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気候変動や大気汚染による健康被害|医療費増大の問題も

Monday, 13 March 2023

今、世界では気候変動による異常気象をはじめ、化石燃料による大気汚染などの影響でさまざまな健康被害が起きています。

また健康被害により医療費が増大し、経済的負担が大きくなって生活が不安定になるといった二次災害も起きているのです。

今回は、気候変動や大気汚染による健康被害や医療費増大の問題についてわかりやすく解説します。

気候変動や大気汚染による健康被害で医療費が増大

気候変動や大気汚染による健康被害は増加傾向にあり、それに伴って医療費が増大していることが明らかになっています。

米国の環境保護団体「NRDC(天然資源防護協議会)」や「気候と健康に関する医学会コンソーシアム」が出した報告書によると、米国では気候変動と大気汚染に伴う医療費が年間8200億ドル、日本円にして年間約90兆円を超えると推定しています。

また、対策を強化せずこのまま気候変動が進めば、数年間で医療費がさらに増大すると予測しています。年間約90兆円は一人当たりに換算すると約27万円であり、経済的負担は決して少なくありません。

健康被害によって思うように働けなくなると、労働生産性が低下して生活費がまかなえなくなるなど、家庭や社会においても二次被害が発生してしまうのです。

(参照:気候変動がもたらす健康への影響が深刻化 米国では医療費が年間90兆円超に)

気候変動や大気汚染によって起きている健康被害

では、気候変動や大気汚染によってどのような健康被害が起きているのでしょうか。ここからは実際に起きている健康被害を見ていきましょう。

大気汚染による呼吸器系疾患やアレルギーの悪化

石油や天然ガス、石炭といった化石燃料を燃焼させると、大気汚染の原因となる有害物質が放出されます。その中でも問題視されているのがPM2.5です。

PM2.5には炭素や硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどが含まれており、1mmの400分の1以下の超微粒子であるため、肺の奥まで入り込みます。

そのため、心血管疾患や肺がんなど呼吸器系疾患やアレルギーの悪化を引き起こしやすいといわれています。

(参照:微小粒子状物質(PM2.5)とは)

蚊・ダニ媒介感染症による死亡

蚊・ダニ媒介感染症とは、病原体を持ったマダニや蚊などに刺されて起こる感染症のことです。気候変動に伴う気温の上昇によって、マダニや蚊の活動季節や地域が広がり、これらの感染症にかかるリスクが高まります。

蚊・ダニ媒介感染症にはいまだに治療薬のない感染症も多く、脳炎などを引き起こし命に関わることもあります。

(参照:蚊媒介感染症)

気温上昇による熱中症

気候変動がもたらす気温の上昇によって、熱中症にかかる人が増加する恐れが指摘されています。熱中症になるとめまいや顔のほてり、だるさ、吐き気、筋肉のけいれんなどの症状を引き起こし、重症になると命にかかわることもあります。

(参照:気候変動と熱中症対策)
(参照:熱中症の症状)

異常気象がもたらす山火事やハリケーンによる死亡

気候変動による気温の上昇によって、世界では山火事やハリケーンなどの自然災害が多発しています。その影響で災害に巻き込まれた人々における、呼吸器系の病気の発症や、死亡率が増加しています。

例えば2012年に起きた「サンディ」と呼ばれる大型ハリケーンでは、273人の死亡者が出たほか、入院患者や外来患者は1万2000人以上に上りました。これにより年間約2.1兆円以上の医療費が発生していると推測されています。

(参照:気候変動がもたらす健康への影響が深刻化 米国では医療費が年間90兆円超に)

異常気象による食糧不足が引き起こす飢餓

干ばつや洪水などの異常気象によって作物の生産量が低下し、食糧不足で飢餓状態に陥る人が増えています。

飢餓とは十分な栄養がとれず、生きていくことが困難な状態を指します。例えばアフリカ・マダガスカルでは40年間で最悪といわれる大規模な干ばつが起こり、農作物を育てるのが厳しい状況になっています。

また農家で生計を立てている人々の所得が減り、家計を支えられず貧困に陥り、食糧が買えず栄養失調になるといった負の連鎖も起きています。

(参照:気候変動による世界初の飢饉が発生か 4年間降雨なく、昆虫で飢えをしのぎ…マダガスカル)

強制移住によるストレス

気候変動によって起こる洪水やハリケーンなどで家屋が壊され、移住を強いられる人々も多くいます。強制移住は心身共に大きなストレスとなり、不安やうつ、体調不良にもつながりやすいと考えられます。

(参照:気候変動による強制移住)

気候変動や大気汚染による健康被害を防ぐには

気候変動や大気汚染による健康被害を防ぐには、化石燃料の使用を控え、気候変動を最小限に抑えることが不可欠です。気候変動を完全に抑えられなくても、これ以上地球温暖化が進まないよう対策を講じることが求められています。

化石燃料の代わりに太陽光や風力発電などの自然エネルギーへ切り替えることで、大気汚染を緩和させながら温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出を抑えられます。

環境省では温暖化による気温上昇を1.5℃に抑えることを目標に掲げており、CO2の排出量を2030年までに45%削減する取り組みを進めているところです。気候変動を抑えられるかどうかは、人間の健康を大きく左右するといっても過言ではありません。

気候変動や大気汚染による健康被害を防ぐために、私たち一人ひとりが日常生活の中で省エネやプラスチックの削減などできることを実践し、2030年までに45%のCO2削減を目指していきましょう。

(参照:環境省における気候変動対策の取組)

あわせて読みたい: 気候変動と感染症の関係|日本でのマラリアやデング熱流行の可能性

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