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羽毛布団のアップサイクル|リメイクとの違いや工程を解説

Monday, 13 May 2024

ボリュームがなくなった羽毛布団は、アップサイクルで新しく生まれ変わることができるのをご存知でしょうか?

羽毛は洗浄・回復処理を行うことで、ボリュームや保温性を取り戻せる、リユース可能な資源なのです。

アップサイクルすることで、羽毛布団の焼却処分時に発生するCO2を削減できます。今回は、羽毛布団のアップサイクルについて、リサイクルとの違いやアップサイクルの工程を解説します。

羽毛布団の粗大ごみ量は東京だけでも年間100万枚以上! 

2-羽毛布団のアップサイクル|リメイクとの違いや工程を解説
2015年の統計によると、日本国内で生産されている羽毛布団は年間約120万枚、輸入されている羽毛布団は約190万枚以上といわれています。

日本では年間およそ300万枚もの羽毛布団を取り扱っているわけです。羽毛布団1枚にはなんと水鳥約100羽分の羽が使われており、300万枚ともなるととても多くの鳥を使用していることになります。

しかし、毎年多くの羽毛布団は廃棄処分されており、東京だけでも年間100万枚以上です。これは東京で出される粗大ごみナンバー1といわれています。

廃棄される羽毛布団のほとんどが焼却処分されますが、羽毛を1kg燃やすと約1.7kgの二酸化炭素(CO2)が発生します。東京で廃棄される100万枚分の羽毛布団だけでも、年間1,700トンのCO2を排出しているのです。

国内全体で見ると、年間約1,000万枚の羽毛布団が廃棄され、約17,000トン以上のCO2を発生させていることになります。羽毛はハードケラチンというたんぱく質でできているため、高温で焼却しなければならず多くのCO2が発生します。

CO2は温暖化の原因になる温室効果ガスです。羽毛布団の焼却による環境負荷を軽減するためにも、羽毛の再利用が求められています。

(参照:羽毛ふとんの廃棄ゼロエミッション(脱炭素)とリサイクル)
(参照:UMOUか変われば未来が変わる)

羽毛布団のアップサイクルとは?リサイクルダウンとの違い

3-羽毛布団のアップサイクル|リメイクとの違いや工程を解説
羽毛布団のアップサイクルとは、捨てられてしまう羽毛布団を回収し、取り出した羽毛を洗浄・回復処理を行うことで、羽毛が持つ機能が蘇り、新たな羽毛布団へと生まれ変わることを指します。

「リサイクルダウン」と呼ばれる再生羽毛との違いは、工程の多さです。一般的なリサイクルダウンの工程は、「回収→解体→徐塵・洗浄→検査→充填」ですが、アップサイクルダウンの場合は徐塵・洗浄を行ったあと再度、除塵と選別を行います。

2回に渡って徐塵し、選別を行うことで、よりふわふわで高品質な羽毛に仕上がるというわけです。

羽毛布団をアップサイクルする流れ 

4-羽毛布団のアップサイクル|リメイクとの違いや工程を解説
ここでは、羽毛布団がアップサイクルされるまでの流れを、ある企業の工程を例に見ていきましょう。

1. 回収…宿泊施設や家庭で捨てられる羽毛布団を自治体から回収する。

2. 解体…解体機に1枚ずつ羽毛布団をセットし、中の羽毛を取り出す。

3. 徐塵・洗浄…ごみやほこり、チリなどを取り除き、専用の洗浄機を使いきれいな水で羽毛を洗浄する。

4. 乾燥… 高温乾燥で雑菌を死滅させ、羽毛のボリュームを取り戻す。

5. 再除塵…再び、徐塵機にかけて洗浄や乾燥に耐えられなかった羽毛を取り除く。

6. 足し羽毛…仕上がった羽毛を計量し、足りない分はアップサイクルダウンを足す。

7. 充填…新しく仕立てた生地に、羽毛を充填していく。

8. 検品…検査基準に基づき検品する。

上記の工程を経て、羽毛布団はアップサイクルされていきます。認定機関によって、厳しく検査されるため、安心・安全のアップサイクル羽毛布団に仕上がるのも良い点です。

古くなった羽毛布団を回収してアップサイクルするサービスも!

5-羽毛布団のアップサイクル|リメイクとの違いや工程を解説
最近では、古くなった羽毛布団をアップサイクルするサービスを行う寝具専門店も出てきています。宿泊施設や家庭で使用していた古くなった羽毛布団を回収し、先述した通り解体、洗浄、乾燥、足し羽毛などの工程を経て、羽毛を蘇らせ、新しく仕立てた生地に詰めていきます。

羽毛布団を買い替えたりリフォームするよりも、費用が安く抑えられるのがメリットです。また、食品産業の副産物として利用できる羽毛は年々減少しており、さらに世界的な経済状況や鳥インフルエンザなどの影響で、羽毛の価格は今以上に不安定になると考えられます。

羽毛布団のアップサイクルは、羽毛という希少性の高い資源を循環利用し、焼却処分によるCO2排出量を削減できる点が大きなメリットです。

現在使っている羽毛布団が次のような状態になったときには、アップサイクルに適したタイミングです。
【羽毛布団の状態でみるアップサイクルすべきタイミング】

・へたってふわふわ感がなくなってきた
・汚れ、においが気になる
・ダニやホコリが気になる
・側生地に穴や破れが生じてしまった

羽毛布団が上記のような状態であるなら、アップサイクルに出すのがおすすめです。

羽毛布団をアップサイクルして資源の枯渇を防ぎ、CO2を削減しよう!

6-羽毛布団のアップサイクル|リメイクとの違いや工程を解説
古くなった羽毛布団の多くが粗大ごみとして廃棄されていますが、羽毛は洗浄・回復処理を行うことでふわふわの羽毛に蘇る、アップサイクル可能な資源です。
羽毛布団をアップサイクルすることで、供給が難しくなっている羽毛の枯渇を防ぎ、焼却処分によるCO2を削減します。

羽毛布団の買い替えを検討している方はぜひ、アップサイクルを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
あわせて読みたい: 服のアップサイクルとは?リメイクとの違いやメリット・デメリットも解説

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