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世界のファンドによるサステナブル業界への投資事例をチェック

Thursday, 05 June 2025

近年、気候変動や社会課題への関心の高まりとともに、サステナブル投資が世界中で注目を集めています。

特に、環境・社会・ガバナンス(ESG)要素を考慮した投資戦略を採用するファンドが増加し、持続可能な社会の実現に向けた資金の流れが加速しているのです。

今回は、世界各国の主要ファンドによるサステナブル業界への投資事例を解説します。

サステナブル投資の重要性と世界的な動向  

まずは世界中で注目されるサステナブル投資の定義と背景、世界的な動向を見ていきましょう。

 

<サステナブル投資の定義と背景>  

サステナブル投資とは、環境・社会・企業統治(ガバナンス)の要素を考慮した投資活動を指します。

 

この概念は1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」が発表した報告書で提唱された「持続可能な開発」に基づいています。

 

この報告書では、環境保護と経済発展を両立させる必要性が強調され、依頼、サステナビリティーは国際社会の重要な課題として認識されるようになりました。

 

また、サステナブル投資は、「環境・社会のために経済を犠牲にする」という「トレードオフ」ではなく、むしろ「環境・社会を守り強めることで、経済も守り発展させる」という「トレードオン」の思想に基づいています。

 

(参考:https://www.mufg-firstsentier-sustainability.jp/content/dam/sustainabilityinstitute/assets/research/2296%20UKSIF%20Sustainable%20investment%20Japanese%20Final.pdf)

 

<世界的な投資トレンドと市場規模の変化>  

近年、サステナブル投資は急速に成長しています。2022年における世界のサステナブル・ファイナンス市場の売上高は約4,838億米ドルであり、2031年には2兆2,485億米ドルに達すると予測されています。これは、年平均成長率20.1%に相当します。

 

さらに、Grand View Research,Inc.の最新レポートによると、世界のサステナブル・ファイナンス市場規模は2030年までに2兆5,899億米ドルに達し、2025年から2030年までの年平均成長率は23.0%まで成長すると予測されているのです。

 

このような成長は、気候変動や社会的課題への対応が企業や投資家の重要な関心事となり、サステナブル投資が経済価値と社会価値の両立を目指す手段として注目されていることを示しています。

 

(参考:https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/green_transformation/pdf/010_02_00.pdf)

世界の主要ファンドによるサステナブル投資事例  

ここからは世界の主要ファンドによるサステナブル投資の事例をご紹介します。

 

あわせて読みたい: クライメートテックのスタートアップを調査!|状況や事例を解説

 

<イギリス:社会的課題への投資で100億ポンド超の資金を調達> 

2011年に設立されたイギリスを拠点とする社会的金融の中間支援機関は、社会的課題の解決を目的として投資を行っています。これまでにホームレス支援や若者支援など3,750以上のチャリティーや社会的企業に対して投資を行い、100億ポンドを超える資金を調達してきました。

 

その資金の多くは、休眠口座からの資金や主要銀行からの寄付を活用しています。経済的な利益だけでなく、社会や環境への貢献も重視する「社会的影響投資セクター」の成長を受けて、今後10年間で約418億ポンド(約8兆円)の民間資金を動員することを目指しています。

 

また、政府は2028年までにさらに3億5,000万ポンドを割り当てることを検討しており、投資を通じて成果に基づく社会サービスの強化を推進中です。

 

<デンマーク:再生可能エネルギーへの投資により世界中で大規模なプロジェクトを展開> 

デンマークを拠点とする投資ファンドは、再生可能エネルギーへの投資を行い、世界中で耐規模なプロジェクトを展開しています。

 

例えば、デンマークの洋上風力発電の大手企業と共同で、約5.2GWの海上風力発電プロジェクトを開発中です。これらのプロジェクトは、デンマークの現在の海上風力容量を2倍以上に増加させ、グリーントランスフォーメーション(※)の加速に寄与しています。

 

また、同ファンドは2013年には再生可能エネルギーへの投資を目的とした約1.7兆円のファンドの設立を発表しました。このファンドは再生可能エネルギーへの依存度を高め、化石燃料からの脱却を目指す取り組みの一環として位置づけられています。

 

(※)脱炭素社会の実現に向けて温室効果ガスを排出させない再生可能なクリーンエネルギーに転換していく取り組み。

 

(参考:https://www.cip.com/)

 

<オーストラリア:政府主導のグリーンバンクでクリーンエネルギーへ投資> 

オーストラリア政府が所有するグリーンバンクが、2012年に設立されました。同バンクは2050年までに国内の温室効果ガス排出実質ゼロの目標達成を支援するため、クリーンエネルギーへの投資を行っています。

 

2023年にはオーストラリア政府からの資本配分が305億豪ドルに増加し、再生可能エネルギー、エネルギー効率、低排出技術など、経済全体の脱炭素化事業に投資しています。

 

また、幅広い分野での投資を通じて、オーストラリアのエネルギーグリッドの変革や持続可能な住宅の支援、気候技術の革新も推進中です。

 

(参考:https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/05/2b009dd1c241a5f6.html)

https://www.finance.gov.au/government/specialist-investment-vehicles/clean-energy-finance-corporation)

 

<欧州:グリーンボンドを通じた気候関連プロジェクトへの支援> 

EUの政策目標を推進するために設立された非営利の金融機関で、気候変動対策や環境保護を目的としたプロジェクトへの融資を行っています。

 

2007年に世界初のグリーンボンドを発行して以来、2024年には累計1,000億ユーロを超えるグリーンボンド(※)、及びサステナビリティーボンドを発行し、世界最大の発行体となりました。

 

2024年4月には、欧州グリーンボンド基準に準拠した30億ユーロのグリーンボンドを発行し、持続可能なプロジェクトへの資金調達を強化しています。

 

(※)グリーンボンド…環境に配慮した事業に資金使途を限定して発行される債券。

 

(参考:https://www.eib.org/attachments/lucalli/20230319_eib_at_a_glance_ja.pdf

https://greenfinanceportal.env.go.jp/bond/overview/about.html)

サステナブル投資は持続可能性と収益性を両立する投資戦略が鍵

サステナブル投資は、社会的責任を果たしながら収益を追求する新たな投資の形です。サステナブル投資市場は、2030年までに約276億ドルに達し、年平均成長率10.78%が予測されています。

 

投資家は、ESG評価指標などを重視し、金融機関の情報提供やセミナーなど多様な手段で情報収集を行うことが重要です。

 

持続可能性と収益性を両立する投資戦略を構築し、未来志向の投資を始めてみてはいかがでしょうか。

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