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BLOG -SDGs and Sustainability

ブラジルのSDGs達成への取り組み|熱帯雨林保護や貧困削減も

Friday, 03 January 2025

ブラジルは広大な国土と豊富な自然資源を持ち、南米最大の経済大国でもあります。その一方で、多くの環境問題や社会問題に直面しているのが現状です。これらは持続可能な発展を妨げる要因になっており、解決策としてSDGsの取り組みが多方面で進められています。

そこで今回は「SDGs達成のための、各国の取り組み」をテーマに、ブラジルが抱える環境問題や社会問題に触れ、SDGs達成への取り組みを解説します。

ブラジルが抱える環境問題や社会問題

ブラジルは世界で最も所得格差が大きい国であり、貧困に苦しむ子どもたちが増えている状況があります。

 

また、世界最大の熱帯雨林を持ち、気候変動対策に重要な役割を果たせるものの、森林伐採などさまざまな問題が生じています。ブラジルが抱える主な環境問題・社会問題は次の通りです。

 

・森林伐採とアマゾンの破壊

・気候変動による異常気象や干ばつ

・都市部の過密とインフラ不足

・貧困と差別問題 

・水資源の汚染と水不足

 

アマゾンの熱帯雨林はブラジルにとって最も深刻な環境問題のひとつです。違法な森林伐採や牧畜業の拡大、農業開発や鉱業の影響によって、広大な森林が失われています。生物多様性の損失や気候変動の加速、先住民族の生活に大きな影響を及ぼしています。また、気候変動の影響による異常気象や干ばつ、洪水リスクの増加も深刻です。

 

さらに都市部の急速な人口増加によって、住宅や清潔な水、衛生設備、インフラが不足し、スラム街が広がっています。富裕層と貧困層の間で教育や医療サービスへのアクセスに格差が生じています。

 

加えて、都市部での下水処理が不十分なことによる水資源の汚染や、干ばつによる水不足なども重要課題です。

 

(参考:https://www.js3la.jp/journal/pdf/ronshu26/ronshu026_06Arimizu.pdf

https://www.jica.go.jp/Resource/jica-ri/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jbic/report/oecf/rida/pdf/v3n2_03.pdf)

ブラジルにおけるSDGsの主な取り組み

ブラジルは複数の環境問題や社会問題と向き合い、SDGsを達成するために国際的な協力を得ながら、さまざまな取り組みを行っています。

 

ここからはブラジルにおけるSDGsの代表的な取り組みを見ていきましょう。

 

<アマゾンの熱帯雨林保護>

世界最大とされるアマゾンの熱帯雨林は、大気中の二酸化炭素を吸収し、地球上の酸素の20%を生み出してくれるといわれています。

 

アマゾンの違法な森林伐採を防ぎ、火災に対する取り締まりを強化するために、ブラジル政府やNGO、国際機関が連携して保護活動を実施しています。ブラジル政府は人工衛星画像などを用いて、アマゾンの熱帯雨林での違法伐採を監視強化中です。

 

また、森林再生プロジェクトや持続可能な林業の促進プログラムなども展開しています。これらの取り組みによって、気候変動の抑制や生物多様性の保護、先住民族の生活を守ることにつながっています。

 

(参考:https://www.bbc.com/japanese/66140985

https://rainforestjp.com/work/work-amazon/)

 

<持続可能な農業の推進> 

ブラジルは世界有数の食糧生産国であり、持続可能な農業に向けた取り組みが進められています。例えば農薬や化学肥料、遺伝子組み換えなどを行っていないことを証明する「有機認証」を受けたコーヒーやカカオ、野菜や果物などの生産拡大です。

 

また、農産物を適正な価格で公正に取引していることを証明するフェアトレード商品も普及しています。さらに、環境への負の影響を抑えるために、デジタル技術を用いたスマート農業のプロジェクトが進められています。

 

例えばドローンを活用した作物の監視や、精密農業による資源の最適化、IoT技術を使った作業の効率化などです。農業にデジタル技術を用いることで環境負荷を削減しつつ、生産性の向上が可能になっています。

 

(参考:https://www.jica.go.jp/Resource/brazil/office/activities/project/27.html)

 

<貧困削減>

貧困格差が大きいブラジルでは、貧困削減に向けた取り組みとして「ボルサ・ファミリア」というプログラムを実施しています。これは低所得者向けの現金給付を通じて、貧困緩和に寄与していくという取り組みです。

 

このプログラムは教育や医療サービスへのアクセス向上と併せて、社会包摂を促進しています。

 

(参考:https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/01/c26b2036ceef9ad9.html)

 

<再生可能エネルギーの推進> 

ブラジルは再生可能エネルギーの割合が高く、60%以上を水力発電によって賄っており再生可能エネルギー分野でリーダー的な役割を果たしています。

 

水力発電の割合が理由は、アマゾン川やイグアスの滝などの水資源に恵まれていて、豊富な河川水を利用できるためです。しかし、水力発電に依存していることから渇水期に電力不足になるリスクが高いといえます。

 

その対策として政府は風力発電や太陽光発電の導入をはじめ、持続可能なエネルギー供給を確保するための政策を実施し、水力発電の依存から脱却を図る方針です。

 

(参考:https://ieei.or.jp/2022/02/column220204/)

 

<水資源の管理と衛生環境の改善> 

水資源が豊富なブラジルですが、一部の地域では水のアクセスに課題があります。2021年の時点では総人口2億1,430万人中、1億人は下水にアクセスできず、3,500万人は飲料水にアクセスできていない状況でした。

 

政府は安全な飲料水と衛生設備へのアクセスを拡充するため、都市部や農村地域でのインフラ整備を進めています。また、水質保全や効率的な水利用を促進するための政策も実施されています。

 

(参考:

https://www.waterforum.jp/wp/wp-content/uploads/2017/08/20170823-8thpavilionpresentationJICA.pdf)

ブラジルのSDGsの課題解決にはパートナーシップが不可欠 

ブラジルは人工衛星を活用したアマゾン熱帯雨林の監視や、デジタル技術を用いたスマート農業の推進、貧困削減に向けた現金給付など、SDGsを達成するために多くの課題に取り組み中です。

 

持続可能な社会に発展していくためには、資金や技術の面で国際的な協力は欠かせません。今後もブラジルの取り組みと発展に注目していきましょう。

 

あわせて読みたい: SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」世界の現状と対策

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