世界で最もサステナブルな企業に選出!日本の医療機器メーカーの取り組み
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世界で最もサステナブルな企業に選出!日本の医療機器メーカーの取り組み

Wednesday, 09 July 2025

2025年、日本の医療機器メーカーは、カナダの企業評価機関による「世界で最もサステナブルな企業100社」に、6度目の選出を果たしました。

世界8,359社の中で総合98位、ヘルスケア機器・用品部門で世界第3位にランクインしています。

今回は同社が選出された背景や、医療アクセスの向上、環境への配慮など、持続可能な社会に貢献するサステナブルな取り組みを解説します。

世界で最もサステナブルな企業100社に選ばれた日本の医療機器メーカーとは?

世界で最もサステナブルな企業100社に選出された日本の医療機器メーカーは、臨床検査機器検査用試薬関連ソフトウエアの開発・製造・販売を行っています。

 

特に血液検査(ヘマトロジー)、尿検査、血液凝固検査の分野で世界トップシェアを誇り、製品は190以上の国と地域に展開されています。1968年の設立以来、グローバル事業を拡大し、2025年3月時点での連結従業員数は11,457名に達しました。

 

また、同社は「ヘルスケアの進化をデザインする」という企業理念に基づき、長期経営戦略を策定し、「より良い医療の旅路を共に」というビジョンのもと、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を両立させる取り組みを進めています。

 

このような取り組みが評価され、同社は前年の100位から98位へと順位を上げ、サステナブルな企業としての存在感をさらに高めました。

 

これにより、同社のサステナビリティー戦略が国際的に認知され、今後のさらなる成長と社会貢献が期待されています。

 

(参考:https://www.sysmex.co.jp/corporate/info/profile.html)

医療アクセスの向上とイノベーション 

同社は企業理念に基づき、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長を目指すサステナビリティー経営を推進しています。

 

この理念は、ステークホルダーに「安心」を提供することを経営の基本とし、社会的責任を果たすことに重点を置いています。

 

ここでは、医療アクセスの向上と革新的な技術開発を通じて、世界中の人々に質の高い医療を提供することを目指す取り組みについて見ていきましょう。

 

<医療アクセスの向上:ガーナでの母子保健プロジェクト> 

同社は、ガーナでの栄養失調やマラリアといった保健課題に対応するため、公益財団法人や日本の電機メーカーと連携し、母子の保健と栄養の改善を目的とした共創プロジェクトを展開しています。

 

このプロジェクトでは、質の高い検査技術と日本発のICTを組み合わせ、母子の健康と栄養の改善に貢献する仕組みを構築しています。

 

(参考:https://www.sysmex.co.jp/csr/social/access/)

 

<革新的な診断技術:抗菌薬耐性対策への貢献> 

スウェーデンにある同社の子会社は、尿路感染症の迅速診断テストを開発し、2024年に英国最大の科学賞である「Longitude Prize」を受賞しました。この迅速診断は、従来2~3日かかっていた分析時間を1時間未満に短縮し、抗菌薬耐性(AMR)対策に大きく貢献しています。

 

この技術は、すでにヨーロッパで利用可能であり、英国の国民保健サービス(NHS)でも採用が検討されています。

 

(参考:https://www.sysmex.co.jp/news/2024/240613.html)

 

<オープンイノベーション拠点の開設>

2023年、同社は東京都江東区新木場にオープンイノベーション拠点を開設しました。この拠点は、未病・予防や治療などの新たな領域の研究開発を加速するため、さまざまな外部パートナーとの協創を促進することを目的としています。

 

この拠点では医療ビッグデータや実臨床データを安全に扱う環境や、ウエットラボ機能が整備されており、機密性の高いデータ分析や多様な計測技術の検証が可能です。

 

同社は、これらの取り組みを通じて、世界中の人々に質の高い医療を提供し、持続可能な社会の実現に貢献しています。

 

(参考:https://www.sysmex.co.jp/news/2023/231012.html)

環境への取り組み:気候変動への対応と資源循環 

同社は環境への負荷低減を重要課題と位置づけ、気候変動への対応と資源循環の推進に取り組んでいます。

 

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ここでは、同社の長期環境ビジョンに基づいた環境への取り組みを見ていきましょう。

 

<気候変動への対応:SBTi認定と温室効果ガス削減目標>  

同社は国際的なイニシアチブScience Based Targets initiative(SBTi)」より、2033年度の温室効果ガス(GHG)削減目標の認定を取得しました。

 

具体的には、自社のGHG排出量(スコープ1および2)を55%削減し、サプライチェーン全体のGHG排出量(スコープ3)を35%削減することを目指しています。これらの目標は、パリ協定の1.5℃目標に整合する科学的根拠に基づいて設定されています。

 

さらに、同社は、取引先の60%が5年以内に科学的根拠のあるGHG削減目標を設定することを推進するエンゲージメント目標も設定しています。これにより、サプライチェーン全体での脱炭素化を進めています。

 

(参考:https://www.sysmex.co.jp/csr/environment/management/)

 

<資源循環の推進:製品ライフサイクル全体での取り組み> 

同社は、製品の設計から廃棄に至るまでのライフサイクル全体で資源循環を推進しています。2023年度からは、中期経営計画の基本戦略に含まれるエコソーシャル戦略のもと、資源循環型バリューチェーンの実現に向けた活動を強化しています。

 

具体的な取り組みとして、研究開発拠点のテクノパークでは、発泡スチロールの溶融機と機密紙用大型シュレッダーを導入し、廃棄物の削減とリサイクル率の向上を図っています。

 

また、国内試薬生産工場では、段ボールのリユースや過剰包装の見直しを進め、2023年度には段ボール廃棄量を約15トン削減しました。

 

さらに、加古川の工場では、社員食堂から出る生ごみを有機肥料に変換し、生産農家に提供するなど、循環共生型社会の実現に貢献しています。

 

(参考: https://www.sysmex.co.jp/csr/environment/businessoffice/)

日本の医療機器メーカーの持続可能な未来への挑戦  

紹介してきた取り組み以外にも、人的資本経営と多様な働き方の推進、誰もが活躍できる職場環境の整備など、従業員一人ひとりの多様性を尊重するサステナブルな取り組みを行っています。

 

医療アクセスの向上やイノベーション、気候変動への対応や資源の循環などを通じて、企業価値の向上を目指していくことでしょう。持続可能な未来の実現を目指す日本の医療機器メーカーへの期待は、今後さらに高まるのではないでしょうか。

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