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SDGs目標8「働きがいも経済成長も」|世界の労働問題

Monday, 27 March 2023

地球上に住むすべての人が持続可能な生活を送るためには、安定した経済成長と生産的な仕事ができる環境づくりが欠かせません。

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」が設定された背景には、世界で起きているさまざまな労働問題や経済発展への願いがあります。

今回は、SDGs目標8の内容や世界で起きている労働問題、日本の現状などを解説します。

(参照:“みんなの生活を良くする安定した経済成長を進め、だれもが人間らしく生産的な仕事ができる社会を作ろう”)

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは?

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」とは、持続可能な経済成長の促進や、社会に生きるすべての人が働きがいを感じ、十分な収入が得られる仕事に就ける社会を目指す目標です。

十分な収入が得られる仕事を「ディーセント・ワーク」と呼び、収入条件のほか働く人のあらゆる権利の保障も意味します。

また、ディーセント・ワークの定義には国や企業が仕事をつくり出す支援や、健全に働けて生産性が向上するような職場環境の整備が含まれています。

ディーセント・ワークは世界の労働環境を改善し、SDGs目標8を達成していく上で重要な考え方です。

(参照:ディーセント・ワークとは?)

世界で起きている労働問題

世界は失業率の増加や過酷な労働条件での仕事、児童労働やジェンダー格差など労働に関するさまざまな問題を抱えています。

世界の失業者数は2.2億人

国際労働機関が発表した2020年のデータによれば、世界の失業者は2.2億人とされています。失業率は減少傾向にありましたが、新型コロナウィルスの影響もあって再び増加に転じています。

また、職業訓練を受けられず仕事に就けていない若者(15歳〜24歳)は5人に1人です。特に西アジア北アフリカが深刻で、働きたくても働けない若者の割合が世界で最も多い地域になっています。

若者が仕事に就けないという状況は社会に影響し、治安の悪化などにもつながる可能性が高いといえます。さらに、働かなければ収入が得られないため、経済的に苦しくなり貧困にもつながります。

問題を解決するために、国や企業は早急に雇用機会を拡大していくための取り組みを進めていかなければなりません。

(参照:World Employment and Social Outlook – Trends 2020)

標準以下の労働条件に耐えている人が1億6,500万人

世界には仕事に就いていても十分な収入を得られていない、標準以下の労働条件で働く人が1億6,500万人いるといわれています。特に開発途上国で多く、労働市場の不平等などが理由として挙げられます。

例えば先進国との貿易において適正な取引が行えず、労働者が十分な収入を得られないケースも少なくありません。また、女性や移住者などが不平等な雇用形態で働かされ、貧困から抜け出せないといった状況もあります。

このような「働く貧困層」のことを、ワーキングプアといい、開発途上国をはじめ先進国でも増加傾向にあることが懸念されています。

(参照:ILO定期刊行物『世界の雇用及び社会の見通し:動向編2020年版』十分に活用されていない労働力が世界全体で約5億人)

学校をあきらめて働く児童労働

世界には学校に行くことをあきらめ、働かざるを得ない5歳〜17歳の児童労働者が1億5,200万人います。また、そのうち7,200万人は危険な状況で働かされている子どもたちです。

児童労働を強いられている子どもたちは勉強したくてもできず、学ぶ機会を奪われています。読み書きができないまま大人になり、その後も条件の良い仕事に就くのが困難になります。

その結果、十分な収入が得られず慢性的な貧困に陥ってしまうといった悪循環が生まれてしまうのです。

また、児童労働は子どもの健全な成長を妨げる以外にも、人身売買や戦争で子ども兵士になるといった深刻な問題も含まれています。

(参照:SDGs目標8. 働きがいも経済成長も | EduTownSDGs)

ジェンダー格差による雇用問題

男女平等が叫ばれる昨今ですが、地域によってはジェンダー格差が根強く残っているところがあり、労働においては世界のほとんどの場所で男性より女性の労働率が低いとされています。

国際労働機関の調査によると世界の労働参加率は男性が75%、女性が48.5%で男女に差が見られます。特に北アフリカやアラブ諸国ではジェンダー格差が大きく、女性の労働力が生かされていないのが明らかです。

また、女性は男性に比べて雇用の機会が少なく、働いたとしても賃金が男性より低いなどの格差があるのも事実です。

誰もが平等に雇用の機会を得ることができ、希望の仕事で公正な賃金を得られるようにすることが重要課題といえるでしょう。

(参照:労働力率のジェンダー格差は大きいまま)

日本の現状は?問題は労働環境とジェンダー格差

世界の労働問題を見てきましたが、日本の現状はどうでしょうか。今もなお「ブラック企業」や「過労死」といった言葉を耳にしますが、それらが大きな社会問題となっています。

例えば極端な長時間労働を強いられたり、低収入で残業代が出なかったりするブラック企業は多く存在します。また、働き過ぎによる自殺や過労死の事例があるのも事実です。

こうした日本の働き方を見直そうと、政府は「働き方改革」を推進しています。働き方改革とは、テクノロジーを上手に活用して一人ひとりの生産性の向上を図り、残業をなくして早く帰宅できるように工夫するなど、働きやすい環境を整えることを目指す取り組みです。

さらに、日本ではジェンダー格差の問題も重要視されています。男性に比べて女性の正規雇用率は低く、就職しても出産や育児で退職せざるを得ない職場環境にいる人が多い傾向です。

日本はジェンダー格差の問題も含めて、働き方改革の実現が求められています。

(参照:労働時間やメンタルヘルス対策等の状況)
(参照:「働き方改革」の実現に向けて |厚生労働省)

SDGs目標8を達成するために私たちにできること

SDGs目標8が目指す、世界中のすべての人が働きがいを感じ、十分な収入を得られるようにするために私たちにできることは何でしょうか。

消費者の立場でできることは、適切な貿易と労働環境で生産されたことを示すフェアトレード認証がされた商品を選ぶなどが挙げられます。

また労働者の立場として、自分自身の働き方やライフワークバランスについて考えることも大切です。

今いる職場で環境の改善に努めてみたり、改善につながるような雰囲気づくりを心掛けたりしてみてはいかがでしょうか。

(参照:フェアトレードとは?)

あわせて読みたい: SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」水問題の現状を知ろう

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