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BLOG -Circular Economy and Environment

サーキュラーエコノミーの重要性が高まる漁業由来のごみ問題と対策

Monday, 27 May 2024

海に流れる海洋プラスチックごみと聞くと、レジ袋やペットボトルなどをイメージするかもしれません。

しかし、海洋プラスチックごみの中でもっとも危険とされているのは、漁業由来のプラスチックごみです。これらは海鳥や海洋生物に深刻な影響を及ぼしているといいます。

こうした問題から、漁業に関するサーキュラーエコノミーの重要性が高まっています。今回は漁業由来の海洋プラスチック問題や、漁具の流出を防ぐためのサーキュラーエコノミーに向けた取り組みを解説します!

漁業由来の海洋プラスチックごみは海でもっとも危険なごみ? 

2-サーキュラーエコノミーの重要性が高まる漁業由来のごみ問題と対策
漁業由来の海洋プラスチックごみとは、主に漁網やロープ、釣り糸、ブイなどを指します。これらは漁業に必要な道具ですが「ゴーストギア」とも呼ばれ、海でもっとも危険な海洋プラスチックごみとされているのです。その背景には、毎年60万以上の廃漁網や漁具が海に流出している事実があります。

海に流出する原因は、荒天や潮流などの事故によるものと、放置や非回収など意図的なものの2パターンあると考えられています。また日本では、一般的に産業廃棄物として自費で漁具を処分しなければなりません。そのため海岸に放置され、荒天時に海に流出してしまうケースも少なくないのです。

海に流出した漁業由来の海洋プラスチックごみは、自然分解されるまでに600年ほどかかるといいます。その結果、ウミガメや海鳥、海洋生物などに大きな被害を及ぼしているのです。

(参照:ゴーストギア発生予防対策・地域プロジェクト)

漁業由来の海洋プラスチックごみが及ぼす影響

3-サーキュラーエコノミーの重要性が高まる漁業由来のごみ問題と対策
では、漁業由来の海洋プラスチックごみは、具体的にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。

海洋プラスチックごみによって、海洋哺乳類の66%の種と、海鳥の50%の種、ウミガメの全種が被害を受けていると報告されています。

漁網やロープがからだに巻きついたり絡まったりすることで身動きが取れなくなり、力尽きて死んでしまうのです。

また、発泡スチロール製の漁具の破片や浮遊プラスチックなどを誤飲し、体内にマイクロプラスチックが残ってしまい悪影響を与えるケースもあります。漁網がサンゴに覆い被さるなど海洋生態系へのダメージも生じている現状です。

さらに、プラスチックの化学成分が海に溶けだし、水質汚染にもつながっています。加えて、流出した漁具が海を漂うことによって、船との衝突やスクリューの巻き込み事故なども起きています。また、本来得られるはずの漁獲量が減少してしまうなど、社会的な問題や経済的な問題を引き起こしているのが現状です。

(参照:ゴーストギア発生予防対策・地域プロジェクト)

漁具の流出を防ぐためのサーキュラーエコノミーに向けた取り組み

4-サーキュラーエコノミーの重要性が高まる漁業由来のごみ問題と対策
漁業由来の海洋プラスチックごみの流出を防ぐ対策として、漁具の再利用の重要性が高まっています。漁網などの漁具をごみではなく、資源としてリサイクルするというものです。

廃棄物を出さずに資源を循環利用する取り組みは、サーキュラーエコノミーの実現につながります。ここでは、実際に取り組まれている漁具の流出を防ぐための事例を見ていきましょう。

廃棄漁網を漁業関係者のワークウェアに

 

廃棄漁網をリサイクルした素材で漁業関係者のワークウェアを作るといった取り組みがあります。廃漁網は質の高いナイロン製の素材であり、再生ナイロン資源として優れた特徴を持つリサイクル可能な資源です。

海岸で回収された漁網はペレット化されたあと糸になり、再生ナイロン素材として生まれ変わります。その生地を利用しておしゃれで機能性の高いワークウェアが作られるのです。

漁業関係者が使っていた漁網が、新しい形で漁業関係者のもとに戻ってくるという資源の循環が実現しています。

廃棄漁網をアップサイクルして鞄に

  

北海道の漁港から回収された廃棄漁網をアップサイクルして再資源化し、その資源から鞄を作り出す取り組みがあります。

先述したワークウェアと同様に、回収した廃棄漁網を再生ナイロン樹脂のペレットにし、それを原料に作った糸を生地にして、鞄を作るといった仕組みです。

廃棄予定だった漁網は、高品質なリュックやトートバッグへと付加価値を高めて生まれ変わっています。

また、鞄は永久保証付きで、修理しながら長く愛用できるように作られているのもポイント。海洋プラスチックごみの削減とビジネスの両立を実現している取り組みです。

廃棄漁網から生まれた生地をペンケースに

 

回収した廃棄漁網から生まれた生地でペンケースを作り、資源の回収と再生の仕組みを推進する取り組みがあります。

廃棄漁網は粉砕したあとペレット化され再生ナイロンの糸になり、ポリエステルの糸と製織されて生地になります。

ファスナー部分には海の生き物を表現する柄やカラーがデザインされ、ポップな仕上がりも魅力です。ファスナーを開けてめくると自立し、ペン立てのように使えるのもポイント。

ペンケースを通じて海洋プラスチックごみ問題への関心を高めることも目的としています。

サーキュラーエコノミー実現を目指す漁業の取り組みに注目!

5-サーキュラーエコノミーの重要性が高まる漁業由来のごみ問題と対策

海に流出するごみの中でもっとも危険とされる漁業由来のプラスチックごみは、漁網やロープなどの漁具が多く、海洋生物や環境に悪影響を及ぼしています。また、船の接触事故や漁獲量の減少など、社会面や経済面にも影響している状況です。

しかし、これまで産業廃棄物としてしか処分できなかった漁具も、着々と資源の再利用化が進んでいます。海の環境を守るためにサーキュラーエコノミー実現を目指す漁業の取り組みに、今後も注目していきましょう。
あわせて読みたい: 気候変動に関わるプラスチックのポイ捨て|原因と対策を考えよう

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