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クライメートテックで関心が高まる電気自動車分野の取り組み
Thursday, 13 February 2025

今回は電気自動車分野におけるクライメートテックについて、活発化している背景や取り組みを解説します。
日本政府は2035年までに新車販売でEV100%を発表
クライメートテックで電気自動車(EV)の取り組みが活発な背景には、政府によるEV普及の推進活動があります。日本政府は、2035年までに乗用車の新車販売におけるEVの比率100%を目指すと発表しました。
また、それに伴い公共用の急速充電器も含む充電インフラも、2030年までに30万口を目指し、ガソリン車に並ぶ利便性の充実を図ることを目標に掲げています。
さらに政府は2024年にEV購入に利用できる「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」制度を打ち出し、1,291億円の予算に加え、充電インフラ整備には約360億円の予算が充てられています。
2050年のカーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現に向けて、EV普及が加速する中、充電インフラの拡充を含むEVに関するクライメートテックの需要は高まっている状況です。
(参考:電動化目標を設定する

電気自動車分野におけるクライメートテック
クライメートテックの電気自動車(EV)での取り組みは、気候変動の要因であるCO2排出量削減やEVの普及推進に重要課題となる充電インフラやバッテリー技術の開発など、多岐に渡ります。ここでは、EV分野におけるクライメートテックを見ていきましょう。
<充電インフラの拡充>
EVの普及推進に伴って重要となるのが、充電インフラの拡充です。EV車購入時の不安を払拭するため、短時間で充電が完了する超高速充電ネットワークの整備などが行われています。
EV充電スタンドの設置場所は、自動車販売店をはじめ、コンビニや商業施設など全国各地に拡大中です。
また、路面や駐車場などで気軽に充電できるワイヤレス充電の技術も進んでおり利便性の向上に取り組んでいます。
さらに、EV充電スタンドの設置場所がひと目でわかるマップアプリも開発されるなど、充電インフラに関する取り組みは発展中です。
<新たなバッテリー技術の開発>
EVの心臓部でもあるバッテリー技術の開発も、重要な取り組みのひとつです。自動車が走るために必要な駆動用のバッテリーはリチウムイオン電池が主流ですが、それよりも高エネルギー密度で安全性が高いとされる、「全固体電池」の開発が進められています。
従来のリチウムイオン電池は、中に電解質という液体が入っていますが、全固体電池は電解質がすべて固体化している点が特徴です。
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「リチウム電池の進化版」とも呼ばれており、充電スピードが従来のリチウムイオン電池の3分の1に短縮できるとされています。
また、液漏れすることがないため安全性が高く、EVの走行距離も大幅に向上できる点もメリットです。
(参考:https://evdays.tepco.co.jp/entry/2024/01/15/000053)
<再生可能エネルギーとの連携>
EV関連のクライメートテックでは、再生可能エネルギーとの連携にも取り組んでいます。例えば、EVを電力網に接続し、蓄電池として活用するV2G(vehicle-to-grid)技術です。この技術を導入することで、余剰電力の貯蔵や電力需給のバランス調整に役立っています。
また、EVの充電が再生可能エネルギーのみで行えるよう、「グリーン電力」を提供する充電ステーションが増加しています。
(参考:https://www.autocrypt.jp/blog/v2g/
https://www.nissan.co.jp/EV/CHARGE_SUPPORT/ZESP3/renewable_energy.html)
<車体の軽量化に向けた素材開発>
EVのクライメートテックでは、車体の軽量化を進めるための素材開発を行っています。例えば、鉄鋼よりも軽いアルミニウムやマグネシウムの使用です。
特にマグネシウムは実用金属の中でも最も軽く、航空機にも使われるほど強度な素材で知られています。
ただし、可燃性が高く錆びやすい特徴があるため、アルミニウムや亜鉛を混ぜたマグネシウム合金を開発し、性能を高めています。車体の軽量化は低燃費化が実現し、CO2排出量の抑制につながる取り組みです。
(参考:https://mcc-ams.com/article/01/)
<EVに特化したシェアリングエコノミーの拡充>
個人所有ではなく、必要な時だけ使用するカーシェアリングサービスの市場が拡大している中、EVに特化したシェアリングエコノミーも拡充しています。
排気ガスを出さず、充電も再生可能エネルギーを使用することでCO2排出量ゼロが実現します。アプリで充電残量を確認できたり、利用中は無料で充電できたりと安心して利用できるのも良い点です。
また、EVのカーシェアのステーションをマップで探せるアプリも登場しています。
(参考:https://carsharepark.net/)
<製造過程での脱炭素化>
EV製造時に発生するCO2排出量の課題解決に向けて、部品の製造も含めた製造過程(サプライチェーン)における脱炭素化への取り組みが進んでいます。
例えば、製造工場で使用する電力を太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを使用したり、自動車製造で生まれる廃熱を利用するなどが挙げられます。製造工場から排出するCO2ゼロを目指し、EV全体を通して気候変動対策に取り組み中です。

電気自動車分野のクライメートテックは脱炭素社会実現の鍵に
電気自動車(EV)におけるクライメートテックは、充電インフラの拡充や新たなバッテリー技術の開発、再生可能エネルギーの連携や車体の軽量化に向けた素材開発など、脱炭素社会の実現に向けた多岐にわたる取り組みが特徴です。
これらの取り組みを推進していくことで、EVの普及がより加速し、気候変動の要因であるCO2排出量も大幅に削減できることでしょう。