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SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献する倫理的取り組み
Monday, 12 May 2025

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、限りある地球資源を守り、持続可能な生産と消費のバランスを形成することを目指す目標です。
今回はSDGs目標12の達成に貢献する倫理的な取り組みを、企業の具体的な事例を交えて解説します。
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」とは?
SDGs(持続可能な開発目標)の12番目の目標「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な生産と消費の形態を確保することを目的としています。これは天然資源の効率的な利用や食品ロスの削減、廃棄物の適切な管理などを通じて、環境負荷を軽減しながら将来の世代が必要な資源を確保するということです。
SDGs目標12が掲げられた背景には、現代社会がもたらす環境問題や社会問題があります。例えば、食品ロスの増加や資源の枯渇、廃棄物の増大などです。これらの問題は、持続可能な社会の実現を妨げる要因となっており、倫理的な生産と消費の必要性が高まっています。
倫理的な生産と消費とは、環境や社会に配慮した持続可能な方法で商品やサービスを生産・消費することです。これにより、環境負荷の軽減や社会的課題の解決に寄与し、持続可能な社会の構築に貢献できます。
(参考:https://www.kyowakirin.co.jp/stories/20230324-01/index.html)

倫理的取り組みがもたらす社会的・環境的メリット
倫理的な生産と消費の取り組みは、社会や環境に以下のようなメリットをもたらします。
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<環境負荷の軽減>
資源の効率的な利用や廃棄物の削減により、環境負荷を軽減します。例えば、ビール製造過程で生じるビール粕やビール酵母を、飼料や肥料として再利用する取り組みもそのひとつです。これにより、食品ロスの削減と資源の有効活用を実現しています。
<社会的公正の実現>
公正な取引や労働環境の改善を通じて、社会的公正を推進します。食品業界や製造業界、繊維業界などで、取引先からの不当な要求や優越的地位の乱用が問題視されてきました。
これに対し、労働組合や業界団体は取引慣行の是正を求める活動を展開し、公正な取引の実現に向けた取り組みを進めています。
(参考:https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/data/kouseitorihiki_panflet.pdf?12)
<経済的持続可能性>
資源の枯渇を防ぎ、将来の世代にわたって安定した経済活動を維持します。そのひとつが、サーキュラーエコノミー(循環経済)推進などの取り組みです。
資源を効率的に循環させるために、従来の大量生産・大量消費型の経済モデルから脱却し、製品の設計段階から再利用やリサイクルを考慮することで資源の無駄を減らし、環境負荷を軽減します。限りある資源を循環利用しながら、経済成長も目指す新たな経済モデルです。
(参考:https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/circular_economy_01.html)

SDGs目標12に貢献する企業の倫理的取り組みをチェック!
食品業界やファッション業界、製造業界など、あらゆる産業でSDGs目標12の実現に向けた倫理的取り組みが行われています。具体的にどんな取り組みが行われているのか、事例を交えて解説します。
<食品業界の取り組み>
とある食品業界では、人権尊重に関するグループポリシーを策定し、事業活動全体での人権侵害リスクの把握と予防・軽減に取り組んでいます。
例えば、人権尊重の重要性と具体的な行動指針を明示しているほか、サプライチェーン全体での人権リスクを評価し、特にリスクの高い領域や取引先に対して、現地訪問やヒアリング調査の実施などです。これにより実態の把握と改善策の検討に努めています。
また、多くの食品関連企業が商取引に関する習慣を見直し、フードバンクへの寄付や需要予測精度の向上などを通じて、食品ロス削減に取り組んでいます。
(参考: https://sdgs-compass.jp/column/1832)
<ファッション業界の取り組み>
ファッション業界では、持続可能性と社会的責任を重視した「エシカルファッション」の取り組みが広がっています。具体的には、途上国の生産者に適正な報酬を支払うフェアトレードの推進や、環境負荷を軽減するために有機栽培されたコットンなどのオーガニックコットンを採用するブランドが増えています。
また、衣服の大量廃棄を削減するため、使用済み製品や端材を新しい商品に再生する活動も重要な取り組みです。
さらに、動物由来の素材を避けることで、動物福祉に配慮するエシカルブランドなども登場しています。加えて、生産過程での労働者の権利と安全を確保するため、サプライチェーン全体の労働環境を監視・改善する取り組みも実施されています。
(参考:https://green-note.life/1073/)
<製造業の取り組み>
製造業では、リファービッシュ品の販売や、循環型ビジネスモデルの導入などに取り組んでいます。
リファービッシュ品とは、使用済み製品や初期不良品を回収し、メーカーが再整備・再調整を行った上で再販売する製品のことです。これにより、製品寿命の延長と廃棄物の削減が実現されます。
デジタル機器やソフトウェアを開発する企業では、自社製品のリファービッシュ品を公式サイトで販売しています。
厳格な再整備プロセスを経て新品同様の品質が保証されており、新品よりも低価格で提供されている点が特徴です。資源の有効活用と顧客への経済的メリットを両立しています。
また、製品の設計から廃棄までのライフサイクル全体で資源の循環を考慮し、廃棄物の削減と資源効率の向上を目指す、循環型ビジネスモデルを導入する企業も増えている傾向です。

SDGs目標12の実現には持続可能な生産と倫理的な消費行動が鍵
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の達成には、あらゆる産業が持続可能な生産やリサイクル、フェアトレードの推進などの倫理的取り組みが鍵になります。
また、消費者はエシカルファッションブランドやリファービッシュ製品を選ぶなど、倫理的な消費行動をとることも重要です。
社会全体で倫理的取り組みを広げることで、資源の有効活用と公正な社会の実現につながり、持続可能な未来を築いていけるでしょう。
