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食糧危機の解決策?プラントベースフードがもたらす供給効率の向上
Tuesday, 01 April 2025

そこで注目されているのがプラントベースフードです。植物由来で環境負荷の低いプラントベースフードは、持続可能な食料供給の鍵となる可能性を秘めています。
今回は、プラントベースフードが食料供給の効率を向上させる理由や課題、今後の展望を解説します。
世界が抱える食料供給の課題とは?
まずは世界が抱える食料供給の課題を確認していきましょう。
<世界の人口増加による食糧危機>
世界の人口増加に伴い、食料需要は年々伸びている状況です。人口が約100億人に達すると予測される2050年には、食料の需要は現在の1.5倍以上に増加するといわれています。
しかし、畜産業を中心とした現在の食料生産システムではこの増加する需要を満たすことが難しいとされています。
(参考:https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1231000.html)
<畜産業の非効率性と環境負荷>
畜産業中心の食料生産システムが難しいといわれる理由は、畜産業における非効率性と環境負荷です。
例えば牛肉1kgを生産するのに約15,000リットルの水と約25kgの穀物が必要で、家畜の飼料生産にも大量の資源が使われています。
また、畜産業は温室効果ガスの大きな排出源であり、気候変動を加速させる要因です。
気候変動が加速すれば、気温の上昇や干ばつ、異常気象、洪水などを引き起こす可能性が高くなり、農作物の収穫量に大きな影響を与えます。
農業の不安定化により、食料価格の高騰や供給不足が発生するという負のループに陥ってしまうのです。

プラントベースフードが食料供給の効率を向上させる理由
食糧危機を解決するためには、食料供給の効率を向上させる必要があります。その解決策として期待されているのがプラントベースフードです。
ここでは、プラントベースフードがどのように食料供給の効率を向上させられるのかを見ていきましょう。
<飼料の転換効率を向上できる>
先述した通り、牛肉1kgを生産するのに必要な穀物は25㎏といわれています。この穀物は家畜の飼料で消費されるものです。
一方、プラントベースフードの生産では飼料が必要ないため、この25kg分の穀物は食料として直接人間に供給できます。畜産に比べて生産効率が良く、より多くの食料を供給できるのです。
<水・土地資源を節約できる>
プラントベースフードは畜産業に比べて水や土地資源を節約できます。家畜の飼料となる25kg分の穀物を生産するには、広大な土地が必要であり、水は約20トン必要といわれています。
一方、プラントベースフードの原料である大豆を生産する場合、使用する土地は牛肉を生産するのに必要な土地の約18分の1です。また、大豆を1kg生産するのに必要な水の量は2.5トンで、牛肉1kgの生産に使われる水の約10分の1とされています。
さらに畜産業で使われる農地は世界の約80%を占めていますが、供給されるカロリーは世界の総カロリーのわずか18%です。
このような理由から、植物由来で飼料が要らないプラントベースフードは、畜産業に比べて食料の供給効率が良いといわれています。
<温室効果ガス排出量を削減できる>
プラントベースフードは、畜産肉の生産に比べて大幅に温室効果ガス排出量を削減できます。例えば牛肉1kgの生産過程で排出される温室効果ガスは約60kgですが、プラントベースミートの原料である大豆の場合、1kgの生産で発生する温室効果ガスは約6kgです。
比較してわかるように、牛肉の生産時よりも約10分の1の量に抑えられます。温室効果ガスは気候変動を促進させ、異常気象や干ばつを引き起こし、食料供給にも関わります。
温室効果ガスの抑制は、食料供給の向上にも大きく貢献できるのです。
(参考:

プラントベースフードの技術革新と未来
プラントベースフードは現在技術革新が進んでおり、持続可能な食料供給としてさらに期待が高まっています。近年注目を集めているのが、より健康的で栄養価の高いプラントベースフードを作る動きです。
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プラントベースフードは植物由来を主原料とするため、味や食感の再現に添加物を用いた製品が多い傾向でした。しかし最近では、添加物を使用せずに作る傾向があります。
環境に良いだけでなく、おいしくて栄養バランスのとれた体に優しい食品へと変化しています。

プラントベースフードの食料供給向上に向けた課題と展望
プラントベースフードは、一般的な肉製品よりも価格が高い点が課題です。しかし、生産規模の拡大や原材料の調達コスト削減によって今後価格の低下も見込まれ、それに伴って普及が加速すると予測されています。
また、肉文化が根付いている地域ではプラントベースフードの受け入れや普及が進みにくい場合があります。消費者の意識改革を促すための教育やマーケティングが重要課題です。
さらに技術の開発や3Dプリンタの導入によって、植物性原料の供給チェーンの最適化が進むほか、味や食感のさらなる改良によって、今後益々普及が進むと考えられています。
(参考:https://www.tbr.co.jp/report/sensor/pdf/sensor_20200916_02.pdf)

プラントベースフードが食料不足の救いの一手に!
プラントベースフードは、食料供給の効率性を大幅に向上させる可能性を持つ、持続可能な選択肢です。
動物性食品に比べて生産に必要な土地や水、エネルギー消費量が少なく、温室効果ガスの排出量も抑えられます。そのため、人口増加に伴う食料不足や環境問題の解決に貢献できます。
価格や消費者意識の改革などの課題がありますが、技術革新や開発によって、プラントベースフードはより身近なものになっていくでしょう。
