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食のサーキュラーエコノミーの実現へ②|食品廃棄物の再資源化

Monday, 25 March 2024

前回の記事では、食のサーキュラーエコノミーを実現するための2つのポイントをご紹介し、1つめのポイント「食品廃棄物の削減」に関する取り組みをご
紹介しました。

今回は、2つめのポイントである「食品廃棄物の再資源化」について、取り組み事例も併せて解説します!

(参照:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html)

食品廃棄物の再資源化は大きく分けて3つ

食品廃棄物の再資源化は大きく分けて3つの方法に分類されます。取り組み事例の前に、まずは食品廃棄物を再資源化する3つの方法について、それぞれの内容を確認していきましょう。

<1:生産過程での原料やエネルギー源として再利用>

食品廃棄物を再資源するにあたって、生産過程での原料やエネルギー源として再利用する方法があります。例えば、食品廃棄物を代替たんぱく質として注目される昆虫や藻を飼育・栽培する餌に使用するのもそのひとつです。

食品廃棄物を餌に育てられたコオロギはパウダー状に加工され、クッキーやパンなどに練り込み昆虫食の商品として提供されています。

また、食品廃棄物を餌にして培養された藻類から、DHA(ドコサヘキサヘン酸)やたんぱく質を生み出す技術も開発されているのです。
藻類も昆虫食同様に、肉に代わる新たなたんぱく源として期待されています。

さらに食品廃棄物は、堆肥化や飼料化に加えて再生可能なバイオマスエネルギーに活用されています。バイオマスエネルギーとは、動植物に由来する有機性の資源から得られるエネルギーのことです。

食品廃棄物をメタン発酵させてバイオガスを取り出したり、廃食油からバイオディーゼル燃料(BDF)を取り出したりしてエネルギーやバイオ燃料に転換しています。

バイオ燃料は燃やすと二酸化炭素(CO2)を発生させますが、有機資源であるバイオマスに含まれる炭素は、植物の成長過程による光合成で吸収したものです。

そのため、結果的にCO2の排出量は実質ゼロとされ、環境に優しい再生可能なエネルギーとして注目されています。

(参照:https://www.env.go.jp/recycle/waste/conf_raw_g/04/mat02.pdf)

<2:食材として再利用>

本来捨てられるはずの食材を、再び食材として再利用する方法です。廃棄直前の食品を低価格で購入できるサービスや、食材を必要としている購入者と廃棄直前の食品をマッチングさせるアプリなども生まれています。

また、廃棄食材を活用したレストランや、廃棄食材に手を加えて価値を高めて提供するアップサイクル食品なども増えつつあります。

捨てられるはずの食材を再利用する方法では、製品の価値を維持でき、資源効率が高いのが特徴です。

<3:食品以外の原材料に再利用>

食品廃棄物を食品以外の原材料に再利用する方法もあります。主に、化粧品やアパレル製品、代替プラスチック製品、紙製品、建材などの原材料です。

コーヒーかすやジュースの搾りかす、米のもみ殻や野菜や果物の皮、卵の殻などが再利用されており、食品ロスの削減に貢献しています。

(参照:https://cs2.toray.co.jp/news/tbr/newsrrs01.nsf/0/8DD3C26CF91818CF49258825002F9801/$FILE/K2204_020_029.pdf)

食品廃棄物を再資源化する取り組み事例

ここからは食のサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組み事例の一部をご紹介します。先述した食品廃棄物を再利用する3つの方法のうち、「2:食材として再利用」と「3:食品以外の原材料に再利用」についての取り組み事例を見ていきましょう。

<アプリを活用したフードシェアリングサービス>

飲食店などでまだおいしく食べられるのに売り切るのが難しくなった料理や食品の情報を掲載し、購入希望者とマッチングできるフードシェアリングのアプリが開発されています。消費者は割引価格で購入できるのがメリットです。

また、製造量は減らさずに食品ロスを削減でき、新規顧客の獲得やリピーターにつながるなど、店舗側の売上げや利益を伸ばすことにもつながっています。食品ロスを削減した分のCO2削減量が、アプリ内で可視化できるのもポイントです。

<規格外の野菜をクレヨンの着色剤に>

米ぬかの副産物である米油から摘出されるライスワックスをベースに、規格外の野菜を着色剤として利用するクレヨンがあります。

ニンジンや、リンゴ、カシスや紫芋など、色によって異なる野菜パウダーが使われているのが特徴。規格外品や加工時にカットされる皮や外葉などを活用し、食品廃棄物の再利用を実現しています。

世界で最も厳しい安全基準検査をクリアし、純国産で作られているのもポイント。万が一子どもが口に入れてしまっても安全な素材で作られているので安心です。

これらの取り組み以外にも、フードテック(テクノロジー技術)を用いて廃棄食材を3Dフードプリンターでデザイン性の高い食品に加工したり、米のもみ殻などを皮革づくりの染色や皮なめしに使用したり、コンクリートより強度の高い建築材料を生み出したりなどの取り組み事例もあります。

食品廃棄物の再資源化に注目してみよう!

食品廃棄物の再資源化は、主に「生産過程での原料やエネルギー源として再利用」「食材として再利用」「食品以外の原材料に再利用」の3つに分類されます。

どれも資源を可能な限り有効活用して廃棄物を出さない、食のサーキュラーエコノミーを実現するためのカギとなる取り組みです。

ぜひこれを機に、食品ロスを出さないよう意識しながら、どうしても発生してしまう食品廃棄物がどのように再資源化されているのか、注目してみてはいかがでしょうか。

あわせて読みたい: 食品ロス削減に貢献するアップサイクル食品とは?事例もチェック

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