世界最大級の風力発電機メーカーのサステナブルな取り組み
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世界最大級の風力発電機メーカーのサステナブルな取り組み

Thursday, 26 June 2025

デンマークに本社を置く世界最大級の風力発電機メーカーは、再生可能エネルギー分野のリーダーとして知られています。

2025年には「世界で最もサステナブルな企業100」で第3位、エネルギーソリューション企業としては最上位にランクインし、その持続可能性への取り組みが高く評価されました。

今回は世界最大級の風力発電機メーカーのサステナブルな取り組みを解説します。

デンマークで創業した世界最大級の風力発電機メーカー  

世界最大級の風力発電機メーカーは、1945年にデンマークの西ユトランド地方で創業しました。当初は農業機械の製造から始まりましたが、1979年に風力発電事業へと進出し、1989年以降は風力発電機の製造に専念しています。

 

現在では、世界最大級の風力発電機メーカーとして、88カ国以上で累計177ギガワット(GW)以上の風力発電機を設置し、2億トン近いCO2排出を回避しています。

 

同社は「すべての活動に持続可能性を」という理念を掲げ、サステナビリティーを企業活動の中心に捉えています。この理念のもと、2030年までにカーボンニュートラルを達成し、2040年までにゼロウェイストの風力発電機を実現するという野心的な目標を設定し、取り組んでいるところです。

サステナビリティー戦略の4つの柱 

同社は、持続可能性を企業活動の中心に捉え、以下の4つの柱を軸にサステナビリティー戦略を展開しています。具体的にどのような戦略があるのか見ていきましょう。

 

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<2030年までに自社およびサプライチェーンのカーボンニュートラルを実現> 

2030年までに自社の事業活動におけるカーボンニュートラルを達成することを目指しています。この目標は、カーボンオフセットを利用せず、実際の排出削減によって達成される計画です。

 

具体的な取り組みとして、自社のサービス車両の電動化や、再生可能エネルギーによる向上の稼動を推進しています。

 

<2040年までにゼロウェイストの風力発電機実現を目指す>

2040年までにゼロウェイストの風力発電機を実現することを目指しています。現在、風力発電機の約85%がリサイクル可能ですが、特にタービンブレード(羽部分)のリサイクルが課題です。

 

この課題に対応するため、タービンブレードの循環利用を実現する目的で立ち上げられたプロジェクトに参画し、熱硬化性樹脂のリサイクル技術の開発に取り組んでいます。

 

<安全性と多様性の推進> 

同社は、最も安全で包括的、社会的責任を果たす企業を目指しています。具体的には、2025年までに女性管理職比率を25%、2030年までに30%に引き上げる目標を設定しています。

 

また、2025年までに総合記録可能傷害率(TRIR)を1.5、2030年までに0.6に削減することを目指し、従業員の安全性向上にも取り組んでいます。

 

<持続可能なエネルギーへの移行を主導> 

同社は持続可能なエネルギーへの移行を主導するため、Power-to-X技術の研究や、海運界の脱炭素化を目指すGetting to Zero Coalition」(※)に参加しています。

 

Power-to-X技術とは、再生可能エネルギーを効率的に利用し、水素や燃料、化学物質などさまざまなエネルギーキャリアに変換する技術のことです。

 

再生可能エネルギーは天候や時間帯による変動が大きい特徴がありますが、蓄積したエネルギーを必要なときに利用することで、再性可能エネルギーを効率的に利用できるメリットがあります。

 

※「Getting to Zero Coalition」…200以上の組織が加盟する、海運の脱炭素化を目的とした国際的な企業連合。

 

(参考:https://www.vestas.com/en/sustainability/sustainability-strategy)

サプライチェーンと循環型経済への取り組み 

世界最大級の風力発電機メーカーは、持続可能なサプライチェーンの構築と循環型経済の推進において先進的な取り組みを行っています。

 

サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、物流、販売までの一連の流れのことです。ここでは、同社のサプライチェーンと循環経済への取り組みを見ていきましょう。

 

<鉄鋼業界の大手と提携し、低排出の鋼材を使用したタワーを製造> 

鉄鋼業界の大手と提携し、風力発電機のタワーに低排出の鋼材を使用しています。この鋼材は100%の鉄スクラップを電気アーク炉で溶解し、再生可能エネルギーで生産しているため、従来の製鋼方法と比較してCO2排出量を最大66%削減できるとされています。

 

現在、陸上タワー全体と洋上タワーの上部2セクションにこの鋼材が使用されており、今後は全セクションへの適用拡大を目指しています。

 

<サプライヤーとの協力によるScope3排出量削減とESG評価の導入> 

サプライヤーとの協力を強化し、Scope3(間接排出)排出量の削減に取り組んでいます。具体的には、企業のサステナビリティーを評価する国際的な認証機関のESG評価を導入し、サプライヤーの環境・社会・ガバナンスパフォーマンスを評価しています。

 

この評価に基づき、改善計画を策定し、サプライチェーン全体の持続可能性向上を推進中です。

 

(参考:https://www.vestas.com/en/sustainability/supplier-sustainability)

 

<人権リスクの可視化と対応策の策定>

同社はサプライチェーンにおける人権リスクの特定と対応策の策定を目的として、ヒートマップの作成を進めています。このヒートマップは、Tier2サプライヤー(※)を含む広範なサプライチェーンを対象としており、強制労働や児童労働などのリスクを可視化することで、適切な対策を講じることが可能となります。

 

これらの取り組みを通じて、サプライチェーン全体の脱炭素化と倫理的な責任を果たし、持続可能な未来の実現に貢献しています。

 

(※)Tier2サプライヤー…製造業などで、一次下請けの要求に応じた品質と性能を備えた部品や材料を提供する、二次下請け企業。

未来に向けてすべての活動に持続可能性を意識していこう

世界最大級の風力発電機メーカーは、「すべての活動に持続可能性を」を掲げ、風力発電の先駆者として、環境・社会・経済の各側面で持続可能な未来の実現に取り組んでいます。

 

同社の事例は、企業が持続可能性をビジネスの中心に捉えることで、環境課題への対応と経済的成長を両立できることを示しています。

 

ぜひこれを機に、自身の行動や仕事を通じて持続可能な未来に向けての一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

 

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