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Urban Farmingを革新させるアクアポニックスとは?

Tuesday, 12 November 2024

都市部の空きスペースを有効活用し、野菜や植物を育てるUrban Farmingが世界的に広がっています。

中でも魚の養殖と水耕栽培を融合した「アクアポニックス」を取り入れたUrban Farmingが、持続可能な食料生産のモデルとして注目されています。

今回はUrban Farmingを革新させるアクアポニックスとは何か、取り入れるメリットや事例も併せて解説します。

Urban Farmingに新風を吹き込むアクアポニックスとは? 

アクアポニックスとは、魚の養殖を意味する「アクアカルチャー」と水耕栽培を指す「ハイドロポニックス」を融合させた持続可能な農業システムのことです。

 

水に放出された魚の排泄物を微生物が分解し、それが植物にとっての栄養分となります。植物が栄養を吸収することで浄化された水が再び水槽に戻るため、魚を養殖する水槽内の水はいつでもきれいな状態を保てるというわけです。

 

これまで分離して考えられていた養殖業と農業を循環でつなぎ合わせたアクアポニックスは、生産性の向上と環境への配慮が両立できる、革新的で持続可能な農業システムとして期待が高まっています。

 

(参考:https://aquaponics.co.jp/about-aquaponics/)

Urban Farmingにアクアポニックスを取り入れるメリット 

都市部で野菜や植物を育てるUrban Farmingにアクアポニックスを取り入れることで、多くのメリットが得られます。具体的にどんなメリットがあるのか見ていきましょう。

 

<無農薬で栽培ができる>

 

アクアポニックスでは魚の健康を保つため、無農薬で栽培します。また、化学肥料や除草剤なども使わないため、新鮮で安心・安全な野菜やハーブを育てられるのが良い点です。これによって都市住民に健康的な食材を提供できます。

 

<都市の狭いスペースでも生産性が向上できる>

 

利用できる土地が限られている都市部では、農園に利用する広大な土地を確保するのが難しいでしょう。しかし、アクアポニックスなら水耕栽培の装置を垂直方向に積み重ねた「垂直農法」と組み合わせられるため、狭いスペースでも多くの植物や魚を育てられます。

 

都市部の限られたスペースでも、効率良く栽培や養殖ができ、生産性を向上できます。

 

<水を節約できる>

 

アクアポニックスは、従来の農業方法に比べて水の使用量を大幅に節約できるのがメリットです。魚の排泄物を含んだ水は植物が栄養分として吸収したあと、浄化されて再び魚のいる水槽に戻るからです。

 

この循環システムによって水が浪費されず、都市の水資源を守ることにもつながっています。

 

<都市の食料自給率が向上し、環境負荷も軽減>

 

Urban Farmingにアクアポニックスを取り入れることで、都市の食料自給率が向上します。輸送に頼らず、都市で新鮮な野菜や魚が手に入るため、食料の供給チェーンを短縮し、輸送時に発生する二酸化炭素(CO2)も削減します。

 

食料自給率を上げるだけでなく環境負荷を減らし、持続可能な都市環境をつくる手助けになるのも良い点です。

 

(参考:https://bipass.daicel.com/words/aquaponics

https://r-tsushin.com/feature/movement/urban_farming_berlin/#page-2)

アクアポニックスを導入して成功したUrban Farming

日本を含め世界ではアクアポニックスを導入して成功したUrban Farmingの事例がいくつかあります。ここではその一部を紹介します。

 

<アクアポニックスで魚のティラピアと植物を育てるシカゴのUrban Farming>

 

アメリカのシカゴには、アクアポニックスを用いたサステナビリティを重視するUrban Farmingの施設があります。古いビルを有効活用した施設では、アクアポニックスでティラピアを育てると同時に、野菜やハーブを栽培しているのが特徴です。

 

また食料廃棄物を活用してエネルギーを自給するシステムを構築しています。さらに、教育プログラムやワークショップなどを実施し、持続可能な農業と環境保護に関する知識を地域に広める活動も行なっています。

 

(参考:https://ourworld.unu.edu/jp/symbiotic-urban-farming-and-industrial-reuse-in-chicago)

 

<スイスの移動式コンテナ型アクアポニックス>

 

スイスでは移動式のコンテナ型アクアポニックスが登場し、スーパーマーケットやレストランの屋上を中心に導入が広がっています。

 

移動式のため、庭先や駐車場など好きな場所に設置できるのが特徴。またその場所に合った大きさや機能を選ぶことができます。

 

スイスで最初に作られたコンテナ型アクアポニックスでは、年間およそ5トンの野菜と約800kgの魚が生産可能です。アクアポニックスの栽培技術やノウハウはスイスのチューリッヒ大学で研究されたもので、学校での教育ツールとしても活用されています。

 

(参考:https://aquaponics.co.jp/blog/aquaponics-rooftop-farm/

https://www.ymizuki.com/entry/urbanfarmers-visit)

 

<東京・世田谷区のビル屋上で運営するアクアポニックス>

 

東京・世田谷区のビル屋上には、アクアポニックスを取り入れたコミュニティー農園があります。魚の養殖で使われる水を90%再利用しながら、リーフ類やトマト、ジャガイモなどの野菜とティラピアやホンモロコなど食用の魚を生産しています。

 

生産した野菜や魚は、ビル1階のカフェレストランで提供し、地域経済の活性化に貢献。また、地域の障害者施設と連携し、毎月アクアポニックスの体験実習を開催しています。企業と障害者をマッチングし、雇用の創出も行なうなど、社会課題の解決につながる活動もポイントです。

 

さらに、地域の幼稚園や小学校の子どもたち向けにイベントも開催し、食育にも貢献しています。

 

(参考:https://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/goodlifeaward/winner10/zikkou25-about.html

https://www.agriko.net/service/agrikofarm)

アクアポニックスはUrban Farmingの持続可能性を高めてくれる! 

魚の養殖と植物の水耕栽培を組み合わせたアクアポニックスは、都市の狭いスペースでも生産性が高められ、水を節約しつつ無農薬野菜が生産できるなど、多くのメリットを与えてくれます。

 

環境負荷を軽減しながら都市住民に健康的で新鮮な食材を提供するアクアポニックスは、Urban Farmingの持続可能性を高めてくれる農業システムです。未来の食を支えるアクアポニックスに今後も注目していきましょう。

 

合わせて読みたい:初めての水耕栽培はペットボトルがおすすめ!栽培方法を解説

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