDGsと防災の関係性とは?取り組み事例や個人でできる対策も

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