ESGファンドによるサステナブル業界への投資｜仕組みや事例を解説

ESGファンドは持続可能な社会の実現と資産形成の両立を目指す手段として関心を集めています。まずはESGファンドの基本的な仕組みと、注目される理由を見ていきましょう。

＜ESGファンドの基本構造とメリット＞

ESGファンドとは、ESGの観点から評価された企業に投資するファンドです。ESGとは、環境(Environment)、社会( Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉で、企業の持続可能性や社会的責任を評価するための基準を指します。

ESGファンドは、財務情報だけでなくESG要素を考慮して企業を評価し、投資先を選定します。また、短期的な利益よりも企業の持続可能性や社会的影響を重視する点が特徴です。

このようなアプローチにより、投資家は社会貢献と資産形成の両立を目指すことができます。

＜ESGファンドが注目される理由＞　

近年、ESGファンドが注目されている背景のひとつに、グローバルな課題への対応が挙げられます。気候変動や社会的不平等などの問題が深刻化しており、世界的な課題への関心が高まっている傾向です。

また、ESGの取り組みは、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)の達成に寄与することも理由にあります。

さらに、財務リターンだけでなく社会的インパクトを重視する投資家が増加するなど、投資家の意識変化も挙げられます。これらの要因により、ESGファンドは持続可能な社会の実現に向けた重要な投資手段として位置づけられているのです。

(参考:https://www.smd-am.co.jp/market/daily/keyword/2021/05/key210510jp/)

ESGファンドは、環境・社会・経済の調和を目指し、持続可能な未来を創造するサステナブル業界に投資しています。

サステナブル業界は主に再生可能エネルギーや電気自動車(EV)、リサイクル、フェアトレード製品などのビジネスを展開しています。

ここからは海外および日本の企業の事例を通じて、ESGファンドがどのような基準で投資先を選定しているかを見ていきましょう。

＜海外のESGファンドによる投資事例＞　

ルクセンブルクに本拠を置くESGファンドは、欧州の再生可能エネルギーや交通インフラに特化したESGファンドです。これまでに、ドイツやベルギーの洋上風力発電所やフランスの太陽光発電所、北欧のEV充電インフラなどに出資しています。

これらの投資を通じて欧州のグリーンインフラ整備を推進し、サステナブルな社会の実現に貢献しています。

＜日本のESGファンドによる投資事例＞　

日本のESGファンドの投資事例のひとつに、ハイブリッド車や燃料電池車など、次世代モビリティーへの開発に注力している国内の大手自動車メーカーへの出資があります。企業の環境技術への取り組みが、ESG投資家から高く評価されているのです。

例えば、プラグインハイブリッド車や燃料電池車を含む多様な電動車を展開し、2030年までに世界で350万台のバッテリー式電気自動車の販売を目指しています。

また、次世代の水素燃料電池車の開発を進めており、2028年の市場投入に向けて邁進中です。

(参考:https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00003/092400003/

https://project.nikkeibp.co.jp/ESG/atcl/column/00025/100400002/)

＜投資事例から見るESGファンドの選定基準＞　　

ESGファンドは以下のような基準で投資先を選定しています。

・環境(E):温室効果ガスの排出削減、再生可能エネルギーの活用、資源の効率的な利用ができているか。

・社会(S):労働環境の改善、人権の尊重、多様性の推進など。

・ガバナンス(G):企業統治の透明性、法令遵守、経営陣の構成など。

これらの基準を総合的に評価し、持続可能な社会の実現に貢献する企業への投資を行っています。

(参考:https://www.gpif.go.jp/esg-stw/esginvestments/)

ESGファンドを選ぶ際、投資対象地域の選定は重要なポイントです。理由は、投資先の地域によってリスクやリターンの特性が異なるためです。

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国内企業への投資は為替リスクが少なく、情報収集が容易である一方、海外企業への投資は成長性や分散効果が期待できるものの、為替変動や政治・経済の不安定さによるリスクが伴います。自身の投資目的やリスク許容度に応じて、適切な投資地域を選定することが重要です。

また、2つ目のポイントはファンドの運用手法には、アクティブファンドとインデックスファンドがあることです。

・アクティブファンド…ファンドマネージャーが市場平均を上回るリターンを目指して積極的に運用します。ESG要素を重視した企業選定が行われることが多いといえます。

・インデックスファンド…特定のESG指数に連動する運用を行います。運用コストが低く、長期的な資産形成に適しています。

初心者には運用コストが低く、分散投資が可能なインデックスファンドがおすすめです。

さらにファンドが採用しているESG評価基準やスクリーニング手法を確認することが重要です。具体的な評価基準が明示されているファンドを選ぶことで、投資先企業のESGへの取り組みを把握しやすくなります。

ESGファンドへの投資は、持続可能な社会の実現と資産形成の両立を目指す手段として注目されています。環境・社会・ガバナンスの要素を重視する企業への投資を通じて、社会的課題の解決に貢献しながら長期的リターンを期待できます。

少額からでも始められる積立投資など、初心者にも取り組みやすい方法が整備されているのが特徴です。ESGファンドで“未来に投資する”という選択をしてみてはいかがでしょうか。