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気候変動のタイムリミットを知らせる「気候時計」とは?
Thursday, 08 August 2024
そこで今回は、気候時計「クライメートクロック」とは具体的にどんなものか、設置場所やWEBで簡単にチェックする方法を解説します!
世界の国々で設置が増えている気候時計「クライメートクロック」とは?
気候時計「クライメートクロック」とは、気候変動による地球の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるために行動できる、残された時間を示す時計です。
例えば「5年328日15時間35分43秒」と表示されている場合、この時間内に温暖化による気候変動が進み、取り返しのつかない地球環境になってしまうことを意味します。つまり、気候時計は「地球のタイムリミット」を表しているわけです。
温室効果ガスの排出量が増加し、気候変動が加速すれば時計の進みも早くなり、残された時間も短くなります。
温室効果ガスの排出による気候変動の進行を可視化することで、人々の危機意識を高め、行動に促すためのツールとして世界の国々で設置が広がっているのです。
(参照:Climate Clock Japan)
気候時計が初めて設置された場所は?
気候時計が初めて設置されたのはニューヨーク市マンハッタンのユニオンスクエアです。2020年9月、ビルの巨大なLEDスクリーンに10桁の数字が映し出され、気候変動の影響による地球のタイムリミットを示したことが、世界中に広まるきっかけになりました。
地球危機までに残された時間が「年数、日数、時間、分、秒単位」でカウントされるほか、数分ごとに「地球には期限がある」といったメッセージが表示される仕組みになっています。
気候時計の考案者は環境活動家でありアーティストのガン・ゴールデン氏とアンドリュー・ボイド氏です。
2019年にベルリンに設置された、二酸化炭素排出量を可視化した追跡カウンターからヒントを得て作られたといわれています。
もともとビルの巨大なLEDスクリーンは「メトロノーム」と呼ばれる、1日の残り時間をカウントダウンするものでした。
しかし、2019年に当時高校生だった環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんが国連気候行動サミットで行ったスピーチが、世界的に注目されたことも後押しになり、2020年に世界初の気候時計としてニューヨークマンハッタンのビルに設置されたのです。
その後、気候時計はベルリン(ドイツ)やソウル(韓国)、ローマ(イタリア)やグラスゴー(イギリス)にも設置されました。
(参照:温暖化危機をカウントダウン NYに「気候時計」設置)
(参照:気候時計(Climate Clock)とは・意味)
日本では渋谷区内の100カ所に設置
日本では、4人の若者で結成された気候変動アクティビスト集団とエンタメやアートの力で社会の課題解決に取り組む企業が協力し、気候時計のプロジェクトを立ち上げ、渋谷区内の施設100カ所に気候時計を設置することが実現しました。
渋谷区内の気候時計は、世界各地に設置されている大型なものとは異なり、小型機や中型機を街のあらゆる場所に設置しているのが特徴です。街なかで異物感があるように、あえて無機質なデザインにし、パネルや基盤がむき出しになっています。
また、機器にはQRコードが埋め込まれており、読み取ると「気候変動に対するアクション宣言」を行うWEBサイトに誘導される仕組みもポイントです。区役所や文化施設、商業施設のレストルーム、エレベーター、商店のレジ横などに設置されています。
日常のさまざまなシーンで気候時計を目にすることで、気候変動を身近に感じてもらいたいという思いから実現したプロジェクトです。
1.5℃の気温上昇を抑えられないとどうなる?
気候時計はなぜ1.5℃の気温上昇をポイントにしているのでしょうか。それは、地球の平均気温が産業革命前に比べて1.5℃上昇した場合、地球環境に破壊的な影響を及ぼす可能性があると警告されているからです。
2022年に発表されたIPCC報告書によれば、世界の平均気温は既に1.1℃上昇していると指摘されています。気候変動の影響は、近年干ばつや山火事、洪水や異常気象による農作物の不作など、幅広い分野で生じています。
一時的に1.5℃を超えた場合でも、多くの人々と自然環境がさらなる深刻なリスクに直面すると予測されているのです。地球の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑えるには、温室効果ガスの排出削減や再生可能エネルギーへの転換など、取り組みの緊急性が求められています。
気候時計で気候変動への深刻さを知って、行動に起こそう!
気候時計は現在「5年171日」(2024年2月1日時点)を示しています。地球が危機を迎えるまで6年を切っている状況です。残された時間内に一人でも多くの人がアクションを起こすことで、訪れる未来が変わってきます。
気候変動を抑え、1.5℃の気温上昇を防ぐには温室効果ガスの排出量削減が不可欠です。気候時計は以下のWEBサイトでもチェックできます。気候時計で残された時間を意識しながら、日常生活の中で二酸化炭素(CO2)を削減する取り組みを積極的に行いましょう!
・CLIMATE CLOCK JAPAN
https://www.climateclockjapan.com/
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