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世界第4位のサステナブル企業|循環型経済を推進する物流企業の取り組み
Friday, 11 July 2025

今回は同社のサステナビリティー戦略とその成果について解説します。
オーストラリアの物流企業が世界で最もサステナブルな企業に選出された背景
2025年、オーストラリアの物流企業は、カナダのサステナビリティー評価機関が発表する「世界で最もサステナブルな企業100社」において、世界第4位に選出されました 。
高評価の背景にあるのが、同社の循環型ビジネスモデルと再生型サプライチェーンへの取り組みです。具体的には、パレットやコンテナの「シェア&リユース」モデルを通じて、資源の最適化と廃棄物の削減を実現しています 。
さらに、同社は持続可能な森林管理、温室効果ガス排出の削減、廃棄物ゼロの達成を目指し、取り組みを推進中です。
これらの取り組みは、同社の「再生型サプライチェーン」の構築というビジョンの一環であり、環境への負荷を最小限に抑えつつ、社会的価値の創出を目指しています。

シェア&リユースによる循環型経済の推進
同社は、世界最大規模の再利用可能なパレット、クレート、コンテナのプールを管理し、循環型経済の原則に基づいた「シェア&リユース」モデルを展開しています 。その仕組みと
環境への貢献を見ていきましょう。
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<シェア&リユースモデルの仕組み>
1.供給…同社は標準化されたパレットやコンテナを顧客に提供します。
2.使用…顧客は、これらの資材を使用して商品を輸送します。
3.回収または再利用…使用後、資材はブランブルズに返却されるか、他の顧客によって再利 用されます。
4.メンテナンス…同社は回収した資材を検査・修理し、再び供給可能な状態に整えます。
この循環的なプロセスにより、資材の寿命が延び、使い捨て資材の使用が削減されます。また、資材の標準化と共有により、サプライチェーン全体の効率が向上し、コスト削減にも寄与するという仕組みです。
<環境への貢献>
同社の「シェア&リユース」モデルは、環境への負荷を大幅に軽減しています。例えば、2018年度には、顧客による同社のプラットフォームの利用により、1,700万本の樹木の伐採が回避され、2,600万トンのCO2排出が削減されました 。さらに、1,400万トンの固形廃棄物の発生を防ぎました。
また、資材の製造においても持続可能性を重視しています。例えば、再利用可能なプラスチッククレート(RPC)は、使用後に回収され、洗浄・修理された後、再び供給されます。寿命を迎えたクレートは粉砕され、新たなクレートの原材料として再利用されるという流れです。
<資源の最適化と廃棄物の削減>
同社のモデルは、資源の最適化と廃棄物の削減においても効果を発揮しています。資材の共有により、個々の企業が独自に資材を所有・管理する必要がなくなり、資材の使用効率が向上します。
また、資材の回収・再利用により廃棄物が減り、環境への負荷が軽減される点も特徴です。
このように、「シェア&リユース」モデルは、循環型経済の実現に向けた有効な手段として、環境保護と経済的利益の両立を可能にしています。

2025年に向けたサステナビリティー目標と進捗状況
同社は、2025年までに「Forest Positive」「Climate Positive」「Waste Positive」の3つのサステナビリティー目標を掲げ、持続可能で再生可能なサプライチェーンの実現を目指しています。以下に、それぞれの目標と進捗状況、具体的な施策を解説します。
<Forest Positive:森林再生と持続可能な木材調達>
【目標】
・使用する木材1本につき、2本の持続可能な植林を実施
・100%の木材を持続可能な方法で調達
・森林市場のChain of Custody(CoC)認証への移行を促進
【進捗】
・2024年度までに、3,8500万本の追加植林を実施
・木材の100%を持続可能な方法で調達
【施策】
・森林再生プロジェクトへの投資とパートナーシップの構築
・CoC認証の取得と拡大を通じた持続可能な木材調達の推進
<Climate Positive:気候変動への対応と脱炭素化>
【目標】
・2030年までにScope 1および2の温室効果ガス排出量を42%削減(2020年度比)
・2040年までにScope 1、2、3を含む全体でネットゼロエミッションを達成
・2025年までに全事業所で100%再生可能電力を使用
【進捗】
・2024年度までに、全事業所で100%再生可能電力を使用
・Scope 1および2の温室効果ガス排出量を削減し、カーボンニュートラルを維持
【施策】
・再生可能エネルギーの導入とエネルギー効率の向上
・サプライチェーン全体での排出削減目標の設定と実施
< Waste Positive:廃棄物ゼロと資源循環の推進>
【目標】
・全事業所および委託先での廃棄物ゼロを達成
・プラスチック製品における再生・アップサイクル素材の使用率を30%に引き上げ
【進捗】
・全事業所の83.0%で廃棄物を埋め立て処分から転換
・プラスチック製品における再生・アップサイクル素材の使用率を41.7%に達成
【施策】
・再利用可能なプラスチックパレットの導入と拡大
・廃棄物の回収・再利用プロセスの最適化
これらの取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた具体的なアクションとして、業界内外で高く評価されています。

共創による再生型サプライチェーンの構築に貢献するサステナブル企業に注目!
オーストラリアの物流企業は、循環型ビジネスモデルと再生型サプライチェーンの構築により、持続可能な社会の実現に貢献してきました。
取り組みの成果として、森林再生や廃棄物削減、CO2排出量の削減などが挙げられます。
今後も顧客やパートナーとの協働を通じて、環境・社会・経済の持続可能性を追求し、より良い未来を築いていくことが期待されるでしょう。
