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プラントベースフードで注目される「プラントベースミート」の可能性
Wednesday, 19 March 2025

今回はプラントフードの中で最も認知度の高い「プラントベースミート」に焦点を当て、注目される背景や国内外の市場規模、今後の展望を解説します。
プラントベースミートが注目される背景
プラントベースミートが注目される背景には、畜産業で生じる環境問題や人口増加に伴う食糧危機、健康志向の高まりや食に対する社会的な意識の変化など、いくつかの要因があります。
畜産業は、地球全体の温室効果ガスの約14%を占めるといわれており、気候変動を引き起こす温暖化の大きな要因です。
また、牛肉1kgを生産するのに約15,000リットルの水を必要とするほか、広大な土地や大量の穀物が必要といわれています。
プラントベースミートは、大豆やえんどう豆などが原料のため、これらの環境負荷や資源消費を抑えることが可能です。
ビヨンドミート社の調査によると、同社の製品は米国で生産される標準的なビーフパティと比べて、温室効果ガス排出量を90%削減できるとしています。
さらに、世界の人口は2050年に97億人まで増加すると予測されており、これによる食糧危機が懸念されています。
経済成長の可能性を秘める新興国では、所得の向上に伴い肉の需要が増加すると予測されており、供給が追い付かなくなるという点も重要課題です。
プラントベースミートは、環境負荷や資源消費を軽減して食料を供給できることから、畜産に代わる持続可能なタンパク源として期待されています。
加えて、コロナ禍による健康意識の向上や動物福祉への配慮、食の多様性など消費者意識の変化が追い風となり、プラントベースミートの市場は拡大しています。
(参考:ただいま市場拡大中 注目のフードテック「代替肉」トレンド解説
https://framtiden.earth/2024/01/03/beyond-meat-5/
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/social_development/population/)

プラントベースミートの市場規模をチェック!
プラントベースミートは欧米諸国を中心に市場規模が拡大しています。ここからは、プラントベースミートの市場規模と動向をチェックしていきましょう。
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<世界のプラントベースミート市場規模>
世界のプラントベースミート市場は、2020年に124億米ドル規模に達しました。2021年〜2027年の6年間において年平均成長率は約17.3%と予測されています。
米国ではプラントベースミートを使用した製品がスーパーに並び、身近な食品として選択されています。
2019年に米国で最も普及したのはプラントベースミートを使用した植物性バーガーです。
大手飲食店では、プラントベースミートを使用したメニューが数多く展開されています。
加えて2020年には、鶏肉の食感を再現したプラントベースチキンが市場を独占するという現象が見られました。プラントベースチキンは、大手ファストフード店でも植物性のフライドチキンとして提供されるなどして人気が高まっています。
(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003026.000071640.html
https://www.beyondmeat.com/en-US/whats-new/beyond-fried-chicken)
<日本の市場規模>
国内では、2020年頃にプラントベースミートのスタートアップが誕生し、市場への導入が始まったといわれています。
2021年6月には環境省が発表した「環境白書」の中で、新たな食の選択肢として、プラントベースミートを推進していく方針を示しました。
以前はベジタリアンやヴィーガンを実践する一部の消費者を対象にしていましたが、近年では環境配慮や健康志向の高まりなど、消費者の意識の変化から市場への期待が高まっています。
また、食品メーカーや外食チェーンなど、大手企業のプラントベースミート市場への参入が拡大している状況です。世界と比較して大幅な遅れをとっている日本のプラントベース市場ですが、2030年には800億円に達し、2020年比の2.2倍に拡大すると予測されています。
(参考:
ただいま市場拡大中 注目のフードテック「代替肉」トレンド解説
https://www.seedplanning.co.jp/archive/press/2020/2020060901.html)

技術革新や開発が進むプラントベースミート
日本を含む各国でプラントベースミートの技術革新や開発が進められています。近年では
3Dプリンタで成形、量産するプラントベースミートのステーキ肉が登場しています。
これまでひき肉のようなミンチタイプや薄切り状のフィレタイプ、塊状のブロックタイプなどの形状が主流でした。
しかし、3Dプリンタ技術を用いることで動物の筋肉構造を再現し、従来のステーキ肉に近い見た目や食感、風味を再現しています。
日本ではまだ導入されていませんが、欧州の多数の高級レストランで提供されており普及が進んでいます。
(参考:https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2011/16/news018.html

プラントベースミートの今後の展望
プラントベースミートの市場規模は広がる一方で、比較的価格が高いという問題があります。高価格になる要因は、プラントベースミートの開発や工場設立、設備などで多額のコストが発生するからです。
しかし、世界的な人口増加や、新興国における所得向上を理由に従来の肉の需要が高まり、こちらも継続的な価格の高騰が予測されます。
こうした背景から、動物由来の肉の方がプラントベースミートの価格を上回る可能性もあるといえるでしょう。
また、プラントベースミートには添加物が含まれているものも多く、風味への影響が課題となっています。可能な限り添加物を減らし、天然素材を活かした体に優しくておいしいプラントベースミートの開発も促進中です。
(参考:https://route06.co.jp/insights/67
https://www.gii.co.jp/report/smrc1494752-plant-based-meat-market-forecasts-global-analysis.html)

プラントベースミートによる環境、食糧危機、健康改善への可能性に期待!
プラントベースフードを代表するプラントベースミートは、大豆やえんどう豆などを原料にした植物由来の環境に優しい食材です。
価格の改定や風味の改善など、課題は多く存在しますが、技術革新や開発によって市場は今後も伸びていくと予測されています。
環境や食糧危機、健康改善への可能性が期待できるプラントベースミートをぜひ試してみてはいかがでしょうか。