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BLOG -Circular Economy and Environment

みんなで取り組む、生活排水による水環境汚染対策

Tuesday, 21 September 2021

私たちが日々の生活で使っている水道。その水道水は主に河川、ダム湖、湖沼といった地表に存在する水資源を利用しています。つまり、河川や湖沼といった水環境の状態は、私たちの生活に直結する問題なのです。今回は、身近な環境問題である河川や湖沼の水質問題について、スポットを当ててみましょう。

霞ヶ浦の水環境問題

上水道の水源として利用されていながら、水質問題が発生してきた湖沼の例として、霞ヶ浦(茨城県)の環境についてみてみましょう。日本第二位の面積を誇り、漁業や文化資源を支えるばかりでなく、周辺地域の水道へ水を供給するという重要な役割を担っている霞ヶ浦。しかしその一方で、深刻な水質、環境問題を抱えてきた湖でもあります。

昭和30年代までの霞ヶ浦は水泳を楽しむことができるほどきれいな水質を誇っていましたが、昭和40年代から周辺地域の工業化、生活様式の変化により急速に水質が悪化。昭和50年代の霞ヶ浦は泳げないどころか、シジミ、養殖コイの大量死やアオコの大発生が起き、周辺に悪臭を放つ有様となってしまいました。

霞ヶ浦の環境をここまで悪化させてしまった原因はどこにあるのでしょうか。水質悪化が進んだ当時は産業の発展により農業、工業等の産業排水量が増加したとともに、流域人口増加により生活排水量も増加していました。それらが適切に処理されず河川へ流されていたことで、多量の窒素やリンが霞ヶ浦に流入し、プランクトンの大量発生につながります。

その結果湖水中の有機物濃度が上がる一方、酸素濃度は下がり、生物の生息に適さない状態となったのです。その後、国や自治体が下水道や農業排水処理施設の整備、工場排水などの規制強化に取り組んだことで、霞ヶ浦の水質は改善し、最悪の状態は脱しました。しかし近年は水質改善が進まず、停滞状態となっています。かつての泳げる霞ケ浦にまで回復するのは、依然として困難な状況です。(*1)

水環境汚染による生活への影響

さて、このように水源の環境が悪化することで、私たちの生活にはどのような影響が出るのでしょうか。周辺地域で発生する悪臭や景観の悪化はわかりやすい例ですが、水源から遠い地域の住民にとっても他人ごとではありません。水質の悪い水を水道水として利用するには、多量の消毒薬等が必要になります。

つまり、「水道水が薬臭い」という現象につながるのです。料理や飲み水はミネラルウォーターにするという手段もありますが、風呂や洗顔に使う水となってくると、水道水を使わないことは難しいでしょう。また、浄水作業にかかるコストが増えれば、最終的には住民に負担が跳ね返ることにもなりかねません。

わたしたちにできる水質改善活動

霞ヶ浦の例からもわかるように、水環境の回復対策は、国や自治体の取り組みだけでは効果に限界があります。一人ひとりのレベルで水を守るためにできることはないのでしょうか。草の根の水質改善活動として有名なのは、琵琶湖周辺でかつて実施された「石けん運動」です。これは水質を悪化させるリンを多く含む合成洗剤の使用をやめ、天然成分の粉石けんを使うことを推進する住民運動であり、水質改善のための条例制定にまでつながりました。 (*2)

より小さなレベルの対策としては、まず河川や湖周辺、排水路の清掃活動といった直接的な対策が挙げられます。また普段の生活の中での取り組みとしては、節水、洗剤類の使用を最小限に控える、油や汁物等の食品廃棄物を流さず、紙や布に吸わせて処分する、生ごみの処分時に粉砕して排水へ流すディスポーザーは使わず、乾燥させて捨てるといったものがあります。また、洗剤を使わず汚れを落とせるスポンジや布巾、環境負荷の少ない洗剤やシャンプー、生ごみ堆肥化キットといった様々な商品が販売されているので、それらを活用するのもよいでしょう。

当たり前に存在するようでいて、実は貴重で繊細な資源である水。私たちの命を支える水環境を守り、改善していくという視点を、少しずつでも普段の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

*1 茨城県霞ケ浦環境科学センターHP
*2 滋賀県 しが水環境ビジネス推進フォーラムHP

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