世界で最もサステナブルな企業に選出!デンマークのエネルギー企業の取り組み
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世界で最もサステナブルな企業に選出!デンマークのエネルギー企業の取り組み

Thursday, 03 July 2025

デンマークのエネルギー企業は、かつて化石燃料中心の事業を展開していましたが、再生可能エネルギーへの転換を遂げ、2025年「世界で最もサステナブルな企業100」において、第9位にランクインしました。

その背景には、脱炭素化への取り組みと、再生可能エネルギーへの迅速な移行が高く評価されたことが挙げられます。

今回は、デンマークの再生可能エネルギー企業のサステナブルな取り組みを解説します。

デンマークを拠点とする再生可能エネルギー企業とは?

デンマークに本社を構えるエネルギー企業は、現在再生可能エネルギーの分野で世界的に知られています。特に洋上風力発電においては、グローバルリーダーとしての地位を確立しています。

 

かつての同社はエネルギー供給の約85%を石炭や天然ガスなどの化石燃料に依存していました。しかし、2010年代初頭から脱炭素化の必要性を認識し、再生可能エネルギーへの転換を進めました。

 

この戦略的なシフトにより、同社は約10年で再生可能エネルギー中心の企業へと生まれ変わりました。

 

このような取り組みが高く評価され、2025年の「世界で最もサステナブルな企業100」9位を獲得しています。

 

同社の事例は、エネルギー業界における脱炭素化の成功モデルとして注目されています。

 

(参考:https://www.huffingtonpost.jp/entry/orsted_jp_6269e9d3e4b0bc48f5770779

https://sustainablejapan.jp/2025/01/25/global-100-2025/110177)

脱炭素化への取り組み

デンマークの再生可能エネルギー企業は、脱炭素化への取り組みとして、2024年8月31日に最後の石炭火力発電所であるエスビャウ発電所を閉鎖しました。

 

あわせて読みたい: デンマークによるSDGsの取り組み|持続可能な成長に向けた具体策

 

この閉鎖により、同社は2025年までにエネルギー生産の99%を再生可能エネルギーにするという目標に向けて大きく前進しています。ここではその取り組みについて、詳しく見ていきましょう。

 

<石炭火力発電所の閉鎖とその影響>

かつてエスビャウ発電所は、年間約50万トンの石炭を消費し、約120万トンの二酸化炭素(CO2)を排出していました。これはEU内の約60万台の化石燃料車の年間排出量に相当します。

 

この閉鎖は、同社が2006年から進めてきた脱炭素化戦略の集大成であり、同社はすでに2006年から2023年の間にスコープ1および2の排出強度を92%削減しています。

 

(参考:https://www.marinelink.com/news/rsted-marks-green-transition-final-coal-516482)

 

<再生可能エネルギーへの移行と今後の展望> 

同社は、石炭火力発電所の閉鎖に伴い、風力や太陽光などの再生可能エネルギー源への移行を加速させています。

 

また、エスビャウ市の地域暖房供給については、地元の暖房供給会社が代替生産を確立する予定です。

 

さらに、スタッドストルプ発電所のユニット4およびキンビー発電所のユニット3では、木質ペレットサイロの再建が進められており、2024年末までに完了。これにより、同社は石炭を予備燃料としても使用しなくなる見込みです。

 

(参考:https://www.marinelink.com/news/rsted-marks-green-transition-final-coal-516482)

再生可能エネルギーへの投資とプロジェクト  

同社は、洋上風力発電の分野で世界的なリーダーとして知られています。特に英国の「ホーンシー3」洋上風力発電プロジェクトは、同社の再生可能エネルギーへの投資と先進的な取り組みを象徴するものです。ここではそのプロジェクトについて解説します。

 

<洋上風力発電所の開発・運営>

ホーンシー3は、英国イングランド東部ヨークシャー沖約160kmに位置し、約700平方キロメートルの海域に200基以上の風力タービンを設置する計画です。

 

