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秋の紅葉が見られなくなる?美しい景色が失われる理由とは
Friday, 17 December 2021
まさかと思うかもしれませんが、ここ最近の自然環境に異変を感じている人もいることでしょう。そこで今回は、秋の紅葉が見られなくなる理由と具体的な要因について解説します!
気候変動の影響で年々遅くなっている紅葉の時期
秋の紅葉が見られなくなると言われている理由、それは地球温暖化による気候変動の影響です。
AP通信では、近年気候変動が秋の紅葉に深刻な影響を及ぼしていると報じました。
例えば米国の北東部では、例年9月末になると葉の色が変わっていましたが、今年(2021年)に関しては緑色のままだったと伝えています。
また、例年よりも早い時期に葉が枯れてしまうといった現象も起こっています。このような紅葉の変化は米国だけに限ったことではありません。日本でも年々紅葉の時期は遅くなっています。
気象庁のデータによると全国にある51の観測地点で、カエデの紅葉は1953年以降、10年あたり2.8日の割合で遅くなっています。つまり、ここ60年間で2週間以上紅葉の時期が遅れているということです。
このまま気候変動が進めば、2050年にはクリスマスの時期にならないと紅葉が見られないと言われています。それどころか、全く紅葉が見られなくなることさえ予測されているのです。
気候変動が紅葉にもたらす影響とは
気候変動が紅葉を阻害する要因とは何なのでしょうか。気温の上昇が葉に悪い影響を与えることは、なんとなく想像がつくかもしれません。
しかし、葉がきれいに色づく仕組みは、デリケートなバランスの上に成り立っているのです。ここでは、気候変動が紅葉にもたらす影響について詳しくお伝えします。
<1:木がダメージを受けてしまう>
海外では紅葉するはずの葉が、干ばつによって紅葉がピークを迎える前に枯れてしまったり、熱波で秋を待たずに散ってしまったりしています。
また、激しいハリケーンに見舞われてすべて葉が落ちてしまうといったことも起こっています。さらに厳しい干ばつによって、木々の生態は機能しなくなり、葉が色づかなくなることも。
また、日本では夏が猛暑で降雨量が少なくなると、木の生育や葉に影響を及ぼすと考えられています。このように気候変動による異常気象が木々に与えるダメージは大きいと言えるでしょう。
<2:朝晩の冷え込みが弱くなっている>
日本での紅葉の時期が遅れている最大の原因は、気候変動によって朝晩の冷え込みが弱くなっていることです。紅葉のスタートには、朝晩の冷え込みが重要とされており、日中との寒暖差が大きいほど葉の色づきが良くなると言われています。
例えばイチョウで説明すると、紅葉前の葉には光合成に必要な栄養分を含んだ緑色のクロロフィルと黄色のカロテノイドという成分が存在しています。
秋になって日照時間が減り気温が下がってくると、クロロフィルが分解されます。クロロフィルが分解されて減ることで、カロテノイドが目立ち、黄色く色づいて見えるのです。
しかし、気候が暖かいと葉は緑色の時期が長くなり、なかなか紅葉が始まりません。近年、紅葉が遅れてしまっている理由には、このような葉の色づく仕組みが関係しています。
これから先の未来も美しい紅葉が楽しめるように
秋の絶景シーズンに紅葉が見られなくなってしまえば、観光地を訪れる人も減り、観光業の経済的損失も大きいと言われています。
現時点でも、以前に比べ紅葉の色づきがいまいち迫力に欠けるといった地域もあることでしょう。このまま二酸化炭素の排出量が増え続ければ、世界の年平均気温は2100年頃までに4.8度上昇すると予測されています。そうなると秋の紅葉が遅れるどころか、現実的に見られなくなる可能性が高まってしまいます。
また、自然環境が大きく変化することで、日本の四季から秋が無くなってしまうかもしれません。秋の楽しみが失われる前に、これ以上気候変動を進行させないよう、ひとりひとりが意識して行動することが大切です。
紅葉がこれから先もずっと見続けられるよう、気候変動への対策を取っていきましょう。