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タイのプラントベースフードが熱い!持続可能な食の未来と可能性
Tuesday, 08 April 2025

今回は、タイにおけるプラントベースフード市場が拡大している理由や市場の現状、今後の可能性と課題を解説します。
タイのプラントベースフード市場が急速に拡大している理由
タイのプラントベースフード市場が急速に拡大している背景には、動物福祉への関心や健康志向の高まりがあるといわれています。
タイでは国民の多くが仏教を信仰しており、生き物の命を奪ってはならないという「不殺生」の教えから、もともとビーガン生活を送る人が多い国です。
しかし、所得の向上によってライフスタイルが変化し、生活習慣病に悩む人が急増したといわれています。それに伴い、健康や寿命に対する関心が高まり、市民の間でタイの伝統的な風習である「ギンジェー」の価値が見直されています。
ギンジェーとは、タイで毎年行われる菜食週間で、旧暦の9月1日から9日間、肉類や卵、牛乳、酒類や味付けの濃い調味料の摂取を控える期間のことです。
主に中国系タイ人の間で行われる行事で、心身を清めて健康や運気の向上を願うことを目的としています。ギンジェーの経済効果は2024年だけでも約450億バーツ(約2,009億円)と報告されています。
また、タイでは柔軟な菜食主義者の「フレキシタリアン」が増えており、健康を意識した食品を重視する消費者が増えたことも、プラントベース市場が急速に拡大した要因です。
(参考:https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/09/6298c33db4bad7d7.html
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/204823.pdf)

タイにおけるプラントベースフード市場の現状
タイのプラントベースフード市場は、東南アジアの中で最も成長率が高いことで知られています。ここからはタイのプラントベースフード市場の現状を見ていきましょう。
<市場規模と成長率の推移>
タイの国営研究機関のレポートによると、タイのプラントベースフード市場は、2019年の280億バーツ(約1,251億円)から、2024年には450億バーツ(2,009億円)に上ると予測されています。
年平均成長率は約10%で推移するといわれており、これは世界のプラントベース市場とほぼ同等の成長率です。
(参考:https://eleminist.com/article/3811)
<現在流通している主なプラントベースフード>
タイではギンジェーの期間内に、屋台でさまざまなプラントベースフードが販売されることに加え、近年ではギンジェーの期間に限らず大手スーパーやコンビニ、カフェチェーンなどでプラントベースフードが展開されています。
例えばエンドウマメを主原料としたBEYONDMEATを使ったサンドイッチやハンバーガー、プラントボールなど、プラントベースメニューが豊富です。
また、首都バンコクの大手スーパーの冷凍ケースには、豆類を原料としたハンバーグやカツ、餃子などがずらりと並んでいます。
プラントベースの代替肉市場は特に力を入れており、製品リストによると83種類のプラントベースミート製品が販売されているといいます。
食品の技術革新を活用して製品を開発しており、各メーカーが独自の技術を導入している点もポイントです。本物の肉に近い味と食感、たんぱく質量の再現に成功しています。
さらに、タイではプラントベースシーフードの事業化を本格始動しており、植物由来の原料を使用した代替ツナや代替エビの製品を国内で展開するほか、欧米や日本への輸出にも取り組んでいます。

タイにおけるプラントベースフードの今後の可能性と課題
タイにおけるプラントベースフード市場は、政府の施策によってさらなる拡大の可能性を秘めています。政府の施策の具体的な内容を見ていきましょう。
<プラントベースフード市場の国際的な結節点となるためのロードマップを策定>
タイ商務省貿易政策・戦略事務局(TPSO)は、タイをプラントベースフード市場の国際的な結節点にするためのロードマップを策定しました。
新任の商務大臣は、小麦や大麦、トウモロコシ、ソルガム(コーリャン)などの植物性たんぱく質を含む、将来の食品輸出を加速させる方針を前任者から引き継ぐ意志を示しています。
タイがプラントベースフード市場の国際的な結節点となるには、多岐に渡る分野で前進する必要があるとし、「生産・加工」「マーケティング」「研究・技術・イノベーション」「データベース」「投資」「法的枠組み」の6つの分野に焦点を当て、政策提言を行いました。
タイにおけるプラントベース食品産業の可能性、機会、トレンドを評価した調査に基づいています。
(参考:https://www.nationthailand.com/sustaination/40041128)
<植物由来食品における法規制の見直し>
タイ保健省の食品医薬品局は、2024年に植物由来の肉や乳製品に動物由来の肉を思わせる用語を禁止する、新たな表示規制を提案しました。
「ソーセージ」「ベーコン」「ミンチ」などの用語は使用できますが、「豚肉」「牛肉」「鶏肉」といった用語は許可されません。ラベルには栄養価の表示も必須です。
代替たんぱく質の人気が高まり、多くのプラントベースフードが市場に出回っているものの、タイでは規制や安全に関する明確な指針がないとして、新たな表示規制の導入に踏み切りました。
また、この法規制は畜産業界や乳製品業界のロビー活動による、植物由来の食品への懸念に対処するものともいわれています。

タイのプラントベースフードの発展は持続可能な食文化の実現に貢献!
タイでは健康志向の高まりからギンジェーの価値が見直され、プラントベースフード市場が急速に成長しています。
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国内外の企業による食品開発や、タイ産プラントベースフードの海外進出、政府の支援によって、タイが持続可能な食品産業における重要なプレイヤーとなる可能性は十分にあるでしょう。
これらの動向に注目しつつ、ぜひ一度タイのプラントベースフードを体験してみてはいかがでしょうか。
