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サステナブル建築とは?日本と海外の建築事例を見てみよう
Wednesday, 02 February 2022
環境のことを考え、持続可能な社会にしていくための取り組みを「サステナブルな○○」と表すことが一般的です。
では、サステナブル建築とは一体どんなものなのでしょうか?今回はサステナブル建築とは何か、定義や求められる理由について、また日本と海外におけるサステナブル建築の事例を紹介していきます。
SDGs (sustainable development goals) News 2022 Episode 1
サステナブル建築の定義
サステナブル建築とは、環境や地域に配慮し、生態系を守りながら耐久性に優れた建築物を構築し、かつ長期にわたって利用し続けられる建物のことを指します。それには、設計、施工、建築物として運用するまでのすべての段階が含まれています。
例えば、建築過程で温室効果ガスの排出を抑制したり、省エネ設備を設置したりすることもそうです。また、廃材のリサイクルを実施しているか、省資源、省エネで建てられているかどうかもポイントになります。
加えて、地域の気候や伝統文化、周辺環境と調和がとれているかも重要です。さらに、将来にわたって人間の生活の質を維持できるか、あるいは向上させていける建物かどうかも、大事な要素となっています。
サステナブル建築が求められる理由
なぜ今、サステナブル建築が求められているのでしょうか。それには資源の減少や気候変動の問題が大きく関係しています。建築物を施工、利用して解体するまでの間に、多くの天然資源が消費され、膨大な温室効果ガス(CO2)が排出されるからです。
フロリダ大学建設環境学部長のチャールズ・キバート氏は、著書『Sustainable Construction: Green Building Design and Delivery』において、気候変動と建設業界の関連を指摘しています。キバート氏によると、気候変動の原因となる温室効果ガスの発生は、そのかなりの割合が資源抽出、材料の製造、建物の運用、建物の配置と計画に影響する輸送システムといった建造環境に起因しているとのことです。
また、日本の建設業界は国内全産業の約4割の資源を消費し、固形廃棄物の約2割を排出しているともいわれています。(参照:循環型社会 | 環境 | 日本建設業連合会)
気候変動と資源の減少を抑えるためにも、環境負荷を軽減した建築、つまりサステナブル建築が求められています。
世界の人口はますます増加をたどり、サステナブル建設へのニーズは高まっていくと考えられるでしょう。
日本におけるサステナブル建築の事例
日本でもサステナブル建築としての事例がいくつかあります。ここでは、その中でも有名なものをご紹介します。
<阪神甲子園球場>
高校野球で有名な阪神甲子園球場ですが、実はサステナブル建築の代表例です。
1924年にオープンした阪神甲子園球場。2010年には「100年を超えて愛される球場」を目指すことを掲げ、サステナブル建築としてリニューアルされました。
リニューアル後は太陽光発電システムの導入を行い、再生可能エネルギーを活用しています。この太陽光発電によって、球場は年間約150トンのCO2削減に成功しています。
また、銀傘(ぎんさん:阪神甲子園球場内野席についている雨よけ、日よけの覆い)に降った雨水や井戸水を散水、トイレ洗浄に使用する、化石燃料や金属などの非再生資源の使用量を削減する、壁面を緑化しヒートアイランド現象を緩和するなどの取り組みを行っています。阪神甲子園球場は日本を代表するサステナブル建築として、野球ファンのみならず、多くの人から親しまれています。
海外におけるサステナブル建築の事例
続いて、海外におけるサステナブル建築の事例を紹介します。
<安全な水を確保できる!竹とプラスチックからできたケニアの水道センター>
ケニアに本拠地を置くデザイン事務所BellTowerは、清潔な水へのアクセスが難しい地域の生活水準を改善するために、水資源センターユニット『Open Source Communities』を設計しました。
建物の外壁は地元で調達した竹と、頑丈でリサイクル可能なプラスチックからできており、防水性と断熱性に優れています。
屋根は二重の円で構成されています。外側の屋根は太陽パネルが設置されており、日差しを最大限に活用し、雨水を効率良く集めるために、30℃に傾いています。そして、内側の屋根は傾きを調整し、建物内に光や風を取り込みやすくしているのが特徴です。
ケニアの年間降水量は1000ミリリットル。土砂降りが30分続くと水源ユニットの地下タンクには1万リットルの雨水が貯水されます。
貯水は常に水質検査され、浄水装置によってバクテリアを99%除去、ウイルスを86%死滅させる仕組みになっています
しかも、この水資源ユニットは、作業員5人・10日間で作ることが可能です。仮にキベラ地区(ケニアにある、アフリカ最大と言われるスラム)に1000ユニット設置した場合、水汲みにかけていた時間を約90%、病気を約10%、子どもと妊婦の死亡率を約50%減らすことができるといわれています。
清潔な水の確保を実現し、地域で調達できる材料でつくれる水資源ユニットは、まさに革新的なサステナブル建築といえるでしょう。
サステナブル建築が新たな未来を切り開く
今回はサステナブル建築の定義や求められる理由、日本と世界におけるサステナブル建築の事例についてお伝えしました。
気候変動が進み、限りある資源が失われつつある中、サステナブル建築の考え方は、持続可能な未来を作るために重要な鍵となります。
大切な資源を守り、環境に配慮しながらより良い暮らしを目指すには、サステナブル建築が不可欠となっていくでしょう。今後は公共の建物に限らず、住宅にも積極的に取り入れられていくと考えられています。
将来的にリフォームや住まいづくりを検討している人は、ぜひサステナブル建築を意識してみてはいかがでしょうか。
サステナブル建築が増えることで、地球や環境にやさしい未来を切り開くことにつながっていくでしょう。