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電動キックボードで始める脱炭素ライフ!日本の現状と課題も解説
Friday, 28 February 2025
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今回は「乗り物の脱炭素への取り組み」をテーマに、電動キックボードの普及が進む背景や日本における現状と課題を解説します。
電動キックボードとは?
電動キックボードとは、電気式モーターが搭載された2輪もしくは3輪の乗り物を指します。従来のキックボードに電動アシスト機能が追加され、足で地面を蹴らず、立ったままハンドル操作で走行できるのが特徴です。
短距離移動や都市部でのラストワンマイルに適した移動手段として注目されています。また、利便性が高いことに加え電気で動くため、ガソリン車に比べてCO2排出量を削減できる点もメリットです。
(参考:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/electric_mobility/kickboard.html)
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2023年7月の道路交通法改正により免許不要に!
これまで電動キックボードは排気量や定格出力によって、「第一種原動機付自転車」あるいは「第二種原動機付自転車」に区分され、原動機付自転車免許以上の運転免許や、ヘルメットの着用が必須でした。
しかし、2023年7月の道路交通法改正により「特定小型原動機付自転車」という新たな区分が設定され、以下の条件に該当する電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類されます。
・定格出力0.6kW以下
・最高速度20km/h以下
・車体の長さ190cm、幅60cm以下
・最高速度表示灯が備えられている
上記に該当しない電動キックボードは「一般原動機付き自転車」になり、これまでのルールと同様になります。
一般原動機付自転車 | 特定小型原動機付自転車(NEW) | |
運転免許 | 必要 | 不要 |
ヘルメットの着用 | 必要 | 努力義務 |
走行場所 | 車道のみ | 車道・路側帯・歩道 |
ナンバープレートの着用 | 必要 | 必要 |
速度制限 | 時速30km(原付一種) | 時速20km(歩道は時速6km) |
年齢制限 | 免許証に準ずる | 16歳以上 |
自賠責保険 | 必要 | 必要 |
新たに設けられた特定小型原動機付自転車の区分では、運転免許不要でヘルメット着用は努力義務となっています。また、路側帯と歩道も規定に従って走行できるようになりました。
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電動キックボードの規制が緩和された背景
日本で電動キックボードの規制が緩和された理由のひとつに、社会的要請が挙げられます。日本で事業者を中心に実証実験を行った際に、「手軽な利用者を増やすためにヘルメットの着用は任意にするべき」「走行場所を増やした方が良い」という声が上がっていました。
また、シェアリングサービスが広がりを見せる一方で、厳しい規制が普及の妨げとなっていたことも理由にあります。脱炭素社会の実現に向けて、自動車の利用を減らし、エコな移動手段の選択肢を増やすためにも、規制緩和が進められました。
(参考:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/saisyuhoukokusyo.pdf)
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日本における電動キックボードの現状と取り組み
運転免許不要で手軽に乗れるようになった電動キックボードは、少しずつ普及が広がっています。ここでは、日本における電動キックボードの現状と取り組みを見ていきましょう。
<都市部や観光エリアを中心にシェアリングサービスが拡大>
日本ではここ数年で電動キックボードのシェアリングサービスが急速に拡大しています。レンタルで初期費用や維持費用は一切かからず、LINEやアプリなどを通じて手軽に利用できるのが魅力です。
都市圏を中心にポートの設置が増えており、目的地周辺で返却できるなど、より利用しやすい環境に変化しています。
2025年の日本における電動キックボード市場規模は、シェアリングだけでも約1兆円規模に上るとして期待が高まっています。
(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/mobility/pdf/001_05_03.pdf)
<利用促進キャンペーンとして電動キックボードの無料体験を実施>
神奈川県では電動モビリティーの利用促進キャンペーンとして、電動キックボードの無料体験会を実施しました。三浦半島地域に存在する35カ所のポートで電動キックボードを利用する際、キャンペーンクーポンの利用で45分間分の利用料が無料になるというものです。
電動キックボードを体験することで、ライフスタイルの脱炭素化を促進させ、自家用車による渋滞の緩和や、地域課題の解決を図ることが目的の取り組みです。
(参考:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/prs/r6762079.html)
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日本における電動キックボードの課題
電動キックボードの規制が緩和され、シェアリングサービスの普及で利用者が増える一方で、課題も山積みとなっています。具体的にどのような課題があるのか見ていきましょう。
<安全性の確保とルールの周知>
2024年9月に警視庁が発表したデータによると、2023年7月〜2024年7月の一年間で警視庁に報告された電動キックボード関連の事故は、258件でした。
実際に発生した事故の事例として、「飲酒した状態で運転」「2人乗りで歩行者に衝突」などが挙げられます。利用者の交通ルール違反やマナー違反は早急に改善すべき重要課題です。
(参考:https://www.kotsuiji.com/topics/traffic-safety/1500.htm)
<駐車マナーと駐車スペースの確保>
電動キックボードの迷惑駐車や使用後の放置なども課題に挙げられます。電動キックボードは一般原動機付自転車と同様に、道路や歩道などに駐車できません。駐車に関する適切な利用法も共有していく必要があります。
また、都市部では電動キックボード専用の駐車スペースが不足しているのも課題のひとつです。
(参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/75f82bc47be6cc0a0777e6f92b95e1e2d77f4ec5)
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電動キックボードは安全性と利便性を高める施策で普及拡大へ!
2023年の法改正により、電動キックボードの利用者は増加したものの、歩行者との事故リスクや駐車マナーなどの課題も浮き彫りになっています。
地域や企業、政府が連携し安全性と利便性を高める施策を講じることで、さらなる普及拡大が期待できるでしょう。
電動キックボードの1人のキロあたりのCO2排出量は、自動車の約40分の1といわれています。電動キックボードに乗る際には交通ルールを確認し、安全運転を意識することが大切です。安全第一で脱炭素ライフを送っていきましょう。
※政府広報オンライン「電動キックボードに関する交通ルールを確認しましょう」