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SDGs目標1「貧困をなくそう」|日本の現状を見てみよう

Thursday, 23 March 2023

SDGs目標1「貧困をなくそう」では世界中のあらゆる貧困をなくし、貧困に苦しむ人々の自立を支援することを目的としています。

世界的にみると日本は豊かな国であり、貧困のイメージがないかもしれません。しかし、実際には子どもの貧困問題が深刻化しているのです。

そこで今回は、日本における貧困の現状や貧困が引き起こすさまざまな問題、国が行っている貧困家庭への支援策を解説します。

(参照:“地球上のあらゆる形の貧困をなくそう”)

深刻化する日本の貧困問題

貧困は「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つに分類されます。絶対的貧困は、生命の危機に瀕するほど生活が困窮している状態を指し、開発途上国などに多い傾向があります。

一方の相対的貧困は、各国の国民の生活水準を下回る暮らしの状態を指します。日本の貧困は後者の「相対的貧困」にあたります。

相対的貧困率が先進国の中で3番目に高い日本ですが、中でも大きな課題になっているのが子どもの貧困です。

厚生労働省の調査によると、日本の子どもの7人に1人が貧困であり、その半数を占めるのがひとり親世帯であることがわかっています。

また、内閣府が行った調査ではひとり親世帯のうち86.8%が母子家庭であるとわかりました。(平成28年度調べ)

母子家庭では仕事と子育てとの両立が難しいと雇用側に判断され、非正規雇用としてしか働けないケースも多くあります。待遇面で不利益を受け、フルタイムで働いているものの十分な所得を得られず、貧困に陥ってしまう母子家庭が少なくありません。

加えて、母子家庭のみならず、子どもの貧困が深刻化している背景には社会情勢や経済状況、家庭の在り方などさまざまな要因が絡んでいると考えられています。

(参照:相対的貧困率等に関する調査分析結果について)
(参照:2021年 国民生活基礎調査の概況)
(参照:母子世帯数及び父子世帯数の推移)

貧困が引き起こすさまざまな問題

貧困家庭では、子どもの成長や発達に関わる問題が生じてきます。ここでは貧困が引き起こすさまざまな問題を見ていきましょう。

成長期に十分な栄養がとれない

貧困家庭では収入が少ないことから1日3回の食事がとれず、給食でしか栄養バランスの良い食事がとれていないケースがあります。

成長期に十分な栄養がとれないため、年齢のわりに体が小さかったり、体が弱かったりといった問題が生じる可能性があります。

心の成長にも大きく影響する

共働きやひとり親世帯では、親が夜遅くまで仕事に出ている家庭が多い傾向にあります。そのため、子どもは必然的に1人の時間が多く、食事をひとりでとる孤食が増える可能性があります。

子どもの孤食は、社会性や協調性を学ぶ機会を奪うほか、親とのコミュニケーション不足から寂しさを感じ、情緒不安定になりやすいという研究結果も出ています。

自己肯定感が低下する可能性がある

貧困家庭の子どもは、「お金がない」という事実を突きつけられ、欲しい物や行きたい場所、習いたいことなど、さまざまなことをあきらめなければならず、何事に対しても消極的になる可能性があります。

その結果、自分の存在に価値があると思えず、自己肯定感の低下につながってしまうのです。

大阪府が行った子どもの生活に関する実態調査(2017年)では「自分は価値のある人間だと思わない」という問いに対して、「はい」と答えた子どもは一般世帯が17%、低所得世帯が25%で、一般世帯よりも1.3倍多い結果となっています。

(参照:大阪府子どもの生活に関する実態調査)

貧困家庭の子どもたちへの支援

子どもの貧困は、子どもの可能性を奪うだけでなく、未来を担う大切な人材を失う社会的損失にもつながる重大な問題です。日本では、SDGsの達成と貧困問題の解決に向けてさまざまな対策や取り組みを行っています。

ここでは政府が行っている貧困家庭の子どもたちへの支援を紹介します。

放課後教室などの教育支援

経済的理由から塾や習い事に通えない子どもを対象にした、教育支援などに関する法律の整備が行われています。

また、家庭での生活を幅広く支援するためのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置、高校中退を事前に防ぐための取り組みなどもあります。

地域における学習支援ではボランティア講師が増えており、貧困家庭の子どもでも学校以外で学べる場所が増えつつあります。

教育費や貸付制度などの経済的支援

幼児教育・保育の無償化をはじめ、児童手当や児童扶養手当等の実施を行っています。
また義務教育を受ける子どもがいる家庭に対し、就学援助として学用品や学校給食費、PTA会費などの支給支援があります。

さらに高等学校の就学支援金の給付や授業料の免除など、教育費の負担の軽減に関する取り組みはさまざまです。

加えて、ひとり親家庭への貸付制度、養育費を確保するための法整備、相談窓口の設置なども実施しています。

保護者への就労支援

仕事と家庭の両立とより安定した生活を目指すための就労支援も、政府の取り組みのひとつです。
より収入の高い職業に就けるように、学び直しの支援も行っています。就労機会の確保や非正規雇用から正社員への転換などもバックアップしてくれます。

(参照:子供の貧困対策に関する大綱案のポイント)

子どもの貧困問題を解決するためにできること

日本は先進国ですが相対的貧困率が高く、子どもの7人に1人が貧困に苦しんでいます。しかしどんな環境や状況であっても子どもの希望ある未来がつぶされるようなことがあってはなりません。

子どもの貧困問題を解決するために個人でもできる支援として、内閣府が推進する「子どもの未来応援運動」があります。

未来応援基金に募金や寄付をしたり、支援団体とつながって子ども食堂のボランティアを行うことができます。子どもを支援したいという人は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

子どもを守ることは未来を守ることにつながります。貧困問題の解決に向けて、自分にできることに取り組んでいきましょう。

(参照:子供の未来応援国民運動)

あわせて読みたい: SDGs目標2「飢餓をゼロに」日本が取り組む農業支援とは?

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