はちみつを作り出すミツバチは、花粉を運ぶことで野菜や果物の生育も支えています。しかし、今世界ではミツバチが激減するといった現象が起きているのです。その主な原因は気候変動といわれていますが、それ以外にも理由があるといいます。
そこで今回は世界で起きているミツバチの減少やその理由に加え、ミツバチを守るために行われているプロジェクトについて解説します!
ミツバチには花粉を運ぶ働きがあり、国連のアヒム・シュタイナー事務局長によれば、世界で食べられている100種類の作物のうち、70以上がミツバチによって受粉されているとのことです。野菜や果物、お茶やコーヒーなど、食料になる植物のほとんどがミツバチの受粉によって支えられているわけです。
ミツバチが花粉を運ぶ理由は、花粉が幼虫の栄養や巣の材料になるからです。また、ミツバチは花の選り好みをしないため、多くの植物の花を訪れていることも理由のひとつです。
ミツバチにとって花粉は生きていくために必要なものであり、植物にとってもまたミツバチがいなければ受粉をすることは困難です。
ミツバチの花粉媒介が安定することで、植物の生育も安定し農作物の収穫量が上がります。ミツバチの働きは自然界や人間の暮らしを支えるためにも重要であるといえるでしょう。
(参照:Humans must change behaviour to save bees, vital for food production – UN report)
(参照:ミツバチにうまく働いてもらうために)
ミツバチは農作物の生育において重要な役割を果たしていることがわかりましたが、そんなミツバチに今、異変が起こっています。
ミツバチの減少は、はちみつが採取できないだけでなく、生態系の崩壊にもつながる問題です。ミツバチの減少をくい止めるための対策として「ミツバチプロジェクト」が広がっています。
ミツバチプロジェクトは、ビルの屋上や公園などを利用して養蜂を行うほか、環境教育や食育、都市の緑化活動などさまざまな目的があります。
ミツバチが増えることで受粉機会を失った植物の受粉や結実を助け、それを捕食とする野鳥なども集まってきます。野鳥は害虫を食べてくれるため、健全な生態系のサイクルを取り戻す効果が期待できるのです。
日本のミツバチプロジェクトと同様の運動は、ニューヨーク、パリ、サンフランシスコなどでも行われています。
(参照:ミツバチプロジェクトによる都市域の生物多様性への取組み)
この地球上からミツバチがいなくなってしまったら、私たちが普段当たり前のように口にしているはちみつだけでなく、野菜や果物、コーヒーや紅茶などが食卓に並ぶこともなくなってしまうかもしれません。
ミツバチの大量死・大量消失は生態系の崩壊を予感させるともいわれています。ミツバチは人間が生きていく上で、必要不可欠な存在といえるでしょう。
世界で起きているミツバチの減少をきっかけに、いま一度環境問題に目を向け、ミツバチプロジェクトのイベントに参加してみるなど、自分にできることから実践してみてはいかがでしょうか。
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