総発電容量は2.9ギガワット(GW)で、英国の330万世帯にクリーンな電力を供給する能力を持ちます。このプロジェクトは、英国政府が掲げる2030年までに洋上風力発電容量を50GWに拡大する」という目標達成に大きく貢献すると期待されています。

 

(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000097645.html

日立エナジーが、デンマーク・オーステッドから世界最大クラスの発電容量の ホーンシー3洋上風力発電所向けに4基のHVDC変換所を受注)

 

<メガパックバッテリー導入による安定供給の実現> 

同社は、ホーンシー3の陸上変換所が設置されるイングランド東部ノーフォーク州スウォードストンに、アメリカのエネルギー関連企業のメガパックバッテリーを導入する計画を進めています。

 

このバッテリーエネルギー貯蔵システムは、容量600メガワット時(MWh)、出力300メガワット(MW)を誇り、英国の80,000世帯の1日分の電力需要を賄うことができます。運用開始は2026年末を検討中です。

 

また、このバッテリーシステムは、風が強く電力供給が需要を上回る際に余剰電力を蓄え、需要が高まるピーク時に放電することで、電力網の需要バランスを調整します。これにより、再生可能エネルギーの有効活用が進み、消費者の電力価格の変動を抑制する効果が期待されています。

 

(参考:https://www.reuters.com/sustainability/climate-energy/orsted-install-tesla-battery-uk-offshore-wind-farm-2024-06-12/

https://orsted.co.uk/media/newsroom/news/2025/03/orsted-breaks-ground-on-innovative-uk-battery-energy-storage-system)

科学的根拠に基づく目標設定 

デンマークの再生可能エネルギー企業は、2021年にSBTi(※)から、世界で初めて科学的根拠に基づくネットゼロエミッション目標の認定を受けたエネルギー企業となりました。

 

この認定は、SBTiが発表したNet-Zero Standard」に基づき、企業のネットゼロ目標が気候科学と整合していることを示すものです。ここからは、同社のネットゼロ目標と具体的な削減計画を見ていきましょう。

 

(※)SBTi(Science Based Targets initiative)…企業が科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定し、その妥当性を審査・認定する国際的なイニシアチブ。

 

(参考: https://sciencebasedtargets.org/)

 

<ネットゼロ目標と具体的な削減計画> 

同社は2040年までにバリューチェーン全体(Scope1~3)で、ネットゼロエミッションを達成することを目指しています。この目標は、以下の具体的な削減計画に基づいています。

 

・Scope1および2(自社エネルギー生成と運用):

2006年比で99.8%の温室効果ガス排出削減を目指し、2025年までに排出強度を10gCO2e/kWhに、2040年までに1gCO2e/kWhに削減する計画です。

・Scope3(バリューチェーン全体):

2018年比で99%の排出削減を目指し、2040年までにエネルギーポートフォリオ全体を2.91gCO2e/kWhに削減する計画です。

・販売製品の使用によるScope3排出:

2018年比で90%の絶対排出削減を目指し、特に天然ガスの販売からの排出を段階的に削減する計画です。

 

(参考:https://orsted.com/en/media/news/2021/10/13634593

https://www.csrwire.com/reports/735746/beyond-zero-emissions-energy-how-orsted-making-renewables-force-positive-change

https://orsted.com/en/who-we-are/sustainability/our-stories/orsted-becomes-first-energy-company-in-the-world-with-a-science-based-net-zero-target)

 

業界をリードするデンマークの再生可能エネルギー企業に今後も注目!

デンマークの再生可能エネルギー企業は、洋上風力を中心に、再生可能エネルギー事業を世界各地で展開しています。2019年に日本市場への本格的な進出を果たすなど、国を越えて洋上風力発電事業の展開を積極的に推進中です。

 

科学的根拠に基づく脱炭素目標を掲げるなど、業界をリードする企業の取り組みに、今後も注目していきましょう。

 

(参考:https://kyodonewsprwire.jp/release/202003188213)

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