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BLOG -Circular Economy and Environment

気候変動でミツバチが激減!?世界で起きている現象とは

Wednesday, 12 April 2023

はちみつを作り出すミツバチは、花粉を運ぶことで野菜や果物の生育も支えています。しかし、今世界ではミツバチが激減するといった現象が起きているのです。その主な原因は気候変動といわれていますが、それ以外にも理由があるといいます。

そこで今回は世界で起きているミツバチの減少やその理由に加え、ミツバチを守るために行われているプロジェクトについて解説します!

ミツバチの働きとは?

ミツバチには花粉を運ぶ働きがあり、国連のアヒム・シュタイナー事務局長によれば、世界で食べられている100種類の作物のうち、70以上がミツバチによって受粉されているとのことです。野菜や果物、お茶やコーヒーなど、食料になる植物のほとんどがミツバチの受粉によって支えられているわけです。

ミツバチが花粉を運ぶ理由は、花粉が幼虫の栄養や巣の材料になるからです。また、ミツバチは花の選り好みをしないため、多くの植物の花を訪れていることも理由のひとつです。

ミツバチにとって花粉は生きていくために必要なものであり、植物にとってもまたミツバチがいなければ受粉をすることは困難です。

ミツバチの花粉媒介が安定することで、植物の生育も安定し農作物の収穫量が上がります。ミツバチの働きは自然界や人間の暮らしを支えるためにも重要であるといえるでしょう。

(参照:Humans must change behaviour to save bees, vital for food production – UN report)
(参照:ミツバチにうまく働いてもらうために)

世界で起きているミツバチの減少とその理由

ミツバチは農作物の生育において重要な役割を果たしていることがわかりましたが、そんなミツバチに今、異変が起こっています。

ミツバチの大量死が発生!一夜にして消失も

1990年代以降、ヨーロッパでミツバチの大量死が見つかり、2010年以降は中国やアメリカ、日本を含む世界各国でミツバチの大量死・大量失踪が報告されています。

この現象は蜂群崩壊症候群(Colony Collapse Disorde:CCD)と呼ばれ、2007年までに北半球の4分の1のミツバチが消失したともいわれています。

中でもアメリカでは、2006年からミツバチが一夜にして消失する現象が続いており、米国農務省のデータによれば2006年から2007年、2007年から2008年までの間にミツバチがそれぞれ30%以上減少したと報告されているのです。

また、スウェーデンにおいても1970年から2007年にかけて75%の減少が報告されています。

(参照:新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間)
(参照:世界におけるミツバチ減少の現状と欧米における要因)

ミツバチが激減している理由

なぜ世界でミツバチの大量死・大量消失が起きているのでしょうか。その理由のひとつが気候変動です。気候変動による気温上昇や異常気象によって森林が減少し、生物の生息地が奪われることによって生物多様性も減少しています。

森林が減少すると蜜源も減り、ミツバチが栄養不足に陥りやすくなります。また、地球温暖化によってウイルスを媒介する寄生虫やダニが住みやすい環境になり、ミツバチが病気にかかるなどして被害を受けているのです。

ミツバチは環境の変化に弱い生き物でもあるため、気候変動に適応できていないことも理由として挙げられます。

さらに、ミツバチが激減している理由は気候変動だけに留まりません。温暖化によってダニや害虫が繁殖したため、農作物の栽培にネオニコチノイド系の農薬が使われるようになったこともミツバチが減少した大きな要因となっています。

ネオニコチノイド系の農薬はタバコに含まれるニコチンに似た成分を持ち、ミツバチの神経機能に異常をきたし、方向感覚を失わせ帰巣本能を低下させてしまうのです。

こうした複合的な要因が、ミツバチが減少している理由として考えられています。

(参照:新農薬ネオニコチノイドが脅かすミツバチ・生態系・人間)

ミツバチを守るための「ミツバチプロジェクト」とは?

ミツバチの減少は、はちみつが採取できないだけでなく、生態系の崩壊にもつながる問題です。ミツバチの減少をくい止めるための対策として「ミツバチプロジェクト」が広がっています。

ミツバチプロジェクトは、ビルの屋上や公園などを利用して養蜂を行うほか、環境教育や食育、都市の緑化活動などさまざまな目的があります。

ミツバチが増えることで受粉機会を失った植物の受粉や結実を助け、それを捕食とする野鳥なども集まってきます。野鳥は害虫を食べてくれるため、健全な生態系のサイクルを取り戻す効果が期待できるのです。

日本のミツバチプロジェクトと同様の運動は、ニューヨーク、パリ、サンフランシスコなどでも行われています。

(参照:ミツバチプロジェクトによる都市域の生物多様性への取組み)

ミツバチをきっかけに環境問題について考えてみよう

この地球上からミツバチがいなくなってしまったら、私たちが普段当たり前のように口にしているはちみつだけでなく、野菜や果物、コーヒーや紅茶などが食卓に並ぶこともなくなってしまうかもしれません。

ミツバチの大量死・大量消失は生態系の崩壊を予感させるともいわれています。ミツバチは人間が生きていく上で、必要不可欠な存在といえるでしょう。

世界で起きているミツバチの減少をきっかけに、いま一度環境問題に目を向け、ミツバチプロジェクトのイベントに参加してみるなど、自分にできることから実践してみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい: 気候変動やさまざまな脅威によるペンギンへの影響

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