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プラントベースフード市場の可能性|急成長の要因と今後の展望
Tuesday, 18 March 2025

今回は、プラントベースフード市場の可能性や急成長の要因、今後の展望を解説します。
プラントベースフードの市場の注目度が急上昇
植物由来の原料を使用したプラントベースフードは、ここ数十年で爆発的に注目度が高まりました。その背景には、年々影響が強まる気候変動や食料保障への危機感、個人の健康に対する不安や動物愛護の観点に加え、新しいライフスタイルの提案などがあります。
かつては限られた小規模な市場でしたが、今では世界中の食卓で注目される主流の選択肢へと変貌を遂げています。

プラントベースフード市場の拡大要因
プラントベースフードの市場が拡大している背景には、消費者トレンドの変化だけでなく、技術革新の進展や政策の影響もあると考えられています。ここでは、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。
<消費者トレンドの変化>
消費者トレンドとは、消費者の購買行動や価値観、ライフスタイルに影響する傾向や動きのことです。プラントベース市場が急速に拡大したのが、コロナ禍による消費者の健康志向の高まりであると考えられています。
植物由来のプラントベースフードは低カロリー、低脂質、コレステロールゼロで動物由来の食品に比べて生活習慣病を予防できるといわれています。
また、人や動物、環境、社会に配慮したエシカル消費への意識の変化も要因のひとつです。プラントベースフードは植物由来であるため、牛肉の生産時に発生する温室効果ガスを大幅に削減し、水や土地の利用効率が良い特徴があります。
さらに、柔軟な菜食主義の「フレキシタリアン」が増えたことも、需要の後押しとなった要因です。
(参考:フレキシタリアンとは?
https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail177/)
<技術革新の進展>
プラントベースフードが急成長した要因に、技術革新の進展も挙げられます。植物性の原料を使用した代替肉や、代替乳製品の味や食感、栄養価などの品質が向上しています。
また、プラントベースのステーキ肉を3Dプリンティングで再現した製品開発なども、成長を促す要因です。
(参考:https://futurefoodfund.co.jp/stories/plantbased
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2011/16/news018.html)
<政策・規制の後押し>
プラントベースフードの市場拡大には、各国政府による持続可能な食文化の推進も関係しています。
例えばデンマーク政府は、2023年10月から国民の食生活をプラントベースに移行することを目指す、世界初の国家行動計画を実施中です。
環境や健康を守るだけでなく、経済成長にもつながるとして、プラントベースフードの開発や普及に加え、教育プログラムにも取り組んでいます。
また、日本では2021年8月にプラントベースフードの食品表示ルールを明確化したことで、続々と新商品が登場しています。
(参考:https://reasonstobecheerful.world/denmark-radical-plan-plant-based-future/

プラントベースフードの市場の現状と成長の見込み
プラントベースフードの市場規模は国内外で拡大中です。ここからは、プラントベースフード市場の現状、成長の見込みを確認していきましょう。
<世界における市場規模の推移と予測>
世界におけるプラントベースフード市場は、2022年で442億ドル(約5兆9千億円)に上ったと報告されています。
年々市場規模は右肩上がりで、年平均の成長率9.9%で順調に推移しており、この10年間で市場は約2.5倍に拡大しました。世界のプラントベースフード市場は、2030年までに約1619億ドル(21兆円)に上ると予測されています。
(参考:https://nyukyou.jp/effort/council/20230719.html)
<国内における市場規模の推移と予測>
日本のプラントベース市場は、2019年の178億円から2020年には246億円にまで伸び、38%増加しました。2010年はわずか48億円であったことから見ると、10年で約5倍に成長しており、年平均率は22.5%となっています。
日本のプラントベースフード市場は、2025年には730億円に達すると予測されており、市場規模の急速な拡大が見込まれています。
(参考:https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail177/#cnt2

プラントベースフード今後の展望
プラントベースフードは味や価格などの課題はあるものの、環境、健康、社会問題を解決に導くサステナブルな食品として、今後も成長が期待されています。
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展望としては2つの点を中心に進めていくと予測されています。ひとつは普段の食事としての「定番化」、2つめは商品としての「多様化」です。
既に認知度が高く、定番化が進んでいるプラントベースミート(代替肉)は、ベジタリアンやヴィーガンに限らず一般消費者のリピート購入や、特定の商品に信頼を感じる「顧客ロイヤリティ化」が進むと考えられています。
また、子ども向けや高齢者向けの商品ラインナップも拡充していくでしょう。
さらにプラントベースフードの多様化も進んでおり、大豆ミート以外にプラントベースミルクの注目度が高いことが、消費者アンケートの調査結果から明らかになっています。
海外で流行しているプラントベースミルクの中には、日本に未進出のものもあり、今後は日本での商品群の広がりにも期待できるでしょう。
(参考:https://shokulab.unitecfoods.co.jp/article/detail177/
https://mmp.miyoshi-yushi.co.jp/next-food-lab-post/consumer-survey-about-plant-based-food-image/)

プラントベースフードは市場拡大とともにスタンダードな食の選択肢に
健康志向やエシカル消費への意識向上といった消費者トレンドの変化や、技術革新の進展、各国政府による持続可能な食文化の推進などによって、プラントベースフード市場は急速に拡大しています。
今後は「定番化」と「多様化」を軸として、さらなる成長が期待できるでしょう。プラントベースフードはより身近な食品となり、私たちの新たな食の選択肢として存在感を示していくのではないでしょうか